肩関節インピンジメント症候群に対するヒアルロン酸またはステロイドの肩峰下注射の効果
抄録
159人人の肩関節インピンジメント症候群の患者。女性84人、男性75人。平均年齢53歳。無作為に3群に分けた。リドカインのみの群、ヒアルロン酸を混ぜた群、ステロイドを混ぜた群の3軍である。26週間経過観察。主たる評価項目としては疼痛をVASスケールにて評価。その他評価項目としてConstant Murley score、肩関節疼痛スコア、金曜消化スコア、肩関節障害スコアを用いた。
施行後3週間、6週間、12週間の段階でステロイド注射がヒアルロン酸注射群の効果を上回っていた。プラセボを上回ったのは6週の段階のみであった。
12週の段階でのVASでの疼痛改善の割合はヒアルロン酸群が7%、ステロイド注射群が28%、プラセボ群が23%であった。
26週の段階で改善した患者の割合はヒアルロン酸群が63%、ステロイド群が72%、プラセボ群で69%で合った。
肩関節インピンジメント症候群の患者に対してヒアルロン酸を投与する効果はハッキリとしたものは見いだせなかった。ステロイドの注射は短期の疼痛改善効果があるものと思われた。しかしながら最も効果があったのはプラセボ群の注射であった。
考察
ステロイドの注射はプラセボよりも6週間は良かった。プラセボとヒアルロン酸の比較は26週の評価の時点で有意差を見いだせなかった。
本研究は施術者、患者、評価者の全てでブライドをかけた世界で初めての研究であることが価値深い。
今までヒアルロン酸の肩関節内注射は10編の報告があるが、どれも効果がある、とするもので合った。
ステロイドの投与についてはシステマティックレビューで短期の症状改善に有効であるが長期の安全性については保証されていないということが言われている。今回も短期間の症状改善には有効であった。
<論評>
ヒアルロン酸の肩峰下滑液包炎注射は無効。という報告ですね。
厳密なRCT、注射もエコーを用いて行ったりと丁寧にスタディデザインが組まれており評価できると思います。
じゃあ、肩の痛い人に何をしてあげたら良いのか?という疑問が出て参ります。
注射も無効となったらどうしてあげると良いのでしょうか?
2012年9月26日水曜日
2012年9月13日木曜日
20120913 JBJS(Am) Post-splinting radiographs of minimally displaces fractures; good medicine or medicolegal protection
整復操作と打ち込むたびに制服捜査とおいらのPCでが変換するので、それっぽい画像をUPしてみました。苦笑。
抄録
背景
多くの施設では、整復操作を加えることなくギプス治療とし、その後レントゲンフォローとしている患者は結構いる。本研究の目的は特に整復操作を加えることなくただ単にギプス固定としたほとんど転位のない患者のギプス固定後のレントゲン上での変化について評価を行うことである。筆者らは特に整復操作を加えなくても良いような患者であればその後のレントゲン評価でずれなく経過するであろうという仮説を立てた。
方法
レベル1外傷センターで2008年から2010年までの間に整形外科にコンサルトが来た骨折について評価を行った。2862回のコンサルトがあり、1321の骨折がギプス固定によって治療がなされていた。342骨折(25.9%)が転位のない骨折であった。ここで転位がないというのは5mm以下のずれ、10°以下の角状変形を言う。204骨折がギプス後にレントゲン写真が撮影されていた。可能な限りのフォローを行い、その臨床症状についての評価を行った。
結果
204骨折のウチ、ギプス固定後に転位したものはなかった。2例ギプスの巻き直しが行われ、レントゲン撮像が行われていたがその理由については不明であった。患者は超急性期時に平均10枚のレントゲンを取られていた。そしてギプス固定後に平均3枚のレントゲン写真が撮像されていた。ギプス固定後から次の写真が撮られるまでの平均時間は3時間30分であった。受傷部位として多い骨折は手関節、手指の骨折であった。その患者さんたちの平均待ち時間は3時間。全部で9枚のレントゲン写真が撮られていることが多かった。ギプスをしないで帰る患者よりもERでの滞在時間は長くなる傾向にあった。82例でフォローが可能ですべての骨折にズレを認めなかった。
結論
ズレのない骨折に対してギプスを巻いたあとのレントゲン写真をとることは時間のむだであり、また無駄な被曝を増やしているだけとも言える。ズレのない骨折でむやみにギプス巻き後のレントゲンを取る必要はない。
