2013年3月22日金曜日

20130322 BJJ When can I drive?

患者さんから時々聞かれることの一つに、下肢の術後に”いつからクルマの運転ができますか?”と言うものがある。
この問に答えることは難しく、ガイドラインも策定されていない。このレビューは患者が自動車の運転に復帰するまでの因子について検討を行ったものである。
Medline、Web of scinece、EMBASEを用いて”braking reaction time””brake reaction time””brake response time””braking force””braking pedal force””resume driving””rate of application of force””driving after injury””joint replacement and driving””fracture and driving”で検索を行った。
文献を詳細に検討した結果ブレーキの時間、ブレーキの反応スピードをアウトカムとして採用していることが多かった。
復帰までの時間は手術、疾患によって様々であった。
各種公的機関が様々な意見を述べている。
どの程度回復すればクルマの運転が可能となるかということは不明である。ガイドラインが策定されていないために不必要に車の運転を避けたり、まだ不十分な回復しかしていないのにクルマの運転を行なっている可能性がある。

考察
クルマの運転をいつから許可するかと言うのは古くからある問題である。多くの報告がブレーキをしてからの反応し観をアウトカムとして計測していた。しかしながら反応しても痛みのためにしっかり踏み込めないことも考えられるので、ブレーキを踏みつける力の測定も重要なのかもしれない。実際に研究でも疼痛があり、可動域制限がある間には患者がクルマに乗ることを避けていたという事実がある。
ガイドラインの必要性については以前から指摘されているが、今までに定まったガイドラインはない。外傷外科に関わる外科医の68%がいつ運転していいかという質問にこたえることが難しいと感じており、44%の外科医が訴訟に至る可能性について心配していた。現在までに術後に運転して自動車事故を起こしてそれが担当医のせいであるとする訴訟はイギリス国内では確認されていない。
保険会社からは骨折をして運転した場合にどうなるかということは明らかとされていない。医師の許可がでたら運転して良いというのが一般的な見解のようであるが基準があるわけではない。
オランダでは79%の整形外科医がガイドラインの策定を求めているが未だに策定されていない。アメリカではChenらが一つの施設内で基準を作成している。
ACL再建後の報告のように、10秒間で箱から箱へ緊急に足を移すことができる。といった客観的な指標にもとづいて今後は復帰の可否をきめると良いものと思われる。

<論評>
以前、THA術後の患者さんに『先生、クルマはいつから乗っていいんですか?』と聞かれて、『急ブレーキを自信を持って踏めればよいよ』とさらっと答えておきましたが、実際そのようですね。笑
日本語の文献をgoogle scolarで検索しましたがクルマの運転についてと整形外科外傷についての報告はないようです。
まずは実際にどの程度の人がそのタイミングから運転しているかの基礎調査が必要そうですね。
保険会社、役所がまったく返答をしなかったと言う報告もまた笑えました。世界中余り変わらないのかもしれません。笑

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