2016年5月21日土曜日

本の紹介「変形性股関節症ガイドライン2016」

変形性股関節症診療ガイドライン2016(改訂第2版)


本日の本のご紹介。

たんなるガイドラインと侮ることなかれ。
股関節業界のコクランといえば言い過ぎでしょうが、編集された先生方の仕事のクオリティの高さには脱帽です。

変形性股関節症は、本邦では臼蓋形成不全にともなう二次性の変形性股関節症が多いです。その実情を踏まえて英文だけでなく日本語論文でも査読に耐えられそうなものをピックアップしています。

特に骨切り、股関節温存手術についてはMeta-analysisまでおこなってあり、一読の価値があります。

今後股関節の研究を始めたい、という若手の先生はまずこのガイドラインを熟読してからどこまでわかっているのか。何がわかっていないのかをはっきりさせてから研究を始められると良いと思います。


2016年5月20日金曜日

20160529 BJJ The rate of dislacation is not increased when minimal precations are used after total hip arthroplasty using the posteolateral approach

後方アプローチによる人工股関節全置換術では脱臼が一つの問題となります。脱臼を防ぐために、いわゆる『患者教育』を行っています。
具体的には、股関節を曲げた状態で内旋しない、お姉さんずわりをしない。といったところでしょうか。
さて、本研究はそのような患者教育が有効か?という論文です。

  • アブストラクト
  • THAの主要な合併症として脱臼がある。本研究の仮説はそれほど厳しく脱臼指導をしなくても脱臼率は上がらないのではないか。というものである。
  • ヒストリカルコントロール。以前に厳しく患者教育していた109例。ある時点から注意事項の緩和をした108例の比較検討。両群間に脱臼危険因子の有意差を認めず。大腿骨頭は28ミリから36ミリを使用した。カルテで脱臼の有無を調べた
  • 両群間に差を認めなかった
  • 経験ある術者によって行われるTHAでは28ミリ以上の骨頭を用いれば術後に厳しく肢位についての指導をする必要がない
  • 両群間の指導の比較
    • 厳格群
    • 6週間寝返り禁止。外転枕を入院期間中は装着。90度以上屈曲位、内旋内転禁止。高めの椅子を使用。6週間杖を使用。6週間車の運転禁止
    • 緩和群
    • 睡眠時の体位指導なし。外転枕は麻酔後のみ。最大屈曲、内旋、内転許可、退院後車の運転許可。椅子は普通の高さで良い
    • 両群とも足の交差禁止。後ろ向きに動く時には股関節屈曲位で動くよう指導
  • 考察
    • 両群間に差を認めなかった。この事から脱臼に対する中止事項は緩和してよいと考えられる。ただ、もう少し大きなサンプルサイズが必要である。
    • 脱臼の注意事項についての研究は少ない。Shmidtらが6週間の注意期間を4週間に減らしても脱臼率は上がらなかった事を報告している。
    • 脱臼の危険肢位の指導は広く行われているものの、その効果については疑問が残る。Mikkelsenらは有意差がないものの、厳格に指導を行った群で脱臼が減少したことを報告しているが、この報告では有意差がない。
    • これらの指導は1960年代から変わっておらず、現在のような短期入院が当たり前となった時代には見直されるべきだと考えられる。
    • 我々の研究では脱臼率が低かった。(218例中1例)
    • どれくらい厳しい指導を守っていたかの評価は行っていない。また明らかに危険な患者には指導を厳しく行っている
    • 脱臼した一例は前方脱臼であった。
    • いくつかの研究の問題がある。一つはサンプルサイズが小さいこと。一つは患者満足度を測定していないこと、
    • 本研究の強みは、危険な症例を除外している事、また術後3ヵ月の段階で全例フォローしていることである。
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はい。ダメな研究です。笑

着目点は非常にシャープだと思います。確かに漫然と行われている『患者教育』によって患者さんのADLが阻害されていることは臨床上経験します。

本研究では、指導を緩和しても脱臼率は上がらないという仮説なので、研究デザインとしては非劣性試験にしなければなりません。
両群間に有意差がない、ということは同じように有効であったということを証明しているわけではない。というのは研究の基本です。

また、もともと危険な人たちは研究から外す。という暴挙。笑。

この研究がBJJという老舗のジャーナルに掲載されていることに驚きを禁じえません。

やるのであれば非劣性試験のためにサンプルサイズを大きくする。厳格な患者指導でADLが損なわれていることを示す、などが必要では無いかと思います。

2016年5月19日木曜日

本の紹介 『THE 整形内科』 白石吉彦先生編


THE 整形内科
 日本整形外科学会 売れ行きNo.1 ということで買ってまいりました。
まず、この表紙の与えるインパクト。南山堂さんの編集さんの有能さが伺えます。

