2020年12月19日土曜日

20201219 JBJS Early Rate of Revision of Total Hip Arthroplasty Related to Surgical Approach An Analysis of 122,345 Primary Total Hip Arthroplasties

 人工股関節全置換術(THA)には多くのアプローチが報告されている。これらのアプローチにでの早期の再置換率を比較した研究は大規模かつ複数の外科医によるデータに限られている。本研究の目的は、THAアプローチに関連した初回THAの再置換率を比較することである。

2015年1月から2018年12月までに変形性関節症に対する初回THAを受けた全患者を対象に、オーストラリア整形外科学会全国関節置換レジストリーのデータを分析した。主要アウトカム指標は、全原因に対する累積再置換率(CPR)である。副次的アウトカム指標は、メジャーリビジョン(寛骨臼および/または大腿骨コンポーネントの変更を必要とするリビジョン手順)と、特定の診断に対するリビジョン(骨折、コンポーネントの緩み、感染症、脱臼)である。年齢、性別、体格指数(BMI)、米国麻酔科学会(ASA)スコア、大腿骨頭サイズ、大腿骨固定を潜在的交絡因子として評価した。

レジストリに手術アプローチが記録されている初回THAが合計122,345例あり、65,791例が後方、24,468例が側方、32,086例が前方であった。全体のCPRには各アプローチ間で差はなかったが、前方からのアプローチの方が重大な再置換術の発生率が高かった。再置換術の種類に関しては、アプローチ間で差があった。年齢、性別、ASAスコア、BMI、大腿骨頭の大きさ、ステムの固定様式を調整した場合、前方からのアプローチは大腿骨の合併症、すなわち、人工関節周囲骨折と大腿骨の緩みに対する再置換術の割合が高かった。前方アプローチ後の感染症による再手術率は、全期間において後方アプローチと比較して低く、また、最初の3ヵ月間においては側方アプローチと比較して低かった。後方からのアプローチは、全期間において前方からのアプローチと側方からのアプローチの両方と比較して、脱臼に対する再治療率が高かった。前方からのアプローチは、最初の6ヶ月間のみ、側方からのアプローチと比較して再置換率が低かった。

結論。全体的な初期CPRには手術アプローチ間で差はなかったが、前方アプローチは後方アプローチおよび側方アプローチと比較して、初期の主要な再置換率および大腿骨合併症(骨膜周囲骨折および大腿骨ゆるみの再置換)の発生率が高く、脱臼および感染症の発生率が低いことと関連していた。


<論評>

前方アプローチは優れた手術方法であると思いますが、最近はトレーニングを受けずに見様見真似で前方アプローチを初めて上記のようなトラブルを起こしているのを見かけることがあります。

カダバートレーニング、手術見学、助手についての修練など当たり前のトレーニングを積んでから手術は行ってほしいものです。

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