2012年3月19日月曜日

20120319 JBJS(Am) Mortality and Morbidity in dialysis-dependent Pt undergoing spinal surgery:analysis of National Administrative database in Japan

このブログも199回目の投稿になりました。なんとか200回までは頑張りたいものですね。笑
引越、転勤でバタバタしておりますが今後も続けて参りますのでよろしくおねがいします。

普段外来やっていて困ることといえば、その患者さんの状態を評価しようと思っても手元にJOAスコアなどの表がないとなかなか調べきれないことです。
膝とか股関節は暗記しているのですけど、それ以外はぱっと出てこないです。
そのうちこのサイトのどこかにスマートフォン対応でチェックを入れるだけでその罹患部位特異性の高いスコアを表示して計算できるようなものも作りたいですね。

さて、表題のとおりです。
dialysis
抄録
透析中の患者における脊椎手術への影響は十分に知られているわけではない。本研究の目的は透析をしていると術中の危険性がどの程度かということを決定することと、破壊性脊椎関節症が存在するとより危険が増すか、という点について調査を行った。
方法
日本全国からのDPCデータの解析を行った。2007年から2008年までの間のデータを使用し、椎弓切除術、椎弓形成術、椎間板切除術、脊椎固定術を受けた患者について調査した。そしてサブグループ解析として破壊性脊椎関節症の有無についても調査した。
結果
51,648例についての調査を行った。うち869例が透析患者であった。この内の95名が破壊性脊椎関節症であった。
病院内死亡率は0.41%。透析群は非透析群よりも有意に死亡率が高かった。調整後で評価すると院内死亡率は非透析群の10倍となった。透析群は術後の合併症もまた有意に多かった。破壊性脊椎症がある患者では合併症発生率がない群に比べ65%高かったが、有意ではなかった。
結論
透析患者で脊椎手術を必要とする患者の術後院内死亡率は透析をしていない患者の10倍であった。また心血管イベント、敗血症、呼吸不全などの重大な合併症を多く起こす傾向にあった。また破壊性脊椎症の患者ではより高い確率で合併症が起こりうる。

考察
DPCデータを用いて、透析患者の脊椎手術についての調査を行った。以下の3点がわかったことである。
・透析患者は非透析患者に比べて術後院内死亡する確率が10倍である。
・透析患者は重大な術後合併症をおこす確率が高い。
・破壊性脊椎症がそんざいすると合併症を起こす確率が高くなる。
この研究の強みは、そのn数である。このような国レベルでの入院患者データベースは最近良く使われるようになってきている。
50000人規模での調査は透析患者に於ける研究の中で最大のものである。実際にどの程度合併症が起こっているかを調べるためにこの研究は行われた。
この研究で脊椎手術での院内死亡率は0.41%であった。これは頚椎術後の死亡率が0.57%、側弯症術後が0.3%、椎弓切除術後が0.17%である。
この研究ではまた破壊性脊椎症が存在する場合についても述べている。破壊性脊椎症の患者は全体の10.9%であった。破壊性脊椎症は長期間の透析の結果として生じる脊椎、椎間板、靭帯の脆弱化によって起こる。破壊性脊椎関節症がある患者ではその手術が大掛かりなものとなることが多い。Abumiらの報告でも固定術が必要がなることが多いと言われており、今回の研究も80%以上で固定術を必要とした。また、破壊性脊椎関節症の患者では手術時間の延長と麻酔時間の延長が認められた。神経学的予後にかんしては良好であるとAbumiらは述べているが、うち2例がフォロー中に死亡している。(16症例中)。破壊性脊椎関節症の患者では術後早期の死亡はそれほど珍しいことではない。この研究でもサブグループ解析をしたら術後合併症、死亡率は有意な差はなかったが高かった。
この研究はDPCデータによる研究なので、透析期間がどうなのか、神経学的にはどうだったのかということを評価することもできない。また入力ミスの可能性もありえる。入院期間が長いけれども、保険制度の違いだと思う。


【論評】
DPCデータを用いた大規模な検証結果です。なんとなく実感と一致するところがあります。
東大での研究ですけれども、田舎にいてDPCデータを持ってきて何かの研究がデキないかなんて考えてみました。厚労省のページを探してみたのですけど、欲しいデータがどこに有るかわかりません。。。。
そもそも僕のもってるPCでこんな大規模解析はムリでしょうけど。笑

