2011年4月6日水曜日

20110406 JBJS(Br) MRSA colonisation and subsequent risk of infection despite effective eradication in orthopaedic elective surgery

抄録
この研究の目的は整形外科待機手術の患者に対してMRSAのスクリーニングと治療を行ってそれを行うことがSSI(手術部位感染)の防止につながるかを検討することである。
5933例について調査。108例(1.8%)でMRSAの保菌を認めた。90例で手術が行われた。完全なる除菌療法が行われたにもかかわらず、6例(6.7%)で感染が成立した。4例で深部感染で、2例で表層感染であった。6例中4例でMRSA感染であった。下肢の関節置換術で感染のリスクが高くなった。
MRSA定着している患者ではその他の患者に比べて感染成立のリスクが高くなることがわかった。そのリスクは下肢の関節置換術で有意に高くなった。感染が成立したときにはMRSAであることが多かった。

方法
鼻腔、咽頭、鼠径部で培養をとった。抗生剤の外用を鼻腔に対しておこなった。それ以外には5日間毎日お風呂に入り、5日間のうち1回から2回はシャンプーするように指導した。手術2日前までは治療を終了した。陰性であることを確認した上で三ヶ月で手術を行った。

結果
5933例中108例でMRSAの定着を認めた。
THAではMRSA保菌 27例中4例で。MRSA陰性例では982例中11例で感染を認めた。
TKAではMRSA保菌 29例中2例で。MRSA陰性例1011例中4例で感染の成立を認めた。

考察
MRSA保菌患者では感染成立率が高かった。またサブグループ解析で下肢の関節置換術患者で感染が多かった。
関節手術の時には抗生剤の予防投与が推奨される。(MRSA保菌なしならセフェム系、保菌していればテイコプラニン)
テイコプラニンとバンコマイシンのどちらを使えばよいかは不明であった。


<論評>
なぜこの論文がJBJSに掲載されているかがまったく分かりません。5000例以上にわたって調査した苦労はお察しいたしますが。。。

統計学的に有意差あり。としていますがこの統計で有意であることはMRSA保菌と感染との因果関係を証明することはできません。MRSA保菌しているような人はそもそも全身状態がより悪い可能性があり、MRSAが交絡因子となっている可能性を否定出来ないからです。

rerative riskで有意差ありとしているようですが、今回はその疾患の発生率が低いために余計に意味をなしません。

たしかに感染は関節置換術で最も忌むべきものでありますが、今回の結果を以てしてMRSAのスクリーニングを行おうという結果にはならないかと。

MRSAのスクリーニングする前に、お風呂入って頭洗ったほうがいいのではというのが今回の結論です。

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