2012年4月30日月曜日

20,120,430 JBJS(Br) : Caouses and predictors of early readmission after surgery for fracture of the hip

抄録
この研究の目的は、大腿骨頚部骨折後に退院後28日以内に再入院する割合、危険因子を明らかにするために行った。セッティングは地域の大きな中核病院。後ろ向きに研究。過去1年間に大腿骨頚部骨折にて入院した467例。28日以内に再入院した患者について単変量解析、多変量解析を行なってその危険因子について明らかにしようとした。
11.8%の患者で退院後28日以内に再入院が必要となった。最も多い原因は肺炎で27.3%であった。ついで脱水と腎機能不全が多かった。運動機能の低下も18.2%で見られた。
入院時に肺病変があることと、再入院の理由が肺炎で有ることとの間には中程度の相関関係が認められた。
再入院が必要であった群の1年後の死亡率はそうでない患者に比べ圧倒的に高かった。(41.8%対18.7%)。ロジスティック回帰分析を行ったところ、高齢であること、入院元、糖尿病、神経学疾患の合併があることが再入院の危険因子で有ることがわかった。
再入院が必要となった患者ではその死亡率は高いことがわかった。危険因子に基づいた医療保険からの支払いのインセンティブが必要であることを示唆している。術後再入院を減らすためには多方面からのアプローチが必要である。

考察
11.8%の患者で再入院が必要となった。これらの患者は高齢で、合併症の数が多く、またASAグレードが高く寝たきりの患者であることが多かった。多くの現任は手術と関わるものでなく、肺炎、腎不全、歩行困難で2/3を占めた。手術が原因と鳴るものは9.1%にすぎなかった。
11.8%と言う数字は、イギリスでの12.3%という結果とそう変わりない。渉猟し得た他の研究では18.3%から34%と言うものまであった。これらの研究のうちの一つに40000人のコホート研究がある。その研究では入院期間が1週間以内であった。これらの研究はアメリカの医療制度に基づいて行われており、入院期間を短縮させようという方向に働いている。これらの研究では急性期の退院が再入院を増やしているエビデンスはないとしているものの、退院時に様々な臨床的な問題を持ったまま退院していることは間違いない。
本研究では入院期間が20日を超えている。これは他のNHSに基づいて治療をしている医療機関とかわりない。様々な問題に対処してから退院することで再入院の率が減っていると言うこともできる。
入院期間が長いから退院後に起こったかもしれない事象に対応できているので再入院率が低いのかもしれない。

再入院の理由は肺炎、腎不全、歩行機能の低下、腸炎、尿路感染などであった。これらはいずれも避けられない理由ばかりであった。手術の合併症によるとおもわれる再入院の率は低かった。この傾向は他の研究でも認められた。入院前から呼吸器疾患がある患者さんでは肺炎を起こしやすい。ということがわかったことが本研究の特筆すべきことである。腎不全は入院中の脱水、栄養不良が影響しているのかもしれない。最近の研究では栄養学に注目した管理が必要となってきていると言うことがトピックとして言われているので、今後はそのような方面からのアプローチも必要であろう。
NSAIDsの使用を極力減らしておくことも重要ではないかと考えている。

本研究では再入院をするような患者では1年後の死亡率が高くなることがわかった。他の研究でも同様のことが言われている。これは再入院するような患者はもともとの予備能力が低いためであろうと考えられる。

多変量解析を行ったところ幾つかの項目が有意差があるとなったが、結局高齢、入院前住居、糖尿病、神経疾患の有無が危険因子としてあげられた。

むしろ向き研究であることが本研究の限界である。しかしながらnも十分に大きいのでこの問題はクリアできていると思われる。

手術以外の要因で術後早期に再入院してくることが多かった。このためには様々な方策をとらなければならない。また患者の重症度に応じた医療基金からの支払いも必要ではないかと考えられる。

<論評>
大腿骨頚部骨折術後の再入院のお話です。
日本でもこの4月から医療連携の強化ということで早期転院がより強く推奨されるような点数配分となりました。
アメリカ、イギリスとは医療環境が違いますので、これを本邦に当てはめて考えるのはどこまで可能か、ということを考える必要があります。
それは、退院ではなく、転院という特殊性。ベッド数が多いので、医療機関へ転院できます。そこで治療を受けることができるので、日本の場合は再入院率が少し下がるのではないかと予想します
考察がだいぶ思い切ったところまで話を飛ばしているのには笑えました。
おいおい、キミィ、どこにもお金の話なんか調べてないやろ。と突っ込まなかったのでしょうか。笑
確かに重症患者、より技術のある医師には何かしらのインセンティブが働くようにした方が良いのではないでしょうか。人工関節誰が入れてもお値段一律という医療にはすこし違和感を感じています。
もう一つ気になったところは術前、術後の水分管理、栄養管理に言及していることです。この間ヨソでスウェーデン人の教授の話を聞いていましたが、そこの講演でも術中術後の栄養管理、水分管理について今後調べていく価値が有るのではないかと言うことでした。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21342737?dopt=Abstract
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12765661?dopt=Abstract

ご興味の有る方はどうじょ。笑

ちなみに私20006年頃に大腿骨頚部骨折とNSTというお題で調べたことがありますが、ネタの段階でボツとなっております。
その理由はNSTで低栄養と診断されるのは腹部外科のように何かしらの経腸栄養などを考慮しなければいけない患者で、整形外科の様に麻酔切れたら御飯食べていいよーと言うと頃では余り機能しませんでした。笑

脱水の程度などを評価する方法があると良いのかもしれませんね。



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