あと同様の研究でやるとすれば透析患者の股関節、膝関節での同じような研究ですかね。

2012年3月2日金曜日

20120302 JBJS(Am) Starting rehabilitation within 24 hrs after TKA was better than delaying to within 48 to 72 hrs

TKAの患者でいつからリハビリを始めたほうが良いかということは未だに議論となっている。2,3日待ってからのリハビリの方よりも24時間以内にリハビリを始めたほうがよいのかどうかを調べるためにこの研究は行われた。

研究デザイン:RCT.評価者はブラインドされている。

セッティング:スペインの大学病院

患者:306人の患者。55歳から75歳のTKAを受けた患者。心臓、腎臓、肝臓などの内科疾患がある患者は除外した。またRAの患者、腫瘍用人工関節を使用した患者も除外している。最終的に273人の患者の評価を行った

介入方法:無作為割付。24時間以内にリハビリテーションをはじめる群と、48時間以内にリハビリテーションをはじめる群とに分けた。リハビリテーションは退院までの毎日行われ、同一のPTによって施行された。45分間のセッションで、0度から40度までのROM訓練、等尺性四頭筋、二頭筋訓練。足関節の可動域訓練。有酸素運動、姿勢指導、日常生活動作指導、歩行訓練、移乗訓練を行った。術後4日目までに全てのメニューをこなせるようにプログラムは組まれている。

結果の評価:関節可動域、筋力、疼痛を主たるアウトカムと設定した。セカンダリーアウトカムとしてBarthelインデックス、歩行バランス評価を用いた。

結果:24時間以内からリハビリテーションを始めた群の方が48時間以内にリハビリを始めた群よりも入院期間が短かった。また筋力、膝関節可動域、疼痛においても24時間以内にリハビリテーションを始めた群の方が優れていた。早期リハビリを開始した群の方が普通の歩行バランスを多く獲得していた。自律性の回復は両軍で差はなかった。

結論:早期リハビリテーションの開始によって入院期間の短縮がはかれ、また筋力、関節可動域、歩行能力においてもよりよい改善が得られた。


【論評】
リハビリをいつはじめるか、と言うのはなかなか悩ましいところです。
患者さんが術後いたがっているところをみると、まあ、少し落ち着いてからなんていうことも少なからずありますし。
ただ、術後の入院期間、リハビリテーションの考え方は日本とは少し違うのかなというのもうっすらと感じました。日本でTKA術後5日で帰る医療機関はまだごくごく少数派であると思います。この論文だと長い人で8日間の入院ですし。
全体には早期リハビリテーションの有用性が明らかになってきているのだと思います。

2012年2月29日水曜日

20120229 Up to date treatment of neck pain その2

ブログをご紹介いただきました!!

スポーツ整形外科医S. Uのブログ Sports Physician S.U Blog

産業医大若松病院の内田先生のブログです。
日本で股関節鏡といえば「内田先生」と名前が出てくるほどだと、ボクは勝手に思っております。笑
そんな先生にご紹介いただき、ブログの更新も捗ると言うものです。笑

お読みいただいた方はどなたでも何かコメントを残して頂ければ管理人もまたヤル気がでると言うものです。笑
よろしくお願い致します。

さてはて、先回の頚部痛の続きです。

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6週間を越える頚部痛は一度放射線検査などでその原因について注意深く調べ無ければならない。
慢性の頚部痛に対する治療は様々なものが提唱されているがいずれも根拠が乏しい物が多い。運動と様々な治療の組み合わせによって神経症状のない頚部痛には対処していかなければならない。

・理学療法
理学療法はくりかえす頚部痛に対して基本的な治療の一つである。さまざまな運動療法と物理療法を組み合わせることによって患者が治療に依存しすぎずに自律して運動療法を行えるようになることが目標となる。

2001年のPhiladelohia Panelでのレビューでは様々な治療について評価が行われたが、固有感覚運動と運動療法にが有効であるというエビデンスが合った。牽引については余り効果がないことも同時に示されている。(その他の治療についてはどちらでもない、と言う結論であった。)
2006年のsystematic reviewは頚部痛に対するマッサージについては結論が得られないとしている。

運動療法の有効性を示す論文としては以下の様なものがあげられる。
・180人の就労女性に対して運動療法を指導したところ1年後には明らかに指導しない群よりも改善していた
・就労女性において運動療法やストレッチを指導すると、痛みはそれほどでもないが、可動域の回復が得られる
・頚部痛の患者で5セッションにわたる運動療法の提供は、短い期間の運動療法の提供よりも頚部痛の改善に効果がある