考察
この研究では、転位がなく、整復操作をくわえていない骨折に対してギプス巻き後のレントゲン写真をとっている例が60%もあることが明らかになった。そのために10枚のレントゲン写真が撮影され、ERに8時間半以上滞在するハメになってしまうこともわかった。ギプスを巻いたくらいでは骨折のズレは出ないので、むやみにギプス巻き後のレントゲンを取る必要は無いものと思われる。
最近幾つかの研究で無駄なレントゲン写真を取ることをやめることで医療費の削減につながっているとする報告もある。
今回待ち時間についての研究も行ったが、ギプスを巻いてそのレントゲンを待ってその上でそのレントゲンの再評価をする。というところで余計に時間がかかっていることがわかった。
患者の無駄な被曝を減らすという意味でもむやみにレントゲンを取るのは良くないと考える。
評価することで教育的効果があるかもしれないという考えもあるが、ギプスを巻いた状態のレントゲン写真ではその厚みによってしっかりと評価ができない。
いままで慣習的にギプス巻き後のレントゲン写真を撮っていたが、これにはあまり意味がなく、特にERという環境下で人的資源を消費することを考えればさらに不要であると思われる。
<論評>
最後の方は端折っちゃいましたけど、同じような内容が延々と書かれておりました。まあ、とにかく早く帰ってもらわないと困るから、いちいちレントゲン取る必要あるの?という疑問に基づいた報告と思われます。
この研究はアメリカ、ニューヨークの外傷センターの報告です。ドラマ”ER”を見たことがおありになる方はご存知かと思いますが、アメリカではまずトリアージされて待たされます。その後各診療ブースで担当のレジデント、医師が診療。必要があれば専門家コール。結論が出るまでは帰れません。
この研究でも、ギプスを巻いて8時間待ち。。。。。(当然他の怪我の処置とかもあるのでしょうけども)というのにはまあ、彼の国の医療事情はそういうものかとびっくりした次第であります。
この論文の中で書かれていた文章で良いなと思ったのが
”その検査結果によって診療方針を変更する見込みのない検査をするべきではない。”という一文です。いや、確かにそのとおりだと思いました。
外来患者のレントゲン写真を取るときにはどのようになっているか、を検査する前に予想し、その上でオーダする。そうすることで見落としもへると思いますし。臨床力は向上していくのでは無いかと思います。
血液検査にしても抗生剤の変更などを考慮しないのであればむやみに取る必要はないと思っています。
ここの予想が立てられるかどうかが良い医者とまあ出来ない医者の境目じゃないかなんて勝手に思っています。ハイ。
2012年9月3日月曜日
更新サボっております。
更新サボっております。
一応自分の勉強は進めているつもりですので、JBJSの編集者が面白い論文を乗っけてくれれば。(ウソ)
ステロイド骨粗鬆症についてよくまとまった文章を見つけたので乗っけておきますね。
http://www.hakatara.net/images/no7/7-6.pdf
骨密度がアテにならない。というのが診療のピットフォールになるとおもいます。
RAなどでステロイドを処方している先生は要注意ですね。
一応自分の勉強は進めているつもりですので、JBJSの編集者が面白い論文を乗っけてくれれば。(ウソ)
ステロイド骨粗鬆症についてよくまとまった文章を見つけたので乗っけておきますね。
http://www.hakatara.net/images/no7/7-6.pdf
骨密度がアテにならない。というのが診療のピットフォールになるとおもいます。
RAなどでステロイドを処方している先生は要注意ですね。
2012年7月27日金曜日
20120727 JBJS(Am) Reliability of predictors for screw cutout in intertrochanteric hip fractures
背景
大腿骨転子部骨折において、Tip apex distance(TAD)、骨折型、大腿骨頭内でのスクリューの位置、整復状態がスクリューのカットアウトの条件と言われているが、これらの信頼性については知られていない。本研究ではTAD、スクリューの骨頭での位置(Clwvwland femoral dividing system)、Baumgaertnerの骨折の整復分類、AO分類を用いてスクリューのカットアウトをするかどうかを評価した。
方法
2007年から2010年までの間でオランダの代償センターで治療を行った大腿骨転子部骨折の患者について検討を行った
