2009年9月14日月曜日

JBJS Sptember 2009,Is After-hours orthopaedic surgery associated with adverse outcomes?

要旨【背景】骨折の治療はいつも日中の医療資源の整った時に行えるわけではない。大腿骨骨折、脛骨骨折についてその治療成績について評価した。【方法】203人の大腿骨骨折と脛骨骨折の患者。この患者を日中群と残業群の2群に分けた。6時から16時までが日中群。16時から翌朝6時までが残業群である。残業群での大腿骨骨折が45例。脛骨骨折が48例。日中群の大腿骨骨折が44例。脛骨骨折が56例であった。患者背景はよく似通っている。治療方法も同じ様にした。骨折の治癒、合併症、手術時間、放射線透視時間を後ろ向きに集めた。【結果】治癒率は日中群、残業群とも同じであった。単変量解析を行ったところ残業群のほうが大腿骨骨折、脛骨骨折の手術時間が短かった。回帰分析では手術時間が有意であると断定はできなかった。残業群で再手術率が高かった。痛みのために抜釘を行う率も残業群のほうに多かった。(27%:3%)。残業時に手術を行うことは痛みのために抜釘をする率が高くなることと有意に関連していた。【結論】癒合不全率、感染率、放射線透視時間は差がなかった。残業時間に大腿骨骨折の手術をすると痛みのためにインプラントを抜去することが多くなることがわかった。これはひょっとしたら理想的な環境でないことや手術時間が短いこととも関連しているのかもしれない。日中に外傷手術を行えることは髄内釘での小さな合併症を減少させる可能性がある。
表1 患者背景。すべての群はよく似た群となっている表2 骨折の分類表3 骨折の受傷機転 いずれもよく似た傾向にある。表4 開放骨折の率。日中も夜間もよく似たような状況にあった。表5 合併症 スクリューの抜去率が残業群で高かった。
考察骨折の治療はしばしば残業帯に行われる。手術が遅くから行われるのにはいくつかの隠れた理由がある。手術がどうしても夜に必要となってしまったという場合。またほかの原因としては手術室の医療資源が足りずに手術が遅く始まるといったことがある。残業帯に行われる手術はどうしても理想的な状況とはいえないようなところがある。夜間の手術はどうしても日中の仕事をすべて行ったあとから始める。一般的な睡眠時間に手術をしていることもある。術者の疲労が大きくなっている。術者の疲労は手術の悪い結果を導くことがある。ほかにも夜間の手術は有害な点がある。手術のチーム全体がなれないチームで行われるためその手術自体に慣れていないことがある。このような理想的な状況ではないところで手術をするとどうなるかということを今回は調査した。今までに術後の合併症について手術のタイミングの影響ということは調査されてきていた。しかしこれらの調査は早く手術をするべきかそれとも待機的に手術をするかという違いについて述べられていた。そこで私たちが調査したのは手術をどの時間から行ったかということであった。今回午後4時から残業帯としたのはナースの勤務帯に合わせた。今回の研究で特記すべきことは日中と夜間帯の骨折型、患者背景が似通っていたことであった。もっと夜間帯に開放骨折の患者が多いと思っていた。脛骨骨折で夜間帯に38%、日中に25%であったがこれは有意差がなかった。大腿骨骨折はより似通っていた。骨折の治癒過程に合併するような有害事象は夜間帯であるということと関係がなかった。骨折の重傷度、軟部損傷の程度が骨折の治癒に影響を及ぼすが、夜間帯に手術をするということはわれわれの研究では関係なかった。反対に手術の技量と直接関係するところは手術環境が悪化することで影響を受けるものと考えられる。スクリューを入れたり、ネイルを入れたりといったことは手術の技量と直接かかわっており、骨折型や軟部組織の程度とは関係がない。今回再手術でスクリューの抜去が多かったということは手術のタイミングとかかわっているものと思われる。このことは手術時間が夜間帯で短くなっていることからもわかる。この手術時間の短縮は術者の要因がある。Bhattacharyyaらが言うには夜間帯の手術は合併症が多い。この研究は限界がある。午後4時という早い時間から夜間帯としてよいのかという問題がある。また、夜間のメンバーは日中よりも強力になっていたかもしれない。結論として、大腿骨骨折の治療についていえばインプラントのマイナートラブルが起こるので日中の手術のほうが望ましい。

論評
アメリカならではの早期固定術に対する一つのアンチテーゼでしょう。これを書いた先生は少し疲れているのかもしれません。(笑)日本だとけん引、創外固定でお茶を濁すことも多々あると思うので同じ結果にはならないと思います。
大腿骨頚部骨折で手術室、麻酔科の都合で夜スタートになったものの成績を調べるとおんなじような研究ができるのかもしれません。

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