・牽引療法
牽引についてはその有効性は示されていない。

・脊椎のマニュピレーション、マニュアルセラピー(多分整体のようなものか??)
愛護的に行う脊椎のマニュアルセラピーについては有効であるとするシステマチックレビューが一つ有る。
急速な動きを伴うものについてはその有効性は?である。

整体単独での有効性はほとんどなく、運動療法との組み合わせによって効果があるとされている。

ただし、有効性と同時にその危険についても報告されているので注意が必要である。(麻痺、死亡例が海外にて報告されている)

有効性が明らかでない、高齢者の場合などでは整体は全く勧められない。

・薬物療法
三環系抗うつ剤の使用で慢性の疼痛が和らぎ、また不眠にも効果があるとされている。
新しくでた抗うつ剤であるSNRI(プロチアデン錠25®)はうつ状態にあって痛みを訴えるような倍には有効である。ガバペン®は頚部痛に対してしばしば使われる薬剤であるがそのエビデンスに乏しく、糖尿病性神経障害の様な頑固な痛みに使う場合がある。

・トリガーポイント注射
トリガーポイント注射に対してはほとんどエビデンスがない。しかしながら短期間、症状の改善が得られることがわかっているので効くと信じている人にとってはリスクの低い治療法の一つである。
ただし、ステロイドを使うと筋壊死のリスクを高めるので注意が必要である。

・ボツリヌス注射
頚部痛に対する有効性は示されていない。

・TENS(経皮的電気刺激療法)
有効な患者さんもいるが、エビデンスレベルは低い。

・低周波治療
有効な患者さんも一分居る。むちうち症候群の患者さんで一時的な疼痛軽減に役立ったとする報告がある。

・頚椎神経根内側枝ブロック(facetブロック)
facet由来の頚部痛かどうかを診断する際に用いられる。エビデンスレベルは高くない。

・神経高周波熱凝固療法
短期間疼痛除去に有用であるとする報告がある。

・鍼治療
鍼治療の有用性については諸説ある。のでその有用性について評価することは困難である。

・手術治療
慢性の頚部痛に対する手術法はない。

・気功
有効であるとする報告もあるが、さらなる調査が必要な段階である。

・低レベルレーザー治療
有効であるとする報告もあるが、さらなる調査が必要な段階である。

・認知行動療法
有効であるとする報告がある。


【論評】
頚部痛に対してのまとめ。です。
神経学的症候が出ている頚椎疾患に対しては手術治療というオプションを取ることができますが、手術治療が適応とならない患者さんに対してどのような治療を行うかということについて述べられています。
エビデンスレベルの高い、低いというのはあくまでその研究の妥当性を示しているだけであり、目の前の患者さんに対してどの治療を提供するかということが医師として求められているのだと考えています。
すなわちエビデンスレベルの低い治療であっても、そのことを意識下に置きながら患者さんにとって最もよい医療を何とかして提供することが必要なのだと思います。

2012年2月25日土曜日

20120225 Up to date Treatment of neck pain



頚部痛症候群

頚部痛の原因については、頚部捻挫、頸椎椎間板の痛み、頸椎椎間関節症候群、むちうち症候群などさまざまなものがあるが、まずはその重症度判定を行いいかに対応すべきかを決める。

まずは重症度判定をおこなう
・グレード1 明らかな臨床症状がなく、日々の生活もそれほど制限されない
・グレード2 明らかな臨床症状がないが、日々の生活に影響があるほどの痛み
・グレード3 神経症状をともなう(=神経根障害あり)
・グレード4 頸椎の不安定性や感染症など緊急に治療が必要な病態である

頚部痛に対する治療
頚部痛の原因は多岐にわたりまた複雑に絡み合っている。どの治療法も単独で他の治療法に勝るということもないので本人の症状の訴えの強さ、症状のある期間について勘案し、個々に適した治療を提供する。

急性期
・姿勢制御
姿勢について指導することは治療のなかでも重要な位置を占める。座位をとるときには肩と背中が同じ位置にくるようにする。運転中はアームレストなどをもちいて少し休めるようにする。キャリングケースや肩かけかばんは避けるようにする。

睡眠中の姿勢もまた重要である。小さな枕を首の下にひいて寝るようにするとよい。背中はまっすぐにして、太ももを少し持ち上げるように枕を入れる。頸椎が過度に伸展することは避けることが重要。

