2021年12月4日土曜日

20211204 BJJ Cost-effectiveness of dual-mobility components in patients with displaced femoral neck fractures

 デュアルモビリティコンポーネントを用いた人工股関節置換術(DM-THA)は,従来のシングルベアリングTHA(SB-THA)と比較して,大腿骨頚部転位骨折時の脱臼のリスクを低減することが示されている.本研究では、脱臼率の低下という臨床的メリットが、SB-THAと比較したDM-THAのコスト増を正当化できるかどうかを評価した。 

方法 

75~79歳の患者を対象に、カナダの保険支払いのデータから、5年間のベースケースでコストとベネフィットを設定した。一方向性感度分析および確率的感度分析により、ベースケースモデルの結論の頑健性を評価した。

 結果

 DM-THAは費用対効果が高く、質調整生命年(QALY)あたりの増分費用対効果比(ICER)は46,556カナダドル(27,074ポンド)と推定された。感度分析の結果、DM-THAは最初の2年間はすべての年齢層で費用対効果がないことがわかった。DM-THAは、80歳未満では5年から15年の期間で費用対効果が高くなるが、80歳以上ではどの期間でも費用対効果は高くならなかった。

ベースケースの10年目で費用対効果があるためには、DM-THAがSB-THAと比較して脱臼のリスクを62%以上減少させる必要があると推定された。確率論的感度分析によると、DM-THAはベースケースにおいて58%の確率で費用対効果があるとされた。

 結論

 80歳未満の大腿骨頚部転位骨折患者にDM-THAコンポーネントを使用して治療することは、SB-THAと比較して費用対効果が高い可能性がある。しかし、有害事象のモデル化された発生率が正しいかどうかは、今後の研究で明らかになるであろう。外科医は引き続き臨床的判断を行い、個々の患者の生理学的年齢と脱臼の危険因子を考慮する必要がある。

<論評>

デュアルモビリティは易脱臼性が危惧される患者ではどうしても選択してしまいがちです。

80歳以上では確かにDMよりも大径骨頭で十分対応可能なのかもしれません。将来の自分たちの保険のためにもよく考えてインプラントを使わないといけませんね。

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