2012年4月19日木曜日
20120419 Up to date:Vertebral osteomyelitis and discitis
脊椎椎体炎と椎間板炎
椎間板炎自体は高齢化とともに徐々に増えてきていると言われています。最近転勤先の病院で何人かの患者さんを診ることがありましたので自分の知識の整理とともに最新の知見をup to dateできればと思いまする。
Summary and recommendation
・脊椎椎体炎は離れた感染源からの血流感染、外傷・脊椎術後の直接感染。軟部組織感染からの波及の3つの感染ルートが想定されている。
・最も多いのが血流感染である。
・起因菌としてもっとも多いのが黄色ブドウ球菌で50%を占める。この他にはグラム陰性桿菌、カンジダ、緑膿菌、溶連菌、結核などがある。
臨床症状
・もっとも多い症状は腰痛、頚部痛である。発熱は時々はっきりしないことがある。
・ESR、CRPの著明な上昇を認める。
診断へのアプローチ
・脊椎椎体炎、椎間板炎の診断は時々難渋することがある。臨床症状、レントゲン写真の異常から診断がなされることが多い。確定診断のためには椎間板、脊椎椎体の吸引生検が必要となる。血液培養は50~70%の患者で陽性となる。
・MRIは脊椎椎体炎を診断するのにもっとも感度が良い検査機器である。
・筆者らは脊椎椎間板炎を疑った患者がいるときには以下のようなアプローチを用いて診断するように推奨している。
>まず最初に身体所見、血液検査、血液培養、単純レントゲン写真を撮影する。
>もし脊椎の局所の圧痛がある、かつ/または血液培養、単純レントゲン写真、血液検査で異常を認めた場合にはMRIを撮像する。
>もしMRIで病変が確定された場合にはCTガイド下にて生検を行う。生検した組織は好気性培養、嫌気性培養、真菌培養、抗酸菌培養などに加えて病理検査まで提出しておく。
>レントゲン写真で明らかな脊椎炎の像があり、血液培養が陽性に出た場合には生検を無理に行う必要はない。
>血液培養、針生検がともに陰性だった場合で、それでも身体所見上椎体炎が疑われる場合には2度目の脊椎生検を予定する。
>2度の脊椎生検にても陰性だった場合には経験的抗生剤の投与を開始する。
・IEの患者で腰痛を訴えることがあるのでIEの除外診断だけはしておく。
治療
・ほとんどの患者で抗生剤治療のみで軽快するがときどき手術を必要とする患者がいる。
・患者の状態が落ち着いていれば針生検、もしくは血液培養の結果がでるまで抗生剤の投与は見合わせる。
・培養の結果がでたら感受性の結果にあわせて抗生剤の投与を開始する。抗生剤の投与は点滴で行うことをこの筆者らは推奨している。
・培養の結果が陰性で、複数回の生検の結果でも起因菌が明らかにならなかった場合には、エンピュリックな抗生剤の投与を行う。
起因菌から想定するに、エンピュリックな治療としてバンコマイシンに加えてcefotaxime(セフォタキシム®)、ceftazidime(モダシン®)、ceftriaxone(ロセフィン®)、cefepime(マキシビーム®)、ciprofloxacin(シプロキサン®)のいずれかを投与する。
・3週間エンピュリックな抗生剤投与を行なって改善が得られなかった場合には切開生検、または再度の針生検を考慮する。
・治療は最低6週間継続し、反応によっては12週間継続する。
・手術治療は基本的に不要である。
【論評】
長期間抗生剤投与は自分の中で納得が行くのですけども、長期間臥床を強いられている患者さんたちをみてホンマにそんなに寝かして置く必要があるのかな?と言うのがコレを読んだボクの疑問です。
1970年代に出た論文を幾つか調べてみると脊椎の椎体変形予防のために安静臥床と装具の装着が必要である。とする論文がありました。
どれだけの期間寝ていたら良いかということについては一定の見解はないのでしょうね。。。。
また時間があるときにこのUp to dateの本文も読んでおきます。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