座りっぱなしでの仕事もよくない。パソコン業務、長時間の電話などは時間制限を行ったほうがよい。定義頸椎の自然な運動ができるように立ったりウオーキングをしたりすることを勧める。

・薬物療法
アセトアミノフェン、NSAIDsは軽度から中程度くらいの疼痛には有効である。とくに強い疼痛を訴える場合にはトラマドールやオピオイドの使用も考慮する

夜間のベンゾジアゼピン(デパス®)を使うことで、筋肉の攣縮による疼痛を軽減できるかもしれない。ただ、NSAIDsよりもエビデンスはない。日中も使用するようであれば5㎎を3回投与することを検討。

・運動療法
運動療法は可動域の保持と患者の活動性を保つためにも必要となる。頚部、肩甲骨周辺の愛護的なストレッチや運動を考慮する

写真のような運動をお勧めする。このほかには頸椎の前屈、後屈。肩の回旋運動などがある。

温めてから動かすほうがよい、ということをお勧めしておく。行うのは朝と夜寝る前の2回をお勧めしておく。症状がとれてからも週に3回は運動を継続するようにおすすめしておく。

・整体
急性期の疼痛に、整体が有効であるとするエビデンスはほとんどない。症状の悪化する可能性も考えれば、急性期の疼痛で整体はお勧めできない。保存療法に抵抗するような頚部痛で運動療法、薬物療法と並行して行うような整体であれば推奨できるかもしれない。

・頸椎カラー
頸椎カラーのルーチンでの使用はお勧めできない。ルーチンに使用すると日常生活への復帰を遅くすることが知られている。
頸椎のソフトカラーは安全でまた安価である為疼痛が強い時期には有効化もしれない。特に夜眠れないという場合には有効である。ただし装着はできるだけ短い時間にするように指導する。

・低レベルレーザー治療
原理も何もわかっていない。ただ、この治療が有効であるとする報告もあり今後さらなる研究が必要である。


慢性の頚部痛はまた次回。


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頚部痛についてのまとめ、です。
その疼痛のメカニズムがよくわかっていないということもあり、さまざまな治療法があります。
患者さんに合わせて提供していくしかないのかもしれませんね。

2012年2月17日金曜日

20120217 JBJS(Br) Conseravative management of patients w/ an osteoporotic vetebral fx

骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折に対するレビュー

抄録
骨粗鬆症性圧迫骨折の増加は社会的な健康問題となってきている。これらの骨折に対する椎体形成術などが無作為割付試験として行われてきたが、これらの治療を行うにあたってどのような人に適応するかということや、これらの治療の位置づけということはわかっていない。保存療法とこれらの手術療法との比較のメタアナライシスは行われていないし、また未だにベッド上安静、疼痛コントロール、運動療法、装具療法などの保存療法も一般的である。
このレビューは脊椎圧迫骨折の患者に対する保存療法の最も良い根拠を探すために行った。

結果
疼痛のある腰椎圧迫骨折に対しての最も適切な治療法はどれだ、ということは出来ずまたレビュー出来るだけのエビデンスレベルの高い論文も殆ど無かった。圧迫骨折に対する治療目標は2つあり、ひとつは疼痛を改善してリハビリテーションを行うことである。もう一つが臥床にともなう骨粗鬆症の評価と治療である。
腰椎圧迫骨折の疼痛はだいたい3ヶ月経過すると軽快する。鎮痛剤としてはアセトアミノフェン、サリチル酸、NSAIDSが用いいられるが消化管出血、腎障害のリスクに注意を払わなければならない。NSAIDsが原因としておこる消化管出血による死亡者はアメリカでは16000人/年に及ぶと言われている。腹痛、下痢、口渇、皮疹、めまい、頭痛、易疲労感などの症状や、高血圧、心臓病の併存症がある患者では心血管イベントを高率に起こすとも言われている。最近のNSAIDsやCOX2は消化管症状を減らしているが、未だに心血管イベントとの関連は指摘されている。
NSAIDsをたくさん使うことが骨癒合を遅らせているのではないかということも言われているが、今回のレビューでは明らかとならなかった。オピオイド製剤は最初に治療を行なって反応をみてから適切に投与されるべきであろう。アセトアミノフェンとの合剤のオピオイドが販売されているが、呼吸回数の低下、バランスを失ったり転倒のリスクの増加。うつ状態への配慮が必要となる。筋弛緩剤は圧迫骨折に伴う金収集区政の疼痛に対して有効であるが急性腰痛症に対しての適応しかない。筋の収縮による腰痛は止めることができる。ただこれらのクするにもめまい、眠気、依存症などがあることに注意する。

