Background:
いくつかの研究でESWT(Extracorporeal Shock-Wave Therapy)は長管骨の癒合不全に対する外科的治療に代わるものとして勧められてきた。本研究では長管骨の癒合不全に対する2つの異なるdeviceを用いたESWTの結果と外科的治療の結果との比較を行った。
Methods:
126名の長管骨の癒合不全患者をランダムにESWT群(Group1, Group2)と外科治療群(Group3)に割りつけた。ESWT群はエネルギー束密度0.40mJ/mm2または0.70 mJ/mm2で4000 impulseの治療を4回受けた。3群間のbackgroundに差はなく、癒合不全の期間も変わらず、フォローアップ期間も変わらなかった。レントゲン結果(primary outcome)と臨床結果(secondary outcome)を治療前、治療後3か月、6か月、12か月、24か月に決定した。
Results:
3群間でレントゲン所見は違いがなかった。6か月の時点で、Group1は癒合不全の70%、Group2は71%、Group3は73%が治癒した。治療3か月後、6か月後では、臨床結果は2つのESWT群で有意に外科的治療群よりよかった。しかし、治療12カ月後、24カ月後では3群間で違いはなかった。しかし12か月の時点で1と3、2と3の間でDASH scoreは有意差を認めた。
Conclusions:
ESWTは長管骨のhypertrophic nonunionに対して外科的手術と同程度に癒合を促進し、短期的な臨床結果は改善する
Fig. 1
研究の流れ
156名が研究対象となり、30名が除外され(8名が基準を満たさず、18名が除外基準に当てはまり、4名が参加を拒否)、126名がランダムに3群に割付けされた。
Table Ⅰ
患者のBaseline
各群で偏りはなかった。
Fig. 2
実際のESWTのポジショニング
Table Ⅱ
4つのピリオドでの各群の治癒数、()内は%
Fig. 3
25歳女性の左上腕骨の症例
3-Aが治療前、3-BはESWT後3カ月で、骨折部は癒合し、患者は痛みなく機能障害はなし
Fig. 4
38歳女性の右脛骨の症例
4-Aが治療前、4-BはESWT後3か月、4-Cは治療後6か月で、骨折部は癒合し、患者は痛みなく機能障害はなし
Table Ⅲ
治療前後の各群の痛み、DASH score、LEFS scoreと、それぞれの比較
Discussion
多くのtrialによると程度の差はあるが、全て癒合不全に対するESWTの効果はあるとされている。計631名、10のhigh-qualityな臨床試験のsystematic reviewでは治療成功例は41-91%であった。
Wangらはhypertrophic nonunionでは3か月の治療成功例は40%、6か月では61%、12か月では80%であったが、atrophic nonunionでは27%であったと報告している。他のデータとも合わせるとatrophic nonunionよりhypertrophic nonunionでshock-waveの治療成功例は多かった。ESWTのdeviceや出力が異なるため、直接様々な研究を他の研究と比較はできない。
本研究では、atrophic nonunionでdrop-out率がhypertrophic nonunionより多かったので、atrophic nonunionが少なすぎて治療法に対する結論を引き出せなかった。Atrophic nonunionのみに焦点を絞った研究がなされることを提案する。
3か月、6か月での早期の臨床結果の違いはshock waveが直接的、間接的に痛みのメカニズムに作用し、痛みを軽減したことにより四肢の機能が改善した可能性がある。機序はよくわかってないが、shock waveは患者の痛みの閾値を上昇させ、微小な骨折を起こすことにより骨の治癒を促進し、血流を増加させる。
Shock waveはeNOS(内皮一酸化窒素合成酵素)、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)、PCNA(増殖性細胞核抗原)などの血管由来のgrowth markerの発現を増加させ、血管新生を刺激する。
最近のin vitroの研究で、ESWTは骨芽細胞の代謝活動を増強することが示された。我々の研究では高いエネルギーレベルを用いたが、副作用なく長管骨の癒合不全に対して高い治癒率を示した。この結果はそれらのin vitroでの研究結果に合致する。
問題点がいくつかこの研究には存在する。治療していない対照群がないことが主たる問題点で、倫理委員会での承認が得られなかったため含めることができなかった。加えて、盲検が完全でなかった。放射線科医は外科治療群の患者を固定したdeviceであったり、術後のgapの変化から認識してしまうことができた。またNSAIDが外科治療群では治癒過程を阻害した可能性がある。
我々の知見の一般化可能性は限定的である。患者選択を都合よく行ったこと、ESWTのパラメータを経験的に選択したこと、癒合不全の有効な評価指標を用いなかったことなどがその原因である。
このランダム化比較試験は、ESWTが単純で、安全な長管骨のhypertrophicな癒合不全に対する外科的治療に代わる方法であることを強く提案する。この結果は確認と異なるプロトコールを調査することが必要である。
《論評》
腎結石などの破砕に使われるESWTを偽関節治療にも使ってみたというpaper.よく読むと局所麻酔をかけたりいろいろ大変な思いをして使っているよう。これだったら別にLIPUSでいいじゃんと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