背景
我々は、拡張現実(AR)ベースのポータブルナビゲーションシステムを開発し、THA時に術者がスマートフォンのディスプレイ上で骨盤面と寛骨臼カップの配置角度を確認できるようにした。
目的
(1) ARを用いたポータブルナビゲーションシステムを用いた場合、従来のフリーハンド法と比較して、寛骨臼コンポーネントの配置はより正確か?(2) ARを用いたポータブルナビゲーションシステムを使用した場合、ゴニオメーターと比較して術中の配置角度の測定はより正確であるか?
方法
46名の患者が、ARベースのポータブルナビゲーションシステムを使用したTHA(ARナビゲーション群)とアライメントガイドを使用したTHA(従来群)のどちらかに無作為に割り付けられた。すべての手術は、側臥位であった。2種類の画像(X線撮影とCT)を用いて、目標とする配置角度と術後に測定した配置角度との差の絶対値を両群間で比較した。
結果
radiographic inclinationについて、ARナビゲーション群では、X線写真、CT計測ともに、アライメント群よりも目標とする配置角度と術後の測定角度の平均差が小さかった(それぞれ2.3°±1.4°対3.9°±2.4°、p=0.009、1.9°±1.3°対3.4°±2.6°、p=0.02)。Radiographic anteversionについては両群間で差は認められなかった。ARベースのポータブルナビゲーションシステムの使用に関連した合併症はなかった。
結論
このシステムでは、前方開角に有意差を認めず、また外方開角についても臨床的に有意な差を認めなかった。したがって、現時点では、カップ装着精度に臨床的に意味のある差がないことから、この装置のコストとリスクを正当化することができないため、この装置を推奨することはできない。合併症はなかったが、これは小規模なシリーズであることと、手術時間と腸骨にピンを挿入する影響はある。
<論評>
CORRの今回の筆頭記事になっています。世界が注目していた研究といっても言い過ぎではないと思います。
北水会のからの臨床研究は日本をリードしているといってもよいかなと思います。先日もJBJSにトラネキサム酸の術後投与で出ていました。すごいです。
今回の研究は有意差なしということで勇気があるな-と違う意味で感心していました。笑
側臥位であることがこの研究で差が出なかった原因だと思います。やはり仰臥位に比べると側臥位での骨盤の動きの大きさは大きくなりますから。
腸骨にピンをたてるにも、漆谷式またはヒップコンパスみたいなのを採用すると良かったのかなと思いました。まる
0 件のコメント:
コメントを投稿