急性期の腰椎圧迫骨折の疼痛を訴える患者に骨粗鬆症の治療を行うと有効であることが知られている。カルシトニンの筋肉注射は圧迫骨折による急性腰痛の患者に対して有効であった。ビスフォスフォネート製剤の静注をアセトアミノフェンとの合剤で治療したものは最終的な運動機能が良かったとする報告もある。

テリパラチドを疼痛コンロロールに用いる。ということも考えられてきている。2つの文献のメタアナライシスの結果からは疼痛を早期に改善するのではないかと言われている。

装具療法は患者を選べば重要な治療法の一つである。装具療法は脊椎安定化による疼痛の軽減と変形の進行予防である。またベッド上安静の期間を減らすことで早期運動療法が可能となる。
しかしながらあくまでもよく言われている意見でしかなく、前向きの無作為割付試験はまだ一つしかない。
骨粗鬆症がない患者での装具療法の有効性は言われている。

患者がつけやすく、呼吸抑制をしないような軽く装着が容易な装具が理想である。
さまざまな装具がある、(ジュエットの装具、テーラーの装具など。)患者に合わせた装具の選択が必要である。
ジュエットの装具は屈曲、伸展は抑制するがローテーションや横の動きには対応していない。

コルセットと体幹筋力への影響も調査されている。腹圧の上昇とは関係なく装具を装着すると腹筋の活動電位が下がることがわかった。腰仙骨装具や、プラスチックの胸腰椎装具を装着すると脊柱起立筋の活動電位の上昇が認められた。

短期間のベッド上安静の後から積極的に運動療法をすすめるべきである。運動療法を行うことで骨密度の増加が認められ、骨折リスクの低下が認められた。背中を伸ばすような運動のほうが腹筋運動よりも新規骨折を減らすことがわかったのが一つのトピックである。

過度の腰椎の後弯は臨床上の問題となりうる。肋骨と腸骨の間が狭くなっていることは疼痛や呼吸状態の悪化の原因となりうる。背筋を伸ばすような運動は後弯変形に対して有用である。後弯の矯正はQOLの改善につながる。

自宅での運動療法も有用であるとする比較的エビデンスレベルの高い報告がある。

マッサージなどの物理療法も有効であろう。

現在一般的に知られている骨粗鬆症性腰椎圧迫骨折に愛する治療はいずれも適当ではない。装具による治療が行われているものの、適切な研究デザインのものは一つしかない。
椎体形成との比較が今後行われていくこととなるであろう。


【論評】
背筋を進展させるような運動のほうが有用であるということがわかったことが少しタメになりましたかね。この分野もまだまだ調べることはたくさん有りそうです。

2012年2月8日水曜日

20120208 JBJS(Br) Characteristics and outcome in patients sustaining a second contralateral fracture of hip

抄録
初回の大腿骨近位部骨折を起こした5341人の患者と対側の骨折まで起こした633人の患者についてその特徴について比較した。
対側の骨折を起こした患者では、より高齢の女性が多く、施設入所でまた認知機能の低下が認められた。一年後のフォローでは術後の歩行能力、居住場所に変化は認められなかった。しかしながら対側の骨折まで起こした群においての死亡率が31.6%と27.3%で有意に高かった。3分の2の患者で初回と同様の形態の骨折を起こし、訳70%の患者が初回骨折から3年以内に対側の骨折を起こした。
この研究は大腿骨近位部骨折を起こした患者が対側を骨折するかどうかということについて調べた研究の中で最も規模の大きいものである。死亡率は高くなるものの、その他の機能予後は初回骨折後と大きな違いはなかった。

