2018年3月1日木曜日

20180301 CORR Do Stem Design and Surgical Approach Influence Early Aseptic Loosening in Cementless THA?

CORRから。
たしかに実際に手術をしているとこのあたりは当たり前だと思いますが、それを国家レジストリーで明らかにしたところが良い論文だと思います。
詳細は別に記載します。

------------------------------
背景
幾つかの研究で、初回THAにおける前方または前側方アプローチでの早期のステムの緩みが報告されている。一方、アプローチは他の因子についてはリスクファクターとはなっていない。ステムデザインについて、いわゆるアナトミック(近位外側が曲面、または鈍角となっているデザイン)またはショルダー(肩の部分が直線的になっているデザイン)が初回THAの早期のステムルースニングと関連しているのかもしれない。しかし今までにそれらの危険性についてなされた研究はない。
臨床上の問い/目的
本研究では国家レベルのレジストリーを用いる。そのうえで、アプローチ別でのショルダータイプのステムとアナトミックステムとの間での早期のルースニングについて比較をおこなうこと
方法
オランダの人工関節レジストリー。2007年から2013年までの間の初回THAのうち、全ポウまたは前側方で手術が行なわれた63354例を調査。最低フォロー期間は2年間。アナトミック、ショルダー、その他の3つに分類した。47372例のTHAがショルダーまたはアナトミックで手術がされていた。1195例、2.5%がなにかしらの理由で再置換が行なわれており、340例、0.7%が無菌性の緩みを理由に再置換されていた。1558例の患者がフォロー期間中に死亡していた。後方アプローチと比較して、前方または前側方アプローチでのアナトミックまたはショルダーでの早期緩みについてハザード比を求めた。
結果
性別、ASA、手術の既往、ステムの材質、コーティングについて調整を行った後に、ステムとアプローチとの関連について調査を行った。後方アプローチを使用した場合に比べて、ショルダーでは前方アプローチ、前側方アプローチでの再置換率が高かった。(前方アプローチ HR 10.47、前側方アプローチ HR 2.28)。
結論
セメントレスTHAにおいて、ショルダーは後方アプローチに比べて前方または前側方アプローチでは早期の緩みと関連することがわかった。前方または前側方アプローチではアナトミックのほうが好ましいかもしれない。前方アプローチでのショルダーステムについての更なる症例の集積が必要である。


2018年2月26日月曜日

20180226 Osteoarthritis and Cartilage Biomechanical change and recovery of gait function after total hip arthroplasty for osteoarthritis: asystematic review and meta analysis

背景
変形性股関節症術後の歩行のバイオメカニクスの変化を評価するため、術前の歩行状態との比較、健常者との比較を行った。
方法
システマティックレビューとメタアナライシスにてTHAの術前の比較と健常人との比較をそれぞれ行った。キネマティクスとカイネティクスのパラメータの評価を行った。
結果
2477例の患者。術後6週で歩行スピード、ストライド、歩幅、外転角度の改善が認められた。股関節の可動域は術後3ヶ月から改善が認められた。術後12ヶ月で歩行スピード、ストライド、片脚起立時間、関節可動域が健常人とほぼ同等レベルまで回復した。
結論
OAに対するTHAでは早期に術後から歩行にかんする改善が認められた。THAの患者では12ヶ月で健常人とほぼ同レベルまでの改善を認めた。

−−−−−−−−−−−−−−−−

歩行能力に関するメタアナライシスはありませんので、珍しい研究だなと思います。
研究ごとでの患者背景の違いはあるのではないかと思いますが、一般的なお話としてお伝えするには耐えうる内容ではないかと思います。

2018年2月25日日曜日

20180225 Osteoarthritis and Cartilage The association between ambulatory activity, body composition and hip or knee joint replacement due to osteoarthritis: a prospective cohort study.

