2013年1月3日木曜日

20130103 JBJS Risk factor for nonunion in Pt w/ intracapsular femoral neck fracture treated w/ three cannulated screws placed in either a triangle or an inverted triangle configuration


Triangle...

小生、大腿骨頚部骨折の関節内骨折観血的手術はCannulated cancellous screw (CCS)で行なっております。
 研修先の病院では『逆三角形になるように配置しろ』と教わりそのとおりに打って参りましたが、転勤した現在の病院では『三角形のほうが安定するんじゃね?』と言われ、そんなものかと思い三角形になるように打っております。
いっとき見学におじゃましていた病院では『2本で十分』と聞いて( ´_ゝ`)フーンと感心しておりました。
まあ、どっちでもええやんと思っておりましたらこんな論文を見つけましたのでご紹介。
台湾からの報告です。
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背景
大腿骨頚部骨折ではしばしば偽関節になる症例を経験する。本研究の目的は 三角形にスクリューを配置することと、逆三角形にスクリューを配置することで骨折部の安定性に差が出るかということを調べることである。
方法
2000年から2009年までの間で、大腿骨頚部骨折を3本のCCSで三角形型(近位に1本、遠位に2本のCCS)で固定したものと、逆三角形形(近位に2本、遠位に1本のCCS)で固定した。
結果
202例の手術が行われていた。76例が男性、126例が女性。平均年齢は64.53歳。(19歳から93歳まで)。153例で骨癒合が得られたものの、44例で偽関節となった。骨癒合群と偽関節群との間に年齢、性別、骨折した側、骨折の角度、骨密度に有意な差はなかった。骨折型、三角形か逆三角形か、整復の状態、スクリューが軟骨下骨にかかっているかが偽関節群と骨癒合群で違っていた。そのオッズ比は転位のある骨折で2.93、整復位が得られているかどうかで18.92、三角形型固定は逆三角形固定にくらべ2.92偽関節になり安かった。
結論
三角形に固定すること、転位のある骨折、十分な整復位が確保できないことが大腿骨頚部骨折の内固定を行った時の偽関節因子となりうる。

考察
本研究で三角形型に固定することで偽関節となる可能性が高くなることがわかった。この他には転位型の骨折、整復不十分が偽関節の危険因子として挙げられた。
転位型の骨折、整復不十分なことは今までも偽関節の危険因子として挙げられてきた。
他の研究では高齢、女性であること、骨折の角度が50°以上であることなどが危険因子として挙げられてきた。
本研究の特記すべきポイントは三角形型に固定するか、逆三角形型に固定するかで偽関節になった症例数に違いが出た、という点である。バイオメカニクスの観点からは多くの識者は逆三角形型に固定するように勧めている。ただし、今までこの固定の形についての臨床研究は無い。
三角形に固定すると偽関節が増えることについての説明として筆者らは以下の2点を考えた。まず一つ目として遠位の2本のスクリューがWardの三角を通過してしまっていることによるメカニカルな脆弱性を生じること。2つ目として他のバイオメカニカルな研究によっても報告されているように大腿骨頭の中央から上方にかけての部位が引張力に対して最も強く働く。このような理由から逆三角形のほうが三角形に固定したものよりも引張力に強いのでは無いだろうか。
スクリュー先端と軟骨下骨との距離については、転子部骨折ではTADが用いられているが、頚部骨折では一定した方法がない。
本研究の限界としては、なぜ担当した術者が三角形で固定したのか、逆三角形で固定したのかわからないこと。スクリュー間の距離を3Dでないので把握できないこと骨密度の評価が不十分であることなどが挙げられる。

<論評>
スタディデザインが微妙だなあと思いましたが、結果は面白いですね。
この次はRCTで三角形で固定するか逆三角形で固定する、という方法で追試すると本当に固定方法が偽関節に関わってくるのかどうかがわかると思います。
何故ならば術者がなぜその固定型を選んだかがこの研究ではわかりません。するとひょっとしたら転位が大きかったら三角形、小さかったら逆三角形と使い分けている術者がいたかもしれませんが、このデザインではその可能性を排除し切ることはできませんから。
ただ、逆三角形に入れたほうが幾何学的には理にかなっているんじゃないかなあというのがいろいろな固定方法を試した人間の感想です。
ハンソンピンはわかんないす。



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