<抄録>
年々若年でTHAを受ける患者が増えてきているが、患者の年齢と大腿骨髄腔の直径とが関連してきている。本研究の目的はTHAを受けた患者について年齢と大腿骨髄腔の直径との関連を大規模調査にて明らかにすることである。1685例のTHAを受けた患者のレントゲン写真を評価、736人の男性、949人の女性。平均年齢は67.1歳と70.2歳であった。平均の大腿骨髄腔の直径は男性で13.3ミリ、女性で12.7ミリであった。男性では年齢と大腿骨髄腔の直径との関連はなかったが、女性では年齢を重ねるにつれて大腿骨髄腔の直径が大きくなる傾向にあった。
大腿骨髄腔の直径はTHAを受けた患者で40歳から80歳までの間で3.2ミリ増えることが予想された。これに対して男性では0.6ミリにとどまると予想された。大腿骨髄腔の直径が大きくなることで大腿骨側インプラントの安定性に何かしらの影響を与えるのではないかと考えられた。
<考察>
大腿骨髄腔の直径と年齢との間に関連があること、そして年齢による平均髄腔の直径を予想することができることを本研究で明らかにした。
本研究は横断研究であり、前向きの追跡研究ではないが、患者ごとの30年間のデータは存在しない。本研究のもう一つの問題は白人を対象とした研究であり、アジア人、中東の人種を対象としていない。アジア人と白人との間では大腿骨の形状に差があるとする報告がある。またその髄腔は2から3ミリ小さいとする報告がある。THAを受けた女性の大腿骨の髄腔が大きくなるということはすでに日本からの報告がある。
cadaverによる研究(80例)で同様の大腿骨髄腔の太さを測定した研究もあるが、あまりにも多様性が多く、誤差が大きかった。
本研究で言えることは高齢女性では年齢と相関して大腿骨が太くなるということで、その程度は年間0.6ミリ程度であろうということである
今後若年者にたいしておこなわれたTHAの評価が必要となるであろう。
<論評>
確かに年寄りの髄腔は太いですね。あくまでも横断研究ですけど、それをたくさんの数で行うことで縦に追って行ったのとほぼ同じ意味を持たせているところがすごいです。
こういうのを読むとオーダーメイド人工関節というのも年齢の変化を考えなければならないのかと考えて余計に難しくなりますね。
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