OARSIからの報告。
前向き研究。OARSIは統計家の関与がない論文は既に受け付けてもらえません。
普段から統計家と呼ばれる人たちと何かしらのカタチでコミュニケーションを取れるようにしておくことは臨床家にとって必須です。

背景
本研究の目的は変形性関節症のために人工股関節全置換術または人工膝関節全置換術に至ることと、歩行能力、体の組成についての関連を調査することである。
デザイン
1082人の地域住民患者。50−80歳までを対象。歩行能力は万歩計で測定し、体内組成はDEXAをもちいて測定を行った。人工関節置換術を受けたかどうかをレジストリーから確認。年齢、性別、レントゲン写真上の変形の程度、疼痛で調整して歩行能力、体内組成について人工関節置換置換をエンドポイントとしたロジスティック回帰分析を行った。
結果
13年間のフォローアップ。74例、6.8%の患者がTKAを、4.7%の患者がTHAを受けた。歩行能力はTKAのリスクを高くし、THAのリスクを下げた。BMI,総脂肪量、体幹の脂肪量、腹囲はTKAのリスクを高くしたが、THAとは関連しなかった。
結果
歩行はTKAのリスクを高くしたものの、THAのリスクとは関連しなかった。体内組成はTKAと関連したものの、THAとは関連しなかった。日常生活動作や肥満に関しての指導は罹患した関節ごとに異なった指導が必要となる。

---------
膝に比べて股関節はもともとの形態が、将来の変形に影響することが大きな関節です。
長期間のフォローアップによってそれを明らかにした研究だと思います。
日常生活動作、一般的な指導についてもどのようにおこなうかということは現在のところ充分に研究されたとはいい難いのが実情です。
今後日本からそのような保存療法についてのエビデンスを多く発信していければと思います。。。。。

20180225 人工関節学会に出席してきました。

人工関節学会に出てきました。

股関節学会もそうですが、玉石混交。
今すぐにでも英文雑誌に投稿できそうな演題がある一方、まったく演題としての形態をなしていないものもありました。

とくに残念だったのが、前向きに無作為研究をやったとの報告。

内容は非常によい。手間暇も充分にかかっている!素晴らしい!とおもったのですが、無作為前向き研究のお作法がわかっていない。。。。。もったいなさすぎる。

まずは、無作為研究をするときには、Primaryエンドポイントを決めて、そこから算出されるサンプルサイズを計算しましょう。Primaryエンドポイト以外の内容はあくまでもおまけです。
除外もしっかりと決めておくこと。
あとは有害事象についてもしっかりと検討をしておかないといけません。
一般病院だと難しいですが、今時は臨床統計家の関与は必須ですし、前向きであればUMINへの登録が必要です。

演者の先生に質問しましたが「はあ?サンプルサイズ?全例なんだけど」みたいな顔をされていましたので、多分つたわらなかったなあ。。。。
せめて共同演者の先生には出てきてほしかった。まだ遅くないと思うので、指導の先生とともに研究を組み直していただければと思っています。

このブログで、この2年間で中国からの情報発信のエネルギーの凄まじさをひしひしと感じています。
せっかく時間をかけて、手間暇をかけたからこそ、カタチにして世界に発信していければ。



2018年2月23日金曜日

20180223 JBJS Am Perioperative Allogeneic Red Blood-Cell Transfusion Associated with Surgical Site Infection After Total Hip and Knee Arthroplasty.

輸血が増えると感染が増えますよ。というお話です。
ホントは中まで読まないとなんとも言えませんが、交絡なんじゃね?と思います。
輸血が増えると言うことは、オペ時間も長いでしょうし、術者が下手なのかも知れないし。
症例数で押し切りましたかね。最近JBJSAmはこういうのが散見されて困ります。

---------
背景
周術期の輸血は人工関節置換術後の感染のリスクファクターとして知られている。しかしながらその投与量や術前の貧血具合、凝固系疾患の有無までは調べられていない
方法
一施設で行なわれた10年間で6788例の人工関節術後の患者を対象。多変量解析を行った。
結果
輸血量と感染の危険性には関連があった。1単位輸血するとオッズ比1.97、2単位輸血すると2.20、3単位以上輸血すると7.40となった。内科疾患で調整したところ、術前から出血傾向にある場合、凝固系疾患がある場合、術前から貧血があることが独立した危険因子であった。
結論
輸血と周術期の感染の間に関係があった。加えて術前の貧血、凝固系疾患は独立した危険因子であった。適切な輸血が求められる。

