2009年12月24日木曜日

2009.12.24 JBJS(Am) Early Results of a New Method of Treatment for Idiopathic Congenital Vertical Talus

<修正版>

Background:

特発性先天性垂直距骨は伝統的にmanipulationとcastで行われ、広範な軟部組織解離術を追加していた。しかし、こういった治療は重篤な足部のstiffnessや他の合併症をきたすことがしばしばある。本研究の目的は、垂直距骨に対するPonseti法に基づいたmanupilationとcast固定および距舟関節のピンニングと経皮的アキレス腱切除術を組み合わせた方法の特発性先天性垂直距骨に対する効果を評価することである。

Methods:

11名19足の特発性先天性垂直距骨を治療後2年以上経ってretrospectiveにフォローした。行った治療法はmanipulationとcast固定および限定的な外科処置で、アキレス腱切除を19足全て、前脛骨筋腱のわずかな延長を2足、短腓骨筋腱の延長を1足、経皮的距舟関節ピンニング固定を11足に行った。Manipulationとcast包帯の方法はPonseti法に準じて行ったが、力は逆方向に加えた。初期、手術施行直後、フォローアップ最後で臨床所見とレントゲン所見を評価した。レントゲン測定値を比較した。加えて、患者と同年代の正常値とも最終評価時に比較した。

Results:

初期の矯正は臨床的にも画像的にも19足全てで得られた。平均5回のcast矯正が必要であった。広範な外科的解離術は1例も行っていない。最終評価時、足関節は背屈平均25°、底屈平均33°であった。舟状骨の背側亜脱臼が3症例で見られたが、いずれも距舟関節のピンニングを行っていなかった。最終フォローアップ時、治療前と比べて全てのレントゲン測定値は有意に改善し、全ての測定した角度で同年代の正常範囲であった。

Conclusions:

特発性先天性垂直距骨患者に対する連続的なmanipulationとcast固定および距舟関節のピンニングと経皮的アキレス腱切除術では、臨床的に足の外観、足の機能、最短2年でのレントゲン測定値の矯正について優れた結果が得られた。
Fig. 1

A:先天性内反足の6歳男児、底屈時側面像、前足部が背側に持続的に転位している

B:同じ患児の背屈時側面像、距骨と踵骨の持続的な底屈を認める

Fig. 2

距骨の垂直変形を戻すために加えるmanipulationの力の方向を図で示す。足部を底屈方向にstretchしつつ、距骨頭内側面に反対方向の圧を加える。

Fig. 3

距舟関節のピンニングとアキレス腱延長の前に最大限後足部内反、前足部内転した肢位を図に示す。足部は背側の腱、関節包、皮膚が適切にstretchされているように最大限底屈した状態にする。

Fig. 4

小手術の方法である。

a:ピン固定による距舟関節の整復。踵骨は尖足位のままである。

b:経皮的アキレス腱切除術後、踵骨の尖足位は矯正されている。

Fig. 5

C:矯正後3年、右の後足部が中間位となっている。

D:背屈は他動的に25°

E:5歳時のレントゲン側面像、距骨と第一中足骨、距骨と踵骨、脛骨と踵骨の関係は正常

Table Ⅰ

レントゲン計測値を最終フォローアップ時と正常値で比較
Discussion

特発性先天性垂直距骨の治療ゴールは距骨、舟状骨、踵骨の解剖学的位置関係の正常化であり、これが治療されなければ痛みや機能障害は必発と考えられている。連続的なcast治療は軟部組織や足と足関節の背側部の神経血管構造のstretchに寄与するが、最終的な矯正には至らない。従来の広範囲の手術治療では合併症や創部のnecrosis、距骨necrosis、矯正不足、足関節や距骨下関節のstiffness、偽関節などにつながり、最終的に距骨下関節固定や三関節固定が必要となる。Seimonらは限定的な手術、つまり背側距舟関節包の開放と第三腓骨筋、長母趾伸筋、前脛骨筋腱の延長、距舟関節のピンニングを行って良好な結果を得たと報告していた。

 連続的なcast治療は適切な矯正を得るには効果不十分と考えられてきた。しかし、今回の研究ではmanipulationとcast治療および限定的な外科的処置で初期成績は良好であった。

 Manipulationとcast法はPonseti法に準じたが、力をかける方向は逆にした。解剖と変形についての完全な理解が矯正に至るには必要である。距骨頭に前足部を乗せるのに平均5回のcastが必要であった。

 一旦前足部が距骨頭上に整復されたら、最大底屈位で距舟関節のピンニングを行う。前足部が整復位で保たれれば、後足部の尖足位は経皮的アキレス腱延長術を行うことで、前足部の整復位を失うことなく矯正できる。ピンニングを行った症例で再発はなかった。

 今回の方法では良好な成績を得ることができた。診断がつき次第manipulationとcastを行うことが勧められる。矯正位が維持されるか長期フォローが必要である。先天性垂直距骨の50%は特発性なので、この方法で以前のような外科処置をしなくて済み、やわらかい足を増やし維持することができる。

《論評》
コメント参照ください。
勉強不足が露呈いたしました。苦笑

皆様からの厳しい意見をお待ちしております。

今後とも宜しくお願い申し上げます。

2 件のコメント:

  1. 整形外科医です。ためになるブログで、楽しんで拝見させていただきました。
    気になったのですが、「vertical talus」を「内反足」と訳されているようですが、これは「垂直距骨」といって、内反足とはまったく別の疾患です。変形も内反変形ではなく、外反変形をきたします。そのため、内反変形を矯正するPonseti methodとは「逆方向に力をかける」という操作が必要になるのです。垂直距骨は原則的に手術治療が必要と言われているために、保存療法の成績のよさを発表したものと思われます。

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  2. Σ(´∀`;)
    ご指摘ありがとうございます。全く逆の疾患だったのですね。。。。
    修正させていただきます。

    また気づいた点がありましたらご指摘ください。
    ありがとうございました。

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