整形外科の分野は、セクシャルハラスメントがないわけではない。最近の調査では、米国整形外科学会(AAOS)の会員の47%が、キャリア中にセクシャルハラスメントを経験したと報告していることが明らかになった。整形外科医が経験したと報告されているセクシュアルハラスメントについては、特に女性レジデントに関連して、さらに特徴を明らかにする必要がある。本研究の目的は(1)整形外科研修中にセクシュアルハラスメントを経験したことを報告した女性整形外科医の全体の割合はどの程度か。(2) 職場でセクハラを受けたことがあると報告している現在の整形外科研修医の割合は、研修医時代にセクハラを受けたことを思い出す整形外科医の女性の割合よりも低いのか?(3) この知見は、研修医研修の場所によって異なるのかを明らかにすることである。
方法
女性整形外科医のための専門学会「ルース・ジャクソン整形外科学会」の正会員・研修医会員682名を対象に、2019年10月から12月にかけて、匿名の12問のオンラインアンケートを配布。この調査は、職場でのセクハラの発生源を特定し、是正することを目的とした組織であるSpeak Upによって作成された。合計37%(682人中250人)がアンケートに回答した。20%(250人中51人)が現在の研修中であり、80%(250人中199人)がフェローシップ中であった。調査回答者は全員が女性。調査データは、記述統計および比較統計を用いて分析された。
調査結果
女性の68%(250人中171人)が整形外科研修中にセクシャルハラスメントを経験したことがあると報告した。研修医研修中にセクシュアル・ハラスメントを経験したと報告した割合については、現在の研修医と過去の研修医の間で差は認められなかった(59%[51人中30人]対71%[199人中141人]、オッズ比0.59[95%CI 0.31~1.11];p=0.10)。米国北東部地域と比較して、南部地域では、レジデント研修中にセクハラを経験したと報告した女性の割合に差は見られなかった(65%[84人中55人]対67%[54人中36人]、OR 1.06[95%CI 0.51~1.11]、p = 0.10)。 06[95%CI 0.51~1.17];p=0.89)、中西部地域(75%[71人中53人]、OR 1.55[95%CI 0.77~3.12];p=0.22)、または西部地域66%[41人中27人]、OR 1.02[95%CI 0.46~2.23];p=0.97)では、研修医研修中にセクシュアルハラスメントを経験したと報告した女性の割合に差はなかった。
結論
整形外科研修医の女性研修生の高い割合が、整形外科研修中にセクシュアル・ハラスメントを経験したことがあると報告していることがわかった。レジデンシープログラムでは、整形外科の指導的役割を担う女性の数を増やし、女性研修生に男女双方から十分な指導を受けるようにすることで、セクシュアルハラスメントの原因をさらに特定し、対策を講じるべきであろう。このような対策が実施された後、今後の研究では、その効果を評価することを目指すべきである。
<論評>
職場においてハラスメントは排除されるべきものです。我が国において整形外科の男性医師はセクハラに対して無神経な振る舞いをとることが多いように感じます。(論者の観測範囲では)
本研究では70%弱の女性医師がセクハラを受けた。と感じておられることがわかりました。昔もいまも、場所が変わってもセクハラを受けたと感じる女性医師の数が変わっていないことは問題は根深いと感じます。
本研究はアンケートの返送率が低く、強いバイアスが掛かっている可能性があります。またセクハラかどうかについてのアンケートのValidationが取られていないのでそのセクハラが本当にハラスメントに当たるものかどうかの客観性にかける可能性があります。
また結論として女性医師が上司になることで改善するかもとありますが、この結論は保留です。
誰にとっても気持ちよく過ごせる職場で有りたいものです。
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