2018年2月22日木曜日

20180222 J arthroplasty Does Preoperative Opioid Use Increase the Risk of Early Revision Total Hip Arthroplasty?

オピオイドの使用は全世界的に増えています。
これをお読みの方々も以前よりもオピオイドの使用が増えたという実感がお有りになるのではと思います。
脊椎では術前からオピオイドを使用していると術後成績が不良となるとする論文が散見されます。
THAではどうなるのか。というのが本論文です。

---------
背景
本研究の目的は術前のオピオイドの使用が早期の再置換術に与える影響を評価することである。
方法
2007−2015年。単施設。THAの再置換を行った患者を追跡。術前のオピオイドの使用、年齢、性別、DMの有無、鬱の状態、腎機能障害、肥満をロジスティック解析を行い危険因子を同定した。
結果
17695例のTHAの患者のうち、0.88%(155例)の患者が2年以内に再置換が行なわれていた。36.7%の患者でオピオイドが処方されていた。58.7%の患者が女性。80%が50歳以上であった。単変量解析を行ったところ術前のオピオイド使用患者は早期再置換に有意に多くなっていた。その他には肥満、うつが早期の再置換で有意に多かった。
結論
THA術前3ヶ月以内の使用は早期の再置換の独立した危険因子であった。その他には肥満とうつが関連していた。これらの情報は保険の支払いにて考慮される内容であろう。また術前にオピオイドの中止すると再置換が減るかどうかの検討が必要となる。

---------

再置換が増えるメカニズムがなにかとの記載はありませんのでオピオイドは交絡因子の可能性があると思います。
しかし、昨今のオピオイドの安易な処方には個人的には疑問を感じています。
運動療法、生活指導を行ったうえで適切に処方されるべきではないでしょうか。

2018年2月21日水曜日

20180221 JBJS Am Intermediate-Term Hip Survivorship and Patient-Reported Outcomes of Periacetabular Osteotomy: The Washington University Experience

アメリカの骨切りといえばClohsyさんのところですが、そのClohsyさんのところからの報告。骨切りのPatiented reported outcomeの中期成績。
骨切りの長期成績とその危険因子については、日本からの優れた報告が多数あり、2013年から2014年にかけてJBJS am、CORRなどに掲載されています。(兼氏先生、安永先生、内藤先生、長谷川先生の報告)。危険因子についてはJOA、BJJに天野先生が重み付けをしたうえでの報告を行っていますのでそちらを参考にされても良いのかもしれません。


背景
Berneseの骨切り(PAO)は症状のある寛骨臼形成不全に対してTHAのかわりとして行なわれる手術である。今まで中長期の成績は報告されていない。本研究はPatient reported outcomeをもちいて成績を評価することである
対象と方法
1994年から2008年。PAOが行なわれた206例238股関節。62例は古典的な寛骨臼形成不全ではないと診断され、22例はフォロー不能となった。129例154関節。術後10.3年のフォローアップ。THAをエンドポイントとしてKaplan Meier曲線を飼いた。UCLAスコア、HHS、WOMCスコアを同時に取得し、WOMACのpainスコアが10点以上、HHSが70点以下となった場合には症状のある関節とした。
結果
15年生存率は92%出会った。8関節(5%)がTHAに置換された。THAまでの期間は6.8年±5.2年であった。24関節、16%が症状のある関節となった。122関節はTHAにならず、症状も出現しなかった。術後10年の時点でのUCLAスコアは7.7点。WOMACのサブスケールは1.2点であった。関節適合性が悪いこと、CE角が38度以上であることが成績不良因子であった。頚部の骨形成をおこなった症例では破綻率が低下した。
結論
間接的合成の不良、寛骨臼のかぶせ過ぎは成績不良因子となりうる。頚部の骨形成は術後可動域に有効で破綻の可能性を減少させる。