いわゆるLewinnekのSafe ZoneはSafeじゃないよね。といままでみんなが思っていたことを明らかにした論文です。
検定手法には疑問が残りますが、新しい検討方法として一考の余地があります。
- 背景 カップの不適切な設置は、インピンジメント、ROM制限、Wearの進行、ライナーの破損、不安定性のゆ様な原因である。今までいわゆる”Safe zone”は2Dでの評価が行われていた。本研究はCTをもちいてTHAにおけるカップのSafe zoneについて安定したTHAと不安定なTHAでの検討をおこなうことである。
- 臨床上の疑問 (1)CTで測定すると、不安定なTHAと安定したTHAの間には測定した値に違いはあるか(2)CTで測定した値はTHAにおける歴史的なSafe Zoneをサポートするか
- 方法 2003年から2017年。頻回脱臼に対して再置換術を行った34例。175例の安定したTHAの患者に対して反対側の術前計画、術中ナビゲーションのCTを検討した。検討項目はカップの位置、大腿骨前捻、Combined anteversion、骨盤後傾、Total オフセット、骨頭頚、年齢、性別、BMIだった。これらの値を安定したTHAと不安定なTHAの間で測定を行った。術中の測定はすべてRadiographicに換算した。。不安定な股関節がLewinnekのSafeZoneに入っている割合を検討し、新しいSafe zoneについての検討を行った。
- 結果 前方脱臼する関節では安定した関節よりも術中の前方開角が大きかった。骨盤後傾を修正した前方開角、Conbined anteversionも大きかった。後方脱臼するTHAでは安定した関節よりも前方開角が小さく、また骨盤後傾、解剖学的カップの前方開角も小さかった。脱臼した関節の32%はLewinnekのSafeZoneにあった。安定しているTHAでの術中の外方開角が43度±12度、前方開角31±8度であった。
- 結論 LewinnekのSafezoneは将来に渡って安定しているとは言えない。骨盤後傾を修正した術中の前方開角、外方開角が脱臼しない関節となった。骨盤後傾を修正した前方開角は脱臼した関節とそうでない関節の間で有意に違っていた。すなわち術前の骨盤後傾の計測が必要である。患者特有のカップの設置位置について、CTによる評価が新たなSafezoneを導き出すものと考えられる。
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