抄録
人工関節置換術は患者のQOLを改善する。若い患者では特にスポーツを含めた高いレベルへの復帰を期待している。スポーツ復帰の割合、どのような患者がスポーツに復帰することができるかということを患者に情報提供できることは重要である。
目的
UCLAスコアを測定した。インプラントの選択を含めて11の因子を考えた。これらがどのように関与しているかを検討した。
方法
736人の患者について検討した。これらの患者は2005年から2007年の間にTHAまたはTKAをうけた患者であった。UCLAスコアをこれらの患者から聴取し、7点以上を高活動群と定義した。年齢、性別、BMI、合併症、WOMACスコア、OxfordHipScore、SF12、術者、インプラントを独立変数として多変量解析を行った。
結果
術前にUCLAスコアが高く、年齢が若く、男性であり、BMIが低いと術後高い活動性を維持できることがわかった。手術方法、インプラントの選択は術後の活動性には影響を与えなかった。
結論
術後の患者の活動性は手術方法、術者の要因にかかわらず患者の状態に左右されることがわかった。
表1 人工関節置換術後のスポーツへの参加についての論文集。参加率が最も高い報告で62%であった。
表2 患者背景。
Charnleyの分類とは
クラスA反対側の人工関節置換術を行なっている。
クラスB1変形性股関節症と反対側の人工関節置換術を行なっている
クラスB2両方の人工関節置換術を行なっている。
クラスC全身の人工関節置換術を行なっており歩行も困難である。
表3UCLA7点以上の患者の割合
術前12.3%であった高活動性の患者の割合が術後37.4%に増加した。
図1 UCLAスコアの分布
UCLAスコアも術前よりも術後のほうが活動性の高い患者が増えた。
表4 術前、術後のQOLスコアの推移
術前よりも有意に術後QOLスコアは改善している。
表5 回帰分析の結果
男性であること、若い患者であること、術前のUCLAスコアが高いこと、BMIが少ないことが術後の高活動性に寄与していた。
表6 人工股関節患者での回帰分析の結果
上記の結果に加えて術前の疼痛の程度が関連している
考察
人工関節置換術においてQOLが改善する。最近は若い患者を中心により高い機能回復を希望してやってくる。
この研究の限界は全体の半分でしかUCLAスコアの聴取が行えなかったことである。回答があった患者はない患者よりもモチベーションが高いものとかんがえられる。UCLAスコアは患者のスポーツ活動性を測定するにに信頼出来る指標の一つである。
この研究の優れたところは大人数に対してUCLAを用いて評価したところである。
この研究では術前12.3%であったスポーツへの参加が術後37.2%にました
全体の21%、術前スポーツに参加していた61%の患者で術後スポーツに復帰した。
他の報告では
・THAの5年後に52%の患者が、TKAの患者の42%が術後スポーツに復帰したと報告している。
・216人、235股のTHAで術後スポーツへの参加は減少した
・TKAを受けてハイインパクトスポーツに復帰した患者は術後4年後も高いレベルを維持していた。
・77%の患者が何かしらの形でスポーツに復帰していた。
・UKAでは90%の患者がレクリエーションレベルでのスポーツに復帰した。
などの報告があるがいずれもUCLAスコアを用いておらずその信頼性がどこまであるかわからない。
本研究の統計的な結果として若年、男性、BMIが低いこと、術前のUCLAスコアが高いことがあげられることがわかった。
0 件のコメント:
コメントを投稿