要旨大腿骨頭壊死に対するビスフォスホネートを用いた治療は小さな規模の研究がおこなわれていたが今回395例の大腿骨頭壊死の患者に用い、その8年間のフォローアップ成績を示す。今回の研究では臨床成績のみならず大腿骨頭壊死にてcollapsし、THAに至る例も減少していた。壊死でpre-collaps群にたいしてとくに有用であった。Stage3と進行した群でも骨頭の圧潰によるTHAになるまでの期間の延長が得られた。
大腿骨頭壊死の患者の75%が3年以内に骨頭が壊死し、80%が4年以内に骨頭壊死による股関節痛を訴え、診断されてから3年以内に50%の患者がTHAに至るというのはよく知られている。またビスフォスホネートが大腿骨頭壊死に対する治療として用いることができるのかもしれないということも同時に言われている。そこで今回フォローしてみた。
表1 治療開始前の患者の状態。さまざまな状態の壊死の状態の患者がいることがわかる表2 フォローした患者の実際 8年フォローした患者は32名。表3 何かしらの理由でフォローから脱落した群。
平均フォロー期間は4年。92.3%をフォローアップ。
図1 骨頭の各stageごとの骨頭生存率。Stage3に比べStage1,2では有意に生存率が高い。
図2、表4 アレンドロネートを内服した時の臨床症状の変化について表とグラフにしてある。Stage3よりもほかの群では長期に臨床成績が保たれる
表5、図3 骨頭壊死のX線評価を表したものStage1,2全体の28.8%が圧潰した。
考察ビスフォスホネートによる大腿骨頭壊死の治療は骨粱を回復させる効果により発揮されるとしていた。しかしどれも短期フォローのみであった。自然経過として大腿骨頭壊死は77%から98%の患者で症状の増悪をきたす。レントゲン写真上でも68%から77%の患者で進行を認める。治療をうけずに満足のいく結果が得られていたのはわずか22%であった。外科治療の適応なしとしてアレンドロネートだけを投与した筆者らの研究によれば45%でレントゲン上の進行があった。歴史的に75-80%と言われている骨頭の圧潰率も4年間で29%であった。50-64%がTHAになるということが言われていたが今回の研究ではStage1,2,3のそれぞれで2%、8%、33%であった。MRIで診断された場合には4年で20-60%が圧潰するとなっているが今回は90%以上で正常を保った。1998年ごろにはMRIがないためその評価ができていないことが問題。
日本であれば回転骨切り、腸骨の血管柄つき骨移植なんかを行っているのかもしれないので一概にこの結果の通りとはいえないだろう。
ビスフォスホネートがどこに働いているのか?
大腿骨頚部骨折後にも同様に使えるのかというのは調査してみてもよいのかも知れない。
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