背景
80歳以上の高齢者における、人工関節置換術(TJA)を受ける患者の割合が増加している。平均寿命の延長とTJAの成功に伴い、整形外科医はこれまで以上に80歳以上の患者を手術することが多くなっている。本研究の目的は高齢者における初回TJAと再置換TJAの両方を検討することである。
質問/目的
本研究では、80歳以上の下肢TJA(初回もしくは再置換術)を受けた患者を対象に、90日後の手術部位感染症(SSI)および術後2年後の関節周囲感染症(PJI)の危険因子を検討した。
方法
2005年から2014年の間に初回または再置換TJAを受けた80歳以上のすべての患者を、PearlDiverスーパーコンピュータのMedicare Analytical Filesを使用してICD-9コードを使用して同定した。このデータベースは、全国最大級のデータベースであるという点でユニークであり、80歳以上の患者のサンプルサイズが十分に大きい。さらに、このデータベースは、包括的で縦断的な患者データの追跡を可能としている。最終コホートは503,241人の患者であった(TKA:n = 275,717;THA:n = 162,489;再置換TKA:n = 28,779;再置換THA:n = 36,256)。90日SSIおよび2年PJIの発生率に対する危険因子の関連を評価するために、多変量ロジスティック回帰モデルを構築した。性別、糖尿病、BMI、うっ血性心不全などの変数が多変量回帰モデルに含まれた。モデルを構築するために、CharlsonおよびElixhauserの併存指標によって同定されたいくつかの高リスクの併存疾患を選択した。複数の統計的比較が行われたことを考慮してボンフェローニ調整補正を行い、p値<0.002が統計的に有意と考えられた。
結果
初回TKA患者では、90日SSIのリスクの増加は、男性性(OR 1.28 [95% CI 1.25~1.52]; p < 0.001)、BMIが25 k/m2以上(p < 0.001)、およびその他の併存疾患と関連していた。初回THA患者では、90日SSIのリスクの増加は肥満(BMI 30-39kg/m2;OR 1.91 [95% CI 1.60~2.26]; p < 0.001)および病的肥満(BMI 40-70kg/m2;OR 2.58 [95% CI 1.95~3.36]; p < 0.001)を有する患者と関連していた。再置換TKA患者では、SSIのリスクの増加は貧血と関連していた(OR 1.82 [95%CI 1.37~2.28]; p < 0.001)。再置換THA患者では、電解質不均衡(OR 1.48 [95% CI 1.23~1.79]; p < 0.001)と貧血(OR 1.63 [95% CI 1.35~1.99]; p < 0.001)が90日SSIリスクの増加と関連していた。各コホートでは、PJIについても同様の関連が認められた。
結論
これらの知見は、この集団では、男性の性、肥満、高血圧、貧血、その他の高リスクの併存疾患がSSIおよびPJIの高リスクと関連していることを示している。これらの知見に基づき、整形外科医は、体重管理プログラム、血圧低下、電解質バランス調整などの実践を通じて、修正可能な危険因子に対処するために、内科医やその他の専門医と積極的に共存管理戦略に取り組むべきである。さらに、このデータは、この患者層がPJIやSSIのリスクが高いことを認識するよう、医療システムや政策立案者に奨励すべきであり、支払いのバンドルを交渉する際には、これらのリスクを考慮しなければならない。
<論評>
一般的な大規模データベースがもう一歩進んだ。ということでしょうか。
いままでこのような大規模データベースは横断研究が主体でありましたが、いよいよ縦にフォローすることも可能となっていると言うことでしょうか。
Nの暴力で検討すればなにかでますので、内容はどうでもいいです。笑
0 件のコメント:
コメントを投稿