背景 大腿骨頚部骨折において内固定をおこなった群ではある一定の割合で人工関節への置換が必要となる。FAITH Trial(アメリカ、カナダ、オーストラリア、ノルウエイ、ドイツ、イギリス、インドの多国籍前向き大腿骨頚部骨折共同研究)をもちいた研究。大腿骨頚部骨折のインプラント、その他の因子について、再手術の必要性、骨折治癒、2年後の機能回復の程度について検討を行った。加えてインプラント抜去したかどうか。インプラントをTHAやBHPに置換したかどうかを検討した。
方法 1079例の患者を対象。再置換の危険因子と考えられる15項目の因子について検討を行った。7項目は内固定材の抜去について、14項目はインプラントの置換についての項目である。Cox比例ハザードモデルをもちいて検討を行った。
結果 再置換に至る危険因子は女性であること、(HR1.7)。BMIが高いこと(HR1.19)。転位型の骨折であること(HR2.2)。インプラントの設置不良(HR2.7)であった。また喫煙患者がCCHSまたはCHSで治療された場合も成績が不良であった。(HR2.9)。さらに10歳ごとに年齢が減少することで39%ずつインプラントを抜去するリスクが高くなった。
結論 本研究で明らかとなった危険群には最初からTHAなどの選択をおこなうとより適切な治療が行えるであろう。
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FAITHTrialは小生が知る限りで、多国籍前向きの唯一の大腿骨頚部骨折の研究であると認識しています。
そこからの研究。
前向きで1079例という多数の患者を対象としていることから、得られた結果にはなるほど。と頷く結果が提示されていると思います。
昨今積極的内固定を否定するような論文が散見されます。THAの性能が向上したことに大きく影響されているのでしょうか。
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