結果
TADは信頼性のある測定値であり、またTADが大きい患者ではカットアウトとすることが多かった。スクリューの設置位置、骨折型の分類については検者間での信頼性は中程度あった。TADとスクリュー設置位置を調整するとAO:A3型の骨折型がよりカットアウトのリスクが高かった。整復が不十分であることは単変量懐石では有意な危険因子とされたが、多変量解析では独立した危険因子とは成り得なかった。TADとスクリュー設置位置を調整したとこと中央下方、前方下方にスクリューが位置すると有意にカットアウトしにくいことがわかった。
結論
カットアウトの危険性を減らすために、できるだけTADを小さくするように十分に長いラグスクリューを入れ、中央下方、もしくは前方下方にスクリューを位置させるようにすることが重要である。
考察
TADは信頼性のある測定値であり、またTADが大きい患者ではカットアウトとすることが多かった。スクリューの設置位置、骨折型の分類については検者間での信頼性は中程度あった。TADとスクリュー設置位置を調整するとAO:A3型の骨折型がよりカットアウトのリスクが高かった。整復が不十分であることは単変量懐石では有意な危険因子とされたが、多変量解析では独立した危険因子とは成り得なかった。TADとスクリュー設置位置を調整したとこと中央下方、前方下方にスクリューが位置すると有意にカットアウトしにくいことがわかった。
結論
カットアウトの危険性を減らすために、できるだけTADを小さくするように十分に長いラグスクリューを入れ、中央下方、もしくは前方下方にスクリューを位置させるようにすることが重要である。
考察
今までの種々の報告によれは大腿骨転子部骨折術後にカットアウトをきたすのは整復位、TAD、スクリューの設置位置などが関連していると言われてきた。これらの項目についてどの程度検者間で信頼性が置けるのか、ということとどの因子がどの程度関連しているのかということを検討するために本研究は行われた。
本研究で測定について十分信頼性が於けたのはTADの測定値だけであった。TADの値は検者の経験に関係なく安定した測定値で合った。多変量解析でもTADは独立した危険因子出会った。1mmTADが大きくなると、カットアウトのリスクが1.1倍に鳴ることがわかった。他の研究ではTADが25mm以上でカットアウトの率が高くなると報告しているが、本研究でのしきい値は19.9mmであった。25mmよりも19.9mmの方が妥当性の高い値であることがわかった。
25mmというのは以前の研究でカットアウトが有意に増えるとされる値である。安全を重視するのであればその値は19.9mmにした方がよりリスクは低くなるものと考えられた。
骨折型がAO:A3であればカットアウトのリスクは13倍に大きくなることがわかったが、これは不安定で、整復が難しいということと関係している。それらのようそまで考え合わせると骨折型だけで骨折型だけでカットアウトの危険性の寄与度は小さいと言える。
整復位については検者間の相違について中程度の信頼性がえられた。これは分類法が大まかであることと関連しているものと考えられる。
骨折の分類とTADとの間に相関関係は認められなかった。AO:A3でTADが大きくなるのかもしれない、ということは整復位の獲得が困難であることと関連していた。
骨頭内のどこにスクリューが挿入されているかということは大きなもんだんである。中心-中心、前下方、中心下方のいずれかにスクリューが設置されているとカットアウトが少なくなることが知られていて、本研究もその結果を追認するものであった。後下方にスクリューが設置された場合にはカットアウトが多いとも、カットアウトを積極的に防ぐことができるともいずれもいうことができなかった。クリーブランド分類は検者間信頼性が担保できる良い方法であった。性別はスクリューのカットアウトとは関連がなかった。
手術時間、入院期間、術前待機期間はカットアウト群で長い傾向にあったが、有意な差は認められなかった。ASA3で骨折型がAOA3である患者でカットアウトが多かったがコレも有意ではなかった。これらの因子を検討するためには更に観察集団のn数を多くする必要がある。
対象集団の総死亡率は14%にものぼった。すなわち、最初の手術を成功させることが非常に重要である。術者はこれらの結果を踏まえて慎重に手術を行う必要がある。
後ろ向き研究であることが本研究の限界である。
【論評】
大腿骨転子部骨折でその成績不良の要因は、となると判を押したようにTADと、整復不良みたいな話がよく学会でもきかれます。