 さて、以下感想です。
 買うべき度 ★★☆☆☆

買ったほうが良い人:
・へき地で整形外科診療を余儀なくされる総合診療系の先生。
・開業されている整形外科の先生。今まで病院の外来では得られなかったスパイスをお求めの先生。

小生が全体にオススメしないのは、内容の偏りが大きすぎるからです。
約10年前に、『整形外科プライマリーケアハンドブック』という書籍が販売されておりました。(現在は取り扱いがないようです。)
前半が骨折の保存療法。後半がAKA博田法についての記載でした。
骨折の保存療法については、石黒先生を中心に読むべきところの多い本でありましたが、腰痛の治療法は、AKA、を学べとなっており、どうなのか?と感じた記憶があります。
AKA博田法は腰痛の治療法の一つでありますが、全てではありません。
しかし、プライマリーケアハンドブックではこれが全てのように書かれてしまっていたことが非常に残念でした。

さて、本書『整形内科』でありますが、このAKA博田法を全て『エコー』『筋膜リリース』と置き換えている内容になります。
エコー、筋膜リリースは有効な方法ですが、全てではありません。

また、書いてある内容のエビデンスに乏しいのが問題です。自分の診療の良い、悪いがわかっていない若い先生がこの本に書いてある内容を鵜呑みにして実臨床を行うのは危険だと考えます。
(股関節を取り扱う人間として骨盤疾患で股関節の病気ではなく仙腸関節の病気が書いてあるのがどうかと思いましたし、また骨粗鬆症でいきなりテリパラチドをオススメするのはどうでしょうか?あと、介護者負担を減らすために社会的入院をすすめるというのは地域特異性の問題であって、一般に勧めるのはいかがなものかと。)

この本の良い所はエコーの可能性と、鍼灸の先生たちとの連携について書かれているところです。
エコーは今後整形外科診療で広がっていくのは間違いないでしょうし、整形外科医が取り扱えきれない痛みに対処していただくために鍼灸の先生との連携は必要ですので、そこに着目されているのは流石だと思いました。

やや斜にかまえて読んでいただくと良いかとおもいます。以上。







本のご紹介 ”ただいま留学準備中” 大谷隼一先生 著


先日『医師のキャリア革命』でお会いした大谷先生の著書です。

ブログをほそぼそと続けていてよかったことは、自分が予想しなかったような人との出会いを持ってきてくれることです。
大谷先生もその1人です。

日本人の留学といえば基礎分野での留学が主ですが、大谷先生は臨床で留学されてきたとのこと。しかも単なる見学におわらず彼の地でリサーチまでやり遂げてきた剛のものです。

本書は、留学をしたい!けど周りに誰も聞くことができないという人でもこの一冊があれば大丈夫です。それほど必要十分にまとまっています。

なんか留学したい気分になってきたなあ。。。。



2016年5月16日月曜日

20160516 CORR Does Previous Pelvic Osteotomy Compromise the Results of Periacetabular Osteotomy Surgery?

股関節温存手術後の失敗例に対するPAOの成績を出した論文です。
当然、Primaryよりは悪い。ということです。それ以上読む必要はありません。
本論文のトピックスは、アメリカでは骨切りの多施設共同レジストリーをすでに走らせているということです。
日本ではアメリカの数倍に渡る骨切り術が行なわれていますが、多施設で動こうという話はついぞ聞いたことがありません。今ならまだアメリカに勝てると思うのですが。。。。

