背景:うつ状態は一般の母集団の中でもコモンな病態であり、それはTHA,TKAを受ける患者の中でも同様である。うつ状態は周術期の患者立脚型評価の低下、術後の合併症の危険性を挙げると言うことが示唆されている。抗うつ剤はうつ状態を改善し、THA、TKA術後の患者の機能予後を改善する可能性がある。
臨床上の問い:本研究では(1)THA、TKA患者において、周術期のうつ状態はすべての理由における再置換、無菌性ゆるみ、感染と関連するかどうか(2)周術期の抗うつ剤の内服はTHA,TKA患者において再置換、無菌性のゆるみ、感染と関連するかを検討することが目的である
方法:アメリカの大規模な病院で行われたTHA,TKA20,112例を対象。2002年から2009年までの間での検討。各病院のレジストリーを用いて手術の種類と臨床成績を調査した。抗うつ剤は入院中に内服していたかどうかをカルテを用いて調査を行った。4466例、22%の患者がうつの診断が下っており、5077例、25%の患者が抗うつ薬を内服していた。コックスハザードモデルによる解析を行い、抗うつ薬の使用が再置換のリスクと関連するかを調べた
結果:うつ状態であることはすべての理由の再置換、感染と関連した。(それぞれHR1.73、2.23)。周術期の抗うつ剤の内服は、感染とは関連しなかったが、SSRIを内服しているとすべての理由での再置換、無菌性のゆるみが減少した(HR0.77、HR0.72)
結論:うつの診断が下っているとTHA,TKAにおいて再置換の危険性が高くなる。周術期にSSRIを内服していると危険性は下がる。どうしてTHA,TKAの患者で再置換率が下がるのかの検討は今後の課題である。
<論評>
うつ状態にある患者さんは痛みを感じやすいと言われていますので、百歩譲ってすべての原因での再置換が増加するのはまだ理解ができる(何かの痛みを強く感じてしまっていて、術者が再置換に踏み切る)ますが、感染に関連すると言うのはねえ。
SSRIに体内の免疫を活性化させるような何か効果があるとでも言うのでしょうか。
製薬会社とのCOIはなさそうですが。
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