本研究はそれらの言い訳に一定の妥当性を担保するものと考えました。笑
TADは25mm以内にするように手術をしていましたが、どうやらソレよりも小さな値の方が良いようですね。意識して長いラグスクリューを使ったほうが良いのかもしれません。
大腿骨転子部骨折はもともと虚弱高齢者が罹患しやすい疾患であり、全身状態も不良なことが珍しくありません。成績不良因子として患者側の要因が大きく関わっていることも間違いない事実だと思います。
ただ、本研究に示されたような術者側の要因を一つづつ対処することでよりよい医療が提供できたら。と考えます。
25mmというのは以前の研究でカットアウトが有意に増えるとされる値である。安全を重視するのであればその値は19.9mmにした方がよりリスクは低くなるものと考えられた。
骨折型がAO:A3であればカットアウトのリスクは13倍に大きくなることがわかったが、これは不安定で、整復が難しいということと関係している。それらのようそまで考え合わせると骨折型だけで骨折型だけでカットアウトの危険性の寄与度は小さいと言える。
整復位については検者間の相違について中程度の信頼性がえられた。これは分類法が大まかであることと関連しているものと考えられる。
骨折の分類とTADとの間に相関関係は認められなかった。AO:A3でTADが大きくなるのかもしれない、ということは整復位の獲得が困難であることと関連していた。
骨頭内のどこにスクリューが挿入されているかということは大きなもんだんである。中心-中心、前下方、中心下方のいずれかにスクリューが設置されているとカットアウトが少なくなることが知られていて、本研究もその結果を追認するものであった。後下方にスクリューが設置された場合にはカットアウトが多いとも、カットアウトを積極的に防ぐことができるともいずれもいうことができなかった。クリーブランド分類は検者間信頼性が担保できる良い方法であった。性別はスクリューのカットアウトとは関連がなかった。
手術時間、入院期間、術前待機期間はカットアウト群で長い傾向にあったが、有意な差は認められなかった。ASA3で骨折型がAOA3である患者でカットアウトが多かったがコレも有意ではなかった。これらの因子を検討するためには更に観察集団のn数を多くする必要がある。
対象集団の総死亡率は14%にものぼった。すなわち、最初の手術を成功させることが非常に重要である。術者はこれらの結果を踏まえて慎重に手術を行う必要がある。
後ろ向き研究であることが本研究の限界である。
【論評】
大腿骨転子部骨折でその成績不良の要因は、となると判を押したようにTADと、整復不良みたいな話がよく学会でもきかれます。
本研究はそれらの言い訳に一定の妥当性を担保するものと考えました。笑
TADは25mm以内にするように手術をしていましたが、どうやらソレよりも小さな値の方が良いようですね。意識して長いラグスクリューを使ったほうが良いのかもしれません。
大腿骨転子部骨折はもともと虚弱高齢者が罹患しやすい疾患であり、全身状態も不良なことが珍しくありません。成績不良因子として患者側の要因が大きく関わっていることも間違いない事実だと思います。
ただ、本研究に示されたような術者側の要因を一つづつ対処することでよりよい医療が提供できたら。と考えます。
2012年7月20日金曜日
20120719 JBJS(Am) The benefits of implant removal from the foot and ankle
抄録
整形外科の術後でインプラントの抜釘は勧められたり勧められなかったりする。インプラントのために疼痛を感じている患者はこの手術によって症状の改善が見込めるはずである。
方法
69例の前向き研究。足部と足関節の手術後の患者に対して手術を行い、疼痛のために抜釘を行った患者を対象におこなった。McGillの疼痛質問票をもちいて術前、術後6週の段階で評価。患者に満足度を尋ねた。
結果
抜釘することで疼痛が減った。VAS値が3.06から0.88まで低下した。術後6週で疼痛の訴えは減少した。術前の疼痛の程度と術後の疼痛の程度は相関していた。
結論
抜釘することで患者の疼痛の軽減と満足度につながることがある。
考察
足部、足関節の抜釘後に疼痛が改善した。多くの患者で術後6週で疼痛が改善した。術前の疼痛が術後6週の疼痛と関連していたことは当然であろうと考えた。筆者らは術前の痛みの程度が術後の痛みの程度と相関しているということを報告している。しかしながら術前の痛みが強いということと術後成績が不良であるということの相関はない。術前の疼痛が強くても術後疼痛は著明に改善するからである。術後の疼痛が強くても、抜釘は有効な方法になり得ると考えた。