考察
この研究は大腿骨近位端骨折後に対側の大腿骨近位端骨折を起こした患者に対する調査としては最も規模の大きなものである。New mobilityスコアを主たるアウトカムとして用いてみた。
歩行能力、居住場所については初回骨折であろうと二回目の骨折であろうと大きな違いは認められなかった。歩行能力についてはほとんど低下しなかった。もともと高い歩行能力の群においてのサブグループ解析によってのみ低下が認められた。
Fukushimaらの報告によれば、二度目の骨折をするとその歩行能力は低下するとなっていたが、彼らの報告は升れいづうが少ないのと、フォローアップ期間が短いことが問題であると考える。
居住場所については特に変化はなかった。Mitaniらの報告では二度目の骨折では自宅に帰ることが困難となることがあるとしているが、本研究では認められなかった。
死亡率は対側の大腿骨近位部骨折を起こすと高くなることがわかった。他の研究と同様に施設入所者、高齢者、認知機能が低下している群でより死亡率が高くなることがわかった。
対側の骨折型が初回の骨折と同じ形態になる理由については全く不明である。
この研究の限界は時間経過の問題があることで、リハビリ、術後のケアは年々経過するごとに良くなってきている。しかしながら大きな死亡率に大きな変化がないことから術後のケア、治療はあまり対側の大腿骨近位部骨折術後に大きな影響を及ぼさないのかもしれない。


【論評】
僕自身も全くおなじ研究をしたことがあります。(30例くらいの報告でしたが。。。)まあ、結果はほぼ同じ様なものでした。
対側の大腿骨近位部骨折を起こしたら死亡率が高くなることがこの研究でわかったので、次やることは2時予防としてどのように介入すると有効かということを調べることではないかと思います。
一つは大腿骨近位部骨折を起こした患者さん全員に退院時にPTH製剤、BP剤の投与を行い、その骨折率、死亡率がどうなるか前向きに研究してみる。
ビタミンDも有効かもしれませんね。
あとはヒッププロテクターを導入してみるとかかな。。。。

2012年2月2日木曜日

20120202 JBJS(Am) Evidence-based orthopaedics Optimizing the management of rotator cuff problems

腱板損傷に対するAAOSの臨床ガイドライン

本文はクリニカルクエスチョンの話で書かれていますが、ここでは推奨度の強い順に並べます。

・Strength of recommendation:moderate(それなりに推奨できる)
●画像上明らかな腱板の全層損傷がなく、腱板に伴う症状があるような患者ではまずは運動療法とNSAIDsの投与をそれぞれ、または併用して行なう。
●労災で治療する患者の予後は悪い
●手術の際にルーチンで肩峰形成術を行なう必要はない
●治療の際に異種移植片移植はおすすめできない(訳者注 人工真皮の使用のようなものか)

・Strength of recomemndation:weak(エビデンスがないわけではない)
●慢性の痛みがあるような腱板の全層断裂は手術治療の適応がある場合がある
●急性外傷の際の腱板損傷を受傷早期に再建してもよいかもしれない
●高齢であることと、MRIでのある形態の損傷はそれぞれ術後成績が不良となる因子となりうる
●修復しきれない腱板損傷に対して部分再建術、関節内デブリードマン、腱移行などを行なうことを考慮してもよい

・Strength of recommendation:consensus(エビデンスはないけれど全体の同意が得られている事柄)
●画像上腱板の全層断裂があっても症状のない患者に対して手術を行なうのはどうかとおもう
●術後に局所の冷却療法を行なうことは術後疼痛を軽減するのかもしれない

・Strength of recommendation:inconclusive(まだその内容について議論の途中である)
●腱板損傷の患者に対して運動療法をおこなった方がよいのかどうかは不明である。
●腱板損傷の患者に対して肩峰下滑液包に関節内注射を行なった方がよいかどうかは不明である。
●腱板損傷の患者に対してNSAIDsの使用、積極的運動療法、温冷療法、マッサージ、TENS、低周波、超音波療法を行なうことはとくに支持するエビデンスがない
●糖尿病が併存していること、その他の併存症、喫煙、感染、頚椎病変の存在が手術成績と関連するかどうかは不明である
●同種移植は有効かどうか不明である
●術後の外転枕か、一般的な三角巾のどちらを使用した方がよいかということは不明である
●術後どの程度安静にしていたらよいか、いつから運動療法を開始するかと言うことも不明である。
●術後の疼痛管理に肩峰下にカテーテルを留置し、鎮痛剤を投与する方法が有効かどうかも不明である。

【論評】
肩の痛み(腱板損傷)も腰、膝におとらずそのblack boxが多いことを再確認しました。
保存療法においても膝よりも全体にエビデンスが少ないこともよく分かりました。
また手術療法についても膝のTKAのような絶対的な方法がないことも難しさの一つなのかなと思います。
逆にいえばまだ議論されている内容について少しずつ、症例対照研究の形でもよいので積み重ねていくことでより根拠のある医療を提供できるのではないかと考えました。