目的
本研究の目的は、セメント人工股関節における人工股関節周囲感染症(PJI)のin vivoモデルを開発し、感染とバイオフィルム形成をリアルタイムでモニターすることである。
方法
Sprague-Dawleyラットに、後方からのアプローチによるセメント人工股関節置換術を行い、術前および術後の歩行評価を行った。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus Xen36)の感染は、in vivo photoluminescent imagingを用いてリアルタイムでモニターした。術前と術後の歩行分析を行い、比較した。死後のマイクロ(m)CTを用いてインプラントのインテグレーションを評価し、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて補綴物表面のバイオフィルム形成を評価した。
結果
すべての動物が手術に耐え、コントロール個体では歩行力学と体重負荷が維持された。術後のin vivoイメージングでは、対数的な信号の減衰が膿瘍形成に一致するなど、予測可能な感染の進展が示された。死後のmCT定性体積分析では、高い接触面積と、セメント-骨およびセメント-インプラント間の相互干渉が認められた。FE-SEMでは補綴物頭部にバイオフィルムが形成されていた。
結論
本研究は、ラットのセメント人工股関節を用いたin vivo PJIの新しい高忠実度モデルの有用性を示すものである。蓄光性細菌を接種することで、感染を非侵襲的にリアルタイムでモニタリングすることができる。
<論評>
新しい動物モデルの構築がBJJで出ていました。特記すべきは3Dプリンタでラット用の人工骨頭を作ったところですね。笑。これ、セメントレスでもできそうですけど。
インプラントの作成以外は極めて簡単な手技を用いていますので
今後の展開としては、感染性人工関節後の治療効果判定。(セメントモールド)や、ヨードや銀を載せたインプラントの感染抵抗性などを調べるのには使えそうですね。
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