目的
Taper wedge Polishedステムは、長期に満足のいく臨床結果を示している。無菌性のゆるみを回避するために、大腿骨ステム周囲のセメントマントルの最小厚さは2mmから4mmであるべきであることが提唱されている。ステムの圧入を達成するため大腿骨ステムのLine to Lineセメント技術が考案され、薄いセメントマントルでもよいのではないかということが示唆されている。本研究では、Taper wedge Polishedステムにおけるステムの標準セメント厚保とline-to-lineセメントでステムを固定した場合のステムのセメント内の移動を比較検討することを目的とした。
方法
単盲検無作為化対照臨床ラジオステレオ分析(RSA)試験。48関節の人工関節置換術において、Corailセメントステムのline-to-lineセメントと標準セメントと2群で比較検討した。主要評価項目は、X軸、Y軸、Z軸を中心とした回転と並進の観点から、3ヶ月、12ヶ月、24ヶ月におけるモデルベースRSAを用いて測定した大腿骨ステムの移動であった。統計解析には線形混合効果モデルが使用された。
結果
line-to-lineの平均後転角度は0.72°(95%信頼区間(CI)0.38°~1.07°、p<0.001)と低かったが、24ヵ月後の沈下には2群間の有意差(-0.15mm(95%CI -0.53~0.227 、p=0.429))は認められなかった。幅2mm未満のRadiolucent lineが、標準厚で3例、line-to-line法で5例に認められた。
結論
Taper wedge PolishedステムであるCorailステムをセメントで固定した場合、沈下に関しては有意差はなかった。しかし、後方転位への移行率が低いため、摩耗やセメントの変形が抑えられ、長期的に良好な固定とインプラントの生存に寄与する可能性がある。
<論評>
セメントステムデザインについてはいわゆるComposit beamよりもTaper wedge Polishedステムのほうが優れているのではないかということが言われるようになってきました。
セメントステムはオフセットや脚長によってステムを選択することができるので、セメントマントルの違いがでます。本研究ではセメントマントルの違いによるステムの挙動について臨床的に検討した研究になります。
沈下については変わりはなかったが、回旋についてはLine to Line法のほうが安定しているという結果でありました。長期の成績についてはもう少し経過観察が必要だと思いますが、できるだけ大きなステムを入れたほうが安定するのかもしれませんね。
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