2020年7月12日日曜日

20200712 Implant Survival of 6,080 Tritanium Cups in Primary Total Hip Arthroplasty Data from the Finnish Arthroplasty Register from 2009 to 2017

背景
全人工股関節置換術(THA)における良好な骨誘導を目指して、超多孔質または高多孔質コーティングカップが導入された。これらの新しいデバイスのインプラント生存データはほとんどない。我々の研究の目的は、レジストリーデータにおいて、トライタニウムカップ(Stryker)の生存率を評価することである。
方法
この研究では、フィンランドの国家レジストリーからトライタニウムカップを使用した6,080件の一次THAと、従来のカップを使用した25,670件のTHA(対照群)のデータを収集。これらの手技は2009年1月1日から2017年12月31日までに実施されたものである。生存推定値を95%信頼区間(CI)で算出した。エンドポイントは、理由の如何を問わず、またはカップの無菌的緩みを理由とした再置換術とした。再置換のリスクはCox重回帰モデルを用いて評価した。Coxモデルで評価された変数は、大腿骨頭のサイズ、年齢層、病変側、手術年、性別、診断、ステムの固定であった。Coxモデルの比例ハザードの仮定が満たされなかったため、追跡期間を0~2年、2~4年以上、4年以上の3つの期間に分けた。
結果
理由の如何を問わず再置換術について2群を比較した場合、トライタニウム群の5年生存率(94.7%[95%CI、94.0%~95.4%])は対照群(96.0%[95%CI、95.7%~96.3%])よりも劣っていた。4年以上の期間の2群のCox回帰分析において、トリタニウム群は対照群と比較して何らかの理由で再治療を受けるリスクが高かった(ハザード比[HR]、3.12[95%CI、1.82~5.35];p<0.001)。カップの無菌的緩みに対する再置換術に関しては、0~2年(HR、3.80 [95%CI、1.76~8.24]; p <0.001)および2~4年(HR、11.2 [95%CI、3.28~38.0]; p <0.001)のいずれにおいても、トリタニウム群は対照群と比較して再置換術のリスクが高かった。
結論
超多孔質コーティングされたトリタニウムカップを一次THAに使用することには、従来の非セメントカップと比較して何の利点もなかった。しかし、いくつかのHR推定値のCIが広いことは、95%信頼区間が広いため、さらなる研究が必要である。

<論評>
出てしまいましたね。
術直後からなんとなくカップ周囲のRadiolucent lineがでることはいわれていましたが、明らかな再置換のエビデンスはありませんでした。本研究にてトライタニウムの問題を明らかにしたものです。
このような研究が出てくることはレジストリーの良いところでありますので、追加の報告を待ちたいと思います。

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