術後2例の合併症を生じ得た。2例とも表装感染で合った。神経障害、再骨折は認めなかった。Sandersonらは118患者の抜釘後に3例の神経障害と1例の再骨折を生じたと報告している。これらはいずれも足関節ではなかった。経験のある術者が行えばこのような合併症は避けられるものと考える。
今回はインプラントに関連する疼痛を評価したが、OAによるものなどの評価は今後の研究が待たれる。
この研究の限界は1,対象の患者がインプラントのため術前から疼痛を訴えていた患者である。2,比較対象研究ではない。3疼痛のみを対象としている。4,疼痛に関わる他の因子について検討していない。
これらの限界はあるものの、抜釘が有効であるということを示せたので、今後はそのように推奨したい。
【論評】
なぜこの論文がJBJS(Am)に掲載されているのかよくわかりませんが、それはeditorに聞いてみたいものです。
足部、足関節はインプラントが当たると痛いので、抜釘をすることは珍しくありませんが、抜釘後6週間もフォローしたということに価値があるのでしょうかね。
あとはその程度を前向きに調べたということと。
ということで、骨癒合が得られたら、抜釘しましょう。(棒)
こういうのをみると、まずは英語の論文を書いて出してみることが重要ではないかと感じました。
2012年7月11日水曜日
20120711 JBJS(Br) Does early administration of bisphophonate affect fracture healing in pt. w/ intertrochanteric fractures?
抄録
術後早期にBisphosphonate(以下BP剤)を投与することが骨折の治癒過程に影響するかどうか、また同時に合併症の発生に影響するかどうかを調べた。
2008年から2009年の一年間。大腿骨転子部骨折で手術治療を受けた90例。この90例を無作為に3群に分けた。
A群:術後1週間目から投与開始。B群:術後1ヶ月後から投与開始。C群:術後3ヶ月後から投与開始。
プライマリーエンドポイントはレントゲン写真上での骨癒合判定とした。合併症の発生、再手術などをセカンダリーエンドポイントとしている。
骨癒合までの期間はA群が10.7週、B群が12.9週、C群が12.3週であった。(有意差なし)
機能予後、合併症の発生についても有意な差を認めなかった。
これらの結果から大腿骨転子部骨折術後どのタイミングでBP剤を投与するのかは骨癒合には関連しないことがわかった。
考察
BP剤が反対側の大腿骨頚部骨折を減少させ、また死亡率を減少させると言うことは非常によく知られた事実である。しかし、BP剤が骨癒合に与える影響については今まで調べられたことがなかった。
動物実験レベルでは、BP剤の使用によって仮骨形成、レモデリングが遅延する。ということは知られている。しかしながら骨癒合、骨折治癒そのものに影響するかどうかは不明であった。Adolphsonらは撓骨遠位端骨折を受傷した32例について調べ、2ヶ月後にBMDが上昇していたとしているがその差は時間とともに小さくなっていっているとしている。Rozentalらは撓骨遠位端骨折で本研究と同様にBP剤を投与し骨癒合までの時間が延長したと報告している。(55日と49日だけどもね。)
NEJMでのHORIZONstudyで、股関節骨折を受傷した患者に受傷後2週間の時点でZoledronic Acid(ゾメタ®)を投与すると死亡率、再骨折率が下がる、と報告している。
BP剤は骨癒合に影響するのではないか。とかんがえられるが、 本研究でどのタイミングで投与しても骨癒合に差がない。ということがわかったので、再骨折予防のタメには早期介入が望ましいのではないかと考える。
サンプルサイズが小さいのが問題でしょうか。
【論評】
良い研究だと思うんですよね。
これを一歩進めてもっと面白いことができないか。と考えてみたいです。
例えばいま大腿骨頚部骨折で地域医療連携を組んでいる急性期病院、リハビリ病院は多いのではないかと思います。
この骨粗鬆症治療を、地域連携のパスの中に組み入れればよいなー。とおもいます。
出来ればそれを大規模コホートとして追ったら面白いと思うのですけど。。。
2012年7月6日金曜日
20120706 JBJS(Am) system-based safety intervention: reducing falls w/ injury and total falls on an orthopaedic ward