英語が英語が母国語のひとが書いたとは思えないほどの酷さでした。


  • はじめに
  • PAOは後方要素を保ちながら大腿骨頭の被覆を改善することができる手技として行なわれる手技である。DDHに対する治療方法として、PAOは76%から89%の成功率であるとする多数の報告がある。しかしながら多くの報告があるものの、その術前に何かしらの手術が行なわれていた場合にその治療成績がどうなるかは不明である。
  • PAOの術前に臼蓋または大腿骨の骨切りが行なわれていた場合の治療成績はいくつかのケースシリーズで報告されている。しかし、それらがどれほどPAOの治療成績に影響を与えたかは不明である。
  • 本研究ではマルチセンターの成績として、次術前に何かしらの矯正手術を受けていた場合のPAOの臨床成績について報告することを目的とした。
  • 臨床成績、QOL、レントゲンでの治療程度、合併症について術前に何かしらの手術が行なわれていた群と手術が行なわれていなかった群での比較を行った。
  • 対象と方法
  • ANCHOR(骨頭温存臨床成績リサーチグループ)の患者を対象とした。11の施設のうち、7つの施設で39例39関節の患者が抽出された。2008年から2012年までの間で34症例34関節。平均2.5年でフォローが可能であった。
  • 術前に治療を受けていない78例の患者をマッチングした。78関節のうち71関節のフォローが可能であった。10関節が「いわゆるDDHではない」として除外された。
  • 大腿骨近位骨きり術が12例30%、股関節鏡が5関節12%、骨軟骨形成術が1例2%。男性4例、女性35例。平均年齢19歳。
  • PAOを行ったANCHORに登録されたデータベースから同時期に手術が行われた253例を抽出。年齢、性別を一致させて1:2で症例を抽出した。
  • 以前の手術の既往があってもリハビリに変更は加えなかった。
  • 臨床評価を取得し、AC角、CE角、Sharp角を測定した。TonnisGradeもチェックした。
  • PROとしてはUCLA,SF12、HOOSを測定した。HOOSは手術経験の有無にかかわらず使うことができる。
  • 除外されたのはCharcot-Marie-tooth,脳性まひ、大腿の短縮、ぺるてす様変形であった。
  • 2群で比較するとCE角が既術群で大きかった。
  • 以前の手術のために関節可動域が小さくなっており、PAOの本来の適応でない患者もいた。
  • 術後合併症についてはSinkらのあClaviden-DIngo分類を用いた。
  • 結果
  • 表4を参照。痛み、ADL、レクリエーションへの参加のいずれの項目においてもPrimaryPAOに比べて既術群では改善に乏しかった。
  • 表5mHHS、UCLAスコア、SF12のすべてで有意差はないものの既術群のほうが改善が乏しかった。
  • 表3術後レントゲン評価でもAC角、Sharp角では2群で差を認めた。
  • 既術群では2例が早期にTHAに移行した。合併症は表7で2群に有意差はなかった。
  • 考察
  • PAOは症状のある臼蓋形成不全に対して有効な治療方法である。DeLaRochaらが以前に既術例でのPAOについての報告をしている。その報告では股関節の屈曲がPrimaryPAO群よりも悪化したと報告している。Czubakは以前に骨きりをしている患者では痛みの改善が得られるとし、Mayoらはレントゲン上、HHSもほぼ同様の成績が得られる。と報告している。本研究では臨床成績評価、合併症の発生率、レントゲン評価を行った。本研究でわかったことはPAOは既術群でも安全に行えるが、その臨床成績の改善は乏しいということである。
  • 本研究のLimitationは後ろ向き研究であるということ、第2に術者によって手術適応が異なり、リハビリのプロトコールが異なるということである。それでも多施設からのデータを収集していることが強みである。第3にレントゲンの測定の困難さがあるが、本研究では10年以上の経験のあるリサーチアシスタントを採用した。また第4にフォローアップ期間が短いことがあげられる。フォロー期間は短いが、手術はうまくいっているので急に再置換ということはないものと考えられる。
  • AC角の改善がいまひとつであったが、これはスミスピーターソンの前方アプローチを使っていないせいかもしれない。。
  • 合併症率は7%と他の研究よりも高かかった。しかしながらコントロール群では合併症を生じていなかった。これおはPAOのやり直しが難しいということを示している。
  • 本研究では既術例に対するPAOは予定通りに行きにくいということを示した。

20160516 医師のキャリア革命に出て感じたこと。

こんにちは、管理人です。
http://peatix.com/event/138613
医師のキャリア革命
という杉本先生主催の講演会に参加してきました。

一応匿名のブログですが、多くの整形外科の先生がこのブログの存在を知ってくださっていたことに本当に感激しました。

また論文、書籍などのレビューを続けていきたいと思います。

応援いただけるとハゲみになります。
今後ともよろしくお願い申し上げます。


2016年4月28日木曜日

20160428 祝!!ホームページ開設

おはようございます、がみたけです。

ホームページをついに開設いたしました。

http://gamitake1919.com/


JHEQWeb版(validationはとっていません)もつけてあります!!
ぜひご利用ください

最後に
ホームページ開設に尽力してくれたKAME子どの、ほんとありがとう!!