Charnleyのセメントステム 40年の成績。
2000例の検討。51例が残存。
まとめが秀逸。現在の人工関節の礎となった人工関節。その成績で患者さんの年齢ごとの再置換の危険率を算出。
患者さんに説明するときに非常に役立ちます。
実績のある人工関節を、正しい手術手技で患者さんに提供することが僕達の責務だと考えています。
- 抄録
- CharleyのセメントTHAの40年成績を明らかとする。
- 現在までの40年間に2000例のCharnleyのセメントTHAが行なわれてきた。51例が現在生存している。
- 累積危険率は13%。手術時の年齢が50歳以下の患者では35%。50−59歳であれば20%、60−69%の患者であれば9%。70歳以上であれば5%である。男性は女性の2倍再置換のリスクが高かかった。
- 筆者らの経験則によれば、50歳以下でTHAをしたら3人に1人が、50歳から59歳の間でTHAを行った場合には5人に1人が、60歳から69歳でTHAを行えば10人に1人が、70歳以上で手術を行えば20人に1人が再置換術を行うこととなるといえる。本研究は今後の新しく開発されるTHAの基準となるものである。
- 本文
- THAは何時か何処かのタイミングで再置換術が必要となる。CharnleyのTHAは術後15年から35年成績を78%−95%であると報告してきた。以前、筆者らがおこなった報告では25年生存率が78%であると報告してきた。本研究は更に規模を広げて長期の成績を検討することである
- 対象は1969年から1971年にCharnleyのTHAが行なわれた1689例、2000関節である。
- レントゲン写真は術後1,2,5,以後5年毎撮影された。通院困難となった場合には近隣の病院からの情報提供を求めた。268例268関節のフォローができなかった。45例、51関節が再置換されずに残存していた。これらの患者の平均年齢は84−113歳。51関節の内、22関節が40年以上経過した関節である。
- 手術時平均年齢は63.5歳。50%が女性であった。OAが1441関節であった。ClassicalなTranstrochantericアプローチで、Charnleyの22.25ミリのMonoblockTHAが行われた。
- 結果
- 死亡を比較対象とした累積危険率を計算したところ、THA後40年の累積危険率は13%であった。9%が臼蓋側で、11%が大腿骨側である。
- 再置換率は40年で28%。
- 手術時の年齢が50歳以下の患者では35%。50−59歳であれば20%、60−69%の患者であれば9%。70歳以上であれば5%である。男性は女性の2倍再置換のリスクが高かかった。
- 考察
- THAの理想は患者の寿命が尽きるまで関節が維持されることである。しかしながら大規模、長期間に渡った報告は少ない。しばしば患者は自分が再置換術が必要となるかどうかを知りたいと思っている。残念ながら現在の研究ではこれらの質問に応えることが出来ない。今回、死亡を対象としてTHA再置換術の累積危険率を求めた。累積危険率は13.5%であった。Callaghanが35年のフォローでTHAの生存率が78%であったと報告している。Lampropoulouらは若年者に対するTHAは25年で68%の生存率であったと報告している。カプランマイヤー法を用いるとその危険率は2倍程度に変わる。この研究の強みは、「今THAをすると将来の再置換の確率はどのていどか」という疑問に応えることができることである。
- 筆者らの施設の経験則によれば、50歳以下でTHAをしたら3人に1人が、50歳から59歳の間でTHAを行った場合には5人に1人が、60歳から69歳でTHAを行えば10人に1人が、70歳以上で手術を行えば20人に1人が再置換術を行うこととなるといえる男性の方が女性よりもリスクが高かった。
- 本研究のLimitationはコントロールグループが無いこと。セメントレスTHAの成績についてはわからないこと。当然現在の新しいデザインのTHAについては不明である。
0 件のコメント:
コメントを投稿