2011年4月27日水曜日

20110427 JBJS American Academy of Orthopaedic Surgeons Clinical Practice Guideline on The Treatment of Distal Radius Fractures

AAOS(アメリカ整形外科学会)からの橈骨遠位端骨折に対するガイドラインとそのエビデンスレベル

・コンセンサスが得られているもの
15.保存的治療が行われた橈骨遠位端骨折は3週間でレントゲン撮影を行い、ギプスを除去する。
20.橈骨遠位端骨折の患者で絶え間ない疼痛を訴える場合には再評価を行う必要がある。
22.橈骨遠位端骨折と診断がついた後からは患肢の手指の自動運動を進める。

・中程度のエビデンスがあるもの
3.整復後、ギプス固定のうえレントゲン撮影をし、レントゲン写真上で3㎜以上の短縮、10度以上の背屈転位、関節内軟骨の2㎜以上のずれが認められる場合には手術治療を考慮する
7.転位のある橈骨遠位端骨折の保存治療では取り外しのできる装具よりもしっかりとしたギプス固定のほうが好ましい。
19.非観血的整復を行った患者ではDRUJのアライメントを手関節側面像で評価しておく必要がある。
23.観血的手術後に早期のROMを無理に進める必要はない。
26.CRPSのような予期せぬあり得ないような痛みが生じるのを予防するためにビタミンCによる補助療法が有効である。

・弱いエビデンスのあるもの
8.全く転位のない橈骨遠位端骨折であれば取り外しのできる装具で治療可能である。
10.関節内骨折を伴うような橈骨遠位端骨折では術中に手関節鏡による評価は有用。
11.手関節周囲の靭帯(TFCC、SILL)などの修復を術中に行うことが有用な場合がある。
12.手関節鏡は術中に靭帯損傷の評価を可能とし、術前のCTで関節内骨折の評価が可能となる。
21.自宅でリハビリプログラムを行うことは悪くない。

・結論の出ていないもの
1.整復後に神経障害を訴えるような例について神経の除圧術を行うべきかどうかは不明。
2.適切に整復された不安定型の撓骨遠位端骨折をそのままギプスだけで治療してよいかどうかは不明。
4.一つの手術方法のみが適切と言えるかどうかは不明。
5.55歳以上の患者さんにたいして手術療法を行ったほうがよいかどうかは不明
6.55歳以上の患者さんで掌側ロッキングプレートを用いたほうが良いかどうかは不明
9.肘上ギブスを巻くことが有用かどうかは不明
13.ロッキングプレートで固定した際に骨移植や人工骨移植を行ったほうがよいかは不明
16.経皮的鋼線刺入法が有用かどうかは不明
17.撓骨遠位端骨折が将来の骨ぜい弱性骨折の予測因子となりうるかどうかは不明
18.DRUJを骨接合の際に観血的に整復した方が良いかは不明である。
25.創外固定を用いた際には過矯正したほうが良いかどうかは不明
28.撓骨遠位端骨折にともなった尺骨茎状骨折を手術したほうが良いかは不明である。
29.月状骨面の陥没や、4part骨折を創外固定で治療した方がよいかどうかは不明である。


<論評>
AAOSからでた撓骨遠位端骨折の治療ガイドラインです。
番号順だと分かりにくかったのでエビデンスの強さに応じて並べ変えました。
普段の日常で当たり前だとおもって治療していたこともほとんどがinconclusiveになっていることにオドロキでした。
逆にいうと日常臨床での結果を論文にまとめることで少しづつエビデンスが強化されていくのではないかと考えましたので、社会に貢献できるように頑張りたいと思います。

26.ビタミンCがCRPSの予防に有効というのは初めてききましたので元論文を探してみたいと思います。

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