Abstract
32指の転位した槌指に対しextension
blockを2本挿入する方法で49ヶ月間のフォローを行った。関節面を38.4%含んでおり、また18人の患者(54%)で亜脱臼位にあった。
6.2週で骨癒合が得られ、全例で解剖学的整復位を得ることが出来た。DIPの平均屈曲は83.1度であった。伸展損失は0.7度であった。
背側骨性の突き出しや再発性の槌指様変形は認めなかった。
臨床的にも画像的にも2本extension blockを挿入する方法は有用であると考える
実際の方法
指神経ブロックにて行う。DIP関節とPIP関節を最大屈曲位にして0.9mmのK-wireを用いて骨片のすぐ背側から中節骨と30度の角度をなすようにして近位方向へ挿入する。2本目を2,3mm間を開けて、これと平行にして挿入する。
その上で非観血的に整復を行う。3本目のk-wireは伸展位で整復位を確保したまま挿入する。0.9mmk-wireを用い、掌側からDIP関節を貫くようにして挿入する。
ワイヤーがあたらないようにアルミのスプリントを当ててもよいし、なくてもよい。6週間たったところでレントゲン上骨癒合が得られているかもしくは圧痛がなくなっているのを確認してピンを抜去する。(図1,2)
考察
石黒法は直視下に整復する方法よりも簡便で、また粉砕した骨片に対しても間接的に押さえ込むことが出来るので有用な方法であることは間違いない。
しかし骨片が大きすぎたり、回旋転位を伴っている場合には一本のK-wireだけでは整復が困難であるという問題があった。
2,3mmの間を空けて2本のk-wireを挿入する筆者らの方法では石黒法の原法よりも細いK-wireを用い、また中節骨への挿入角度をより低い角度(30度)で挿入していることが特徴である。2本のピンが壁のような働きをするのでより整復が容易になる。背側からの圧迫力も増すので整復位の獲得と維持が容易である。細いピンを用いることで侵襲が小さくなる。全例で解剖学的整復位を獲得し、また関節可動域を維持できたことがこのことを証明している。合併症の多くが整復位の確保が出来ないこととそれを維持することが出来ないことに起因している。DIPの亜脱臼位にあった患者では整復操作で爪に異常をきたすことがある。術後にピン刺入部が醜くなることがある。なので慎重なピンの挿入が重要である。
≪論評≫
非常に実践的な内容。scienceとして大したことを言っているわけではないが普段自分が困っていることから解決策を見出し、それを形にできることは素晴らしい。でもこんなにうまくいくのかしら?一回試してみましょう。。
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