この10年間セメントレスカップはTHAにおいて主要な位置を占めるに至りました。北アメリカでは多くのTHAがセメントレスでおおなわれています。このレビュー、メタアナライシスはセメントとセメントレスカップの再置換術について比較することを目的としました。
【方法】
PnbMedで3488の文献を検索。81文献が条件に合致した。英語論文のみを対象とし、最低10年間の経過観察が行われているもの。そのインプラントの生存率について調査した。
45文献がセメントレスカップの生存についての報告で、29文献がセメントカップの生存についての報告であった。7文献でセメントカップとセメントレスカップの比較を行なっていた。これらの文献を用いてメタアナライシスを行った。
【結果】
メタアナライシスの結果、どちらのカップが有効であるかという結論は明らかにならなかった。年齢、性別を調整した累積生存率の結果ではセメントカップがオッズ比1.6で有意に長持ちした。
【結論】
現在までの報告ではセメントレスカップを選択するだけのエビデンスは得られなかった。セメントカップのゆるみがセメントレスカップばかりを使っている北アメリカの術者の報告でばかり発症していることを考えればセメントレスカップよりもセメントカップのほうがより再現性を持って安定した固定が得られるのかもしれない。
<論評>
ハイクロスリンクポリエチレンの出現、大径骨頭の出現などこの10年間でTHAを取り巻く環境は大きく変わりました。
セメントカップ、セメントレスカップのいずれがよいか。というのはこの数年の僕自身の疑問でありました。
その疑問に応える一つの回答がこのメタアナライシスだと思います。
ただし、セメントレスがよいのかセメントがよいのか。という報告を読むときに小生がきにしているポイントがあります。
それは『報告している人間の国籍』です。ハイ。
国籍によって結論は以下のように変わります。
『アメリカの術者はセメントレスカップ押し、セメントを押している論文を書くのはイギリス人かヨーロッパの人々』
ちなみに今回のこの報告はイギリスからの報告でした。どおりで口が悪い。笑
日本人に多い臼蓋形成不全をともなった二次性の変形性股関節症に対して骨性の支持性を回復しながら原臼設置を行うのにはセメントカップが適していると思います。
ただ、最近のハイクロスリンク+αのインサートがセメントカップの有用性を超えることができるのか?ということは注視しております。
まあ、自分で入れる機種を選択できるほどまず自分がエラくならないといけません。笑
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