2012年4月6日金曜日

20120406 Up to date :Achilles tendon rupture

Achilles Heel

アキレス腱断裂を見た時に、最近保存療法をオススメすることが多くなっていましたが、はてはて、本当にそれで良いのかと。手術しなくて良いのかい?と疑問に思ったので探してみました。

以下Up to dateの記載からです。

・アキレス腱断裂の初期治療
患部の冷却、疼痛コントロール、安静、固定。(いわゆるRICE)を行い、整形外科医にコンサルトすべきである。
・完全断裂の場合
アキレス腱の完全断裂の場合には、原則的には手術治療がお勧めである。さまざまなシステマティックレビューが手術の有用性を指し示している。
-再断裂の頻度は手術治療を行った場合が5.0%、保存療法を行った時には12% であった。
-回復までの期間、患者満足度については結果が様々で結論が導き出せない。
-スポーツへの復帰について手術群と非手術群との間には差がなかった。(RR1.03)
-手術療法の方が治療に関わる合併症の発生は多く、創部感染が0%対18%とRR9.32倍と明らかに多かった。

手術治療は仕事への復帰に2から3ヶ月を要し、スポーツ復帰までに3~6ヶ月を要した。

手術を行った群で早期リハビリを行った群とそうでない群を比べた時に両群に差は見られなかった。

アスリートではなく、また高齢の患者ではひざ下までのギプス固定で治療を行うこともある。6~8週間の固定。再断裂についてよくお話しておく必要がある。受傷後48時間以内にギプスをまくべきである。

アキレス腱の部分断裂の場合にはどのような治療法が良いかということはわかっていない。手術治療と保存療法のどちらが有効かも不明である。この筆者らは基本的には保存療法を行うようにしている。

フォローアップも重要である。フォローアップの最大の焦点は再断裂を起こさないように注意することである。10%の患者が再断裂するということを常に念頭におく。
ムリにリハビリを行ったほうが良いという報告はない。
再断裂を起こさないようにするために以下のようなことを伝えておく
・運動前には適切なウオームアップを行うように
・冷水でのトレーニングをさけ、もし運動を行う際にはランニングタイツなどの装着を行う。
・硬い地面での運動は避けるようにする
・運動の負荷は徐々にあげるようにする
・ランニングシューズはクッション性が失われる前にマメに替える
・適切なフォームを身につける
・筋肉のバランスの悪さ、柔軟性を身につけるようにする


【結論】
””オレは手術で合併症が出てもいいからよくなりたいんだ!”と言う積極的な患者さんの時には手術療法をすすめる。(Grade2A)
経皮的アキレス腱縫合術は術後の感染のリスクを下げる可能性がある。

もし、手術による不利益が納得できないのであれば保存療法をすすめる。

【論評】
僕が普段考えている治療とほぼ同じ内容が記載されておりました。
ある程度年配の方であれば保存療法で許されるものと思います。

ただアキレス腱断裂の保存療法で治癒しなかったということで訴訟になった例があったと風のうわさで聞いたことがあります。保存療法の限界を見極め、再断裂の危険性についてはよくお話しておく必要がありますね。

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