背景
アミカシン,メロペネム,ミノサイクリン,フォスフォマイシンは,整形外科領域の感染症に対する臨床的有用性が期待されているが,ポリメチルメタクリレート(PMMA)での使用に関する適性については十分に理解されていない。本研究の目的は,(1)臨床に適した温度におけるこれらの抗生物質の熱安定性を定量化すること,(2)異なるサイズのPMMAビーズからのこれらの代替抗生物質のin vitro溶出薬力学を明らかにすることである。
方法
10mmのPMMAビーズの重合温度を経時的に測定し,模擬的な加熱曲線を作成した。トブラマイシン,アミカシン,メロペネム,ミノサイクリン,フォスフォマイシンの水溶液を温度曲線に当てはめ,その後,37℃でインキュベートした。Staphylococcus aureus,Escherichia coli,Acinetobacter baumanniiに対する各抗生物質の最小発育阻止濃度を評価した。高用量の4.5mm,6mm,10mmの抗生物質入りPMMAビーズ(抗生物質10重量%)をそれぞれリン酸緩衝生理食塩水に浸し,37℃で培養した。抗生物質の溶出量は,高速液体クロマトグラフィー(質量分析装置付)を用いて測定した。
結果
トブラマイシン,アミカシン,ホスホマイシンは熱安定性を示し,28日間抗菌活性を維持した。ミノサイクリンは48時間後に,メロペネムは7日後に,それぞれ3菌種に対する抗菌活性を失った。トブラマイシン,アミカシン,メロペネムの溶出濃度,溶出速度,累積薬物量は,各時点でミノサイクリン,ホスホマイシンよりも有意に高かった。
結論
本研究では,感染症の治療に用いられる抗生物質の熱安定性と溶出性に顕著な違いがあることが明らかになった。アミカシンはトブラマイシンと同様の活性を示した。メロペネムは、初期の7日間において良好な溶出動態と熱安定性を示した。臨床的関連性。アミカシンとメロペネムは,整形外科領域の感染症を治療するためにPMMAに局所投与するための許容可能な代替品として,薬理学的に有望である。臨床的な妥当性と有用性を確立するためのさらなる研究が必要である。
<論評>
なるほどね。という研究ですね。実際にビーズでどういう温度になるかはわかりませんものね。
ただ、抗生剤入りセメントを手作りで作ると重合までの時間が異なったりしますので実際にこの通りになるかはわかりません。またバンコマイシンの動態もわかると良かったかなと思います。
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