TABLE I Systems-Based Interventions
| Intervention | Description |
| Timed toileting | All patients are offered assistance to the restroom three times every eight-hour nursing shift. |
| Wake ’em, take ’em | All patients who are awakened by staff in the course of their duties (e.g., vital signs or administration of medications) are offered assistance to the restroom. |
| Assist in, assist out | All patients who require assistance to the commode or restroom are attended and then given assistance back to the chair or bed. |
| Shoulder safety | All patients undergoing inpatient shoulder surgery are instructed by both surgical teams and nurses not to get out of bed unassisted for the first twenty-four hours after surgery. |
The Journal of Bone and Joint Surgery
20 Pickering Street
Needham, MA 02492 USA
Copyright © 2012. All Rights Reserved.
The Journal of Bone and Joint Surgery, Inc.
20 Pickering Street
Needham, MA 02492 USA
Online ISSN: 1535-1386
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学会の抄録を出さないといけないのですけど、まーーーーったくやる気になれないのでブログの更新をいたしまする。
決してサボっているわけではなく、明日の臨床につながる何かを探すタメにやっているのだ!と自分に言い訳をしております。
抄録
背景
院内での転倒転落事故は時に死亡を含めた重症な転機をたどることがある。しかも転倒転落事故と言うものは2008年のMedicare, Medicadサービスから”病院内で起こしてはいけない事象”として定義されてしまっている。
患者の危険因子から様々な介入策がとられているものの、現在までで急性期病棟でうまく行ったことはない。今回System-basedプログラムを高リスクの状況に対して用いることで転倒、転落事故の防止につながるのではないかと考えた。
方法
術後の転倒について医師、看護師、助手、リハビリスタッフからの実際の情報を収集した。病院の状況、患者の要因、環境について調査した。これを準備段階とした。準備段階の結果に基づいて4つのsystem-basedプログラムを作成した。これらについて前向きに調査。すべての転倒事象の記録をおこなった。準備段階とプログラム導入後の転倒率について調査を行った。
結果
準備段階では11802人日に対して調査した。1000人日に対し 総転倒率が4.24、転倒によるケガが1.17発生した。プログラム導入後では12267人日に対して調査を行い、1000人日に対して総転倒率が2.53、転倒によるケガが0.41と有意な差をもって減少した。
結論
system-basedプログラムを用いることで転倒を減少させることができた。ただ、様々な方法を用いても転倒はおこってしまう。すべての転倒を防ぐことができると言うのは絵空事であろう。
4つのシステム型転倒防止法
・8時間の勤務時間中に3回はトイレへの援助を申し出る
・業務によって起こされた患者さんはトイレへの援助を医療者に申し出る。
・トイレに行くのに援助が必要な患者さんは自分のベッドに戻るまで援助を受けることとする。
・肩の手術を受けた患者では医療者の許可なしにベッドから離れては行けない
考察
