臨床上の問い 感染のない患者と比較して、患者背景は合併症の有無に違いがあるのではないか。再入院などのリスク、合併症の発生が多いのではないか。とくに(1) HCVとHIVの両方に感染していると年齢、性別、医療保険に違いがあるのではないか。(2) 合併症の有無に違いがあるのではないか(3) 術後の早期がペイ性が多いのではないか。 (4) 再入院の率が高いのではないか について検討を行った
方法 2010年から2014年 ニューヨーク州のデータベースを使用。感染なし群、HIVのみ感染群、HCVのみ感染群、HIV、HCV共感染群の4群に分けた。2010年から2014年までに80722例の患者がTHAを受けた。98.55%の患者が感染が無かった。HCVまたはHIVに感染している患者は0.66%。HIVとHCVの共感染は0.14%であった。多変量解析を行い各群間の比較を行った。
結果 共感染群は他の群より若く、男性が多かった。またMedicaid(公費)の使用割合が高かった。基礎疾患がONFHであることが多く、またホームレスであることも多かった。また共感染群はアルコール、喫煙歴が高く、精神疾患を合併している率も高かった。入院期間も長くなる傾向にあった。入院中に合併症を発生することも多く、再入院率も高かった。
結論
HCVとHIVの共感染の割合は増加しており、今後整形外科医が対応を迫られる場合も増加する。患者背景、社会的問題についても術者は考慮すべきで必要があれば精神科コンサルトや退院支援、感染症専門医の介入を要請する必要がある。そうすることでHIV、HCV共感染の患者にかかるコストを減じることができるであろう
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最近アメリカで流行っている「コスト」話ですね。
アメリカでは関節症疾患に対する治療費の増大が国家的な問題になっていて、それにどのように対応するかというのがAAOSなどでも議論になっています。
その流れに乗った論文ですが、いわゆる記述統計であり、因果関係もへったくれもありませんな。じゃあどうするの?という結論がないところがミソです。苦笑。
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