2019年3月18日月曜日

20190318 CORR Higher Volume Surgeons Have Lower Medicare Payments, Readmissions, and Mortality After THA

背景
外科医や病院は今まで以上に臨床成績や費用に対して責任を有するようになる”価値に基づいた医療”の時代の到来により、外科医ごと、病院ごとの臨床成績に注目が集まるようになった。しかしながら、質が高く、よりコストの低い医師を同定するための方法論については未だ議論がある。
目的
本研究では以下の点についての検討を行った。(1)THAを多く執刀する医師とメディケア、メディケイドの支払い、再入院率や死亡率に関連はあるのか。(2)アメリカで執刀数が少ない医師と多い医師がTHAを施行する割合はどの程度か 
方法
メディケア、メディケイドのデータからの後ろ向き解析。メリーランド州を除くアメリカ全土での初回THAについてメディケアを用いて実施された2013年から2016年までのデータを解析。409844例のTHAが実施され、77億ドル以上の直接費用が計上されていた。外科医を手術数に応じて5つのグループに分けて単変量解析、ロジスティック解析をおこない、費用、再入院率、死亡率について検討を行った。年齢、性別、人種、地理的要因、合併症をElixhauserの合併症指数を交絡因子として検討に加えた。
結果
最も執刀数が多いグループとその他の群とを比較すると、交絡因子を調整したあとでも低い群で支払い金額、再入院率、死亡率の上昇が認められた。最も執刀数が少ないグループでは一症例あたりの支払い金額が27.2%増加し、死亡率のオッズ比が4.7となった。いくつかの執刀数の少ないグループでは支払い金額が少なく、再入院率が低く、また死亡率が低いという群が認められた。中規模以上(年間11例以上)の病院でTHAの78%が行われ、それは全体の26%の術者で行われていたのに対して、小規模、最小規模(年間10例以下)の病院ではアメリカ全体の22%のTHAしか行われておらず、74%のそれぞれの術者で手術が行われていた。
結論
術者の執刀数と支払い金額の低下、再入院率の低下、死亡率の低下との間には強い双眼があることがわかった。年間10例以上のTHAを行う術者がアメリカでは大半であった。以前の結果と比較して、今回の結果はより症例数の多い術者に強い傾向を認めた。これらの結果は執刀数の多い術者に力を入れたほうが支払い金額を減らし、再入院を減らし、死亡率を低下させることを示唆している。しかしながらこれは全体の傾向にすぎず、重要なのは個々の術者について執刀数と実際の臨床成績を評価する必要がある。


<論評>
アメリカでは近年、費用対効果に目が向けられるようになってきています。執刀数の多い病院では周囲のスタッフも慣れていますので当然スムースに物事が運びますので余分な費用がかからない。ということなのでしょう。
メディケイドベースで年間10例以上というのが、実際他の保険も用いて何例くらいになるかはわかりませんが20例弱といったところでしょうか。
THAは良い手術です。ただ、医師の独りよがりではなく、しっかりとしたところでトレーニングを積んで周囲の教育も行った上で手術を行うとよい患者さんのためになるということかなと思って読みました。

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