本研究は継続型質的改善モデル(continuous quality improvement model)をもちいて転倒防止を行った。本研究はシステムに基づいた対策を行った最初研究である。このことによって転倒を40%減らし、転倒によるケガを65%減らすことができた。
ハイリスク患者に手をかける。と言う方法はほとんどうまくいっていない。また様々な観点から転倒防止を行う。というのは長期の入院を必要とするような病棟ではうまくいくが、急性期病棟ではほとんどうまく行かなかった。
本研究では転倒と、転倒による傷害のいずれも軽減することができた。これは転倒自体の減少にともなう傷害の減少と考えられる。
トイレでの動作が転倒の危険因子であるということは今までにも言われてきた。そこで今回設定したルールでは患者はトイレを原則として医療者の援助下で行うこととした。こうすることでトイレに関わる転倒の抑制ができた。
多くの研究でハイリスク患者に介入するというのは行われている。これらの患者に対してベッドを低くしたり、アラームをつけたり、ビタミンDの内服を始めたり、内服の見直し、患者教育、安全な靴の指導、運動療法などがある。
今回の研究ではこれらの研究での成果は殆ど無いと考えて研究を行った。何故ならば患者ごとにその要因は大きく異なるからである。また急性期ではせん妄、貧血、疼痛治療。また手術の安静などで大きくその様態が異なる。なのでこのような患者ごとにアプローチする方法は有益でないと考える。
当然患者の状態と患者の環境の両者に配慮することは必要である。今回の研究では肩関節術後の患者での転倒が多いことがわかったのでその患者にたいする対策を行なっている。
この研究には幾つかの限界がある。患者の割付が無作為割付になっていないこと。大学病院の整形外科病棟という限られた環境であることなどがあげられる。また報告されていない転倒事例もあることは否定出来ない。
2008年にMedicare,Mediaidの支払い機構から、転倒は防ぎうる事象なので、もし院内転倒、転落事故によって生じる費用はすべて病院が負担することと成っているとの通達があった。システムbased転倒予防を行うことで転倒転落事故の減少はできたものの、支払い機構が言うような”全く怒ってはならない事象”という取り扱いに転倒転落事故がなっていることに納得が行かない。どれだけ手を尽くしても転倒は無くならないのである。
【論評】
私自身、この論文を読む前にも病棟でサインして参りました。”転倒・転落に関わる同意書”。笑
看護師さんがせっせとリスク評価をしてくださって、”ほーら、このおばあちゃん、こんなに転びやすいのよ”と結論づいたところにサインをして、患者さんのご家族へお渡しする。と。
あまり大きな声では申しませんが、ホンマに意味有るんかなあ。と思っておりました。同意書はサインを貰えばよいと言うものではありませんし。
看護師さんは一生懸命評価してくれてるんやけど、ホントに転倒予防につながるんかな。。。。と。笑
この論文はその疑問に答えてくれる一つの回答だと思います。
非常にアメリカっぽいアプローチだなあというのが第一印象です。
ぼくがいうアメリカっぽいアプローチとは100点はとれなくても、誰がやっても同じように70点くらい取れるようなシステムの構築を行うことを指します。
(注:ブログ管理主はアメリカ留学経験、就労経験もないドメスティックな人間ですのでホントにアメリカっぽいかどうかは不明です。笑)
日本でもせっせと転倒の報告を挙げて頂いておりますので、同様の機能評価をおこない、転倒予防につなげたほうが良いのかもしれません。
日本の病棟では、どうしても仕事は”やっていること”という事実に夢中になりがちで、その仕事にどれだけの意味があって、どれだけ患者さんに資しているのか?ということを考えられなくなっております。やっていることに意味はありません。やったことで何か成果が得られて意味があるのです。
NST、ICT、褥瘡委員会。。。。。。。。。。病棟には山のように委員会、チームがありますが、仕事をしているだけではなく、もっと成果として発表し、その結果に基づいて改善していくというサイクルを組み立てる必要がある、と思いました。
大学の専門病棟を対象としているので、同じルールを導入してもすぐ自分のところでうまくいくわけではありません。もしやってみたい。と思われたら、まずは調査してみましょうか。ハイ。
しかし、アメリカの支払い機構はマジで厳しいですね。。。。
院内転倒は病院持ち出しなんですね。
そのうち日本もこんな風に世知辛くなったりして。。。。
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