2016年6月4日土曜日

20160604 CORR Will My Tibial Fracture Heal? Predicting Nonunion at the Time of Definitive Fixation Based on Commonly Available Variables



本研究の結果は上図のとおりです。

以下本文
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  • 抄録
  • 脛骨骨幹部骨折の偽関節を正確に予想することは難しかった。今回そのスコアリングづくりを行った。
  • 2007-2014年の患者を対象。35編の論文をreviewして危険因子を抽出。カルテから脛骨骨幹部骨折が治癒したのか偽関節となったのかを調査。髄内釘で治療された382例の脛骨骨幹部骨折の患者を対象とした。56例が偽関節、326例が治癒した。単変量、多変量解析を行い、各独立変数について検討。Odd比2以上。P<0 .05="" span="">
  • 多変量解析の結果、7つの要素が採択された。それらを用いてNURDスコア(偽関節スコア)を用いた。NURDスコアでフラップを必要とした場合が5点、4点がコンパートメント症候群の発生、3点が慢性の状態、2点が開放骨折、1点が男性またはASAが低いことであった。低エネルギー外傷、螺旋状の骨折であることはリスクを下げた。NURDスコアに沿うと、0-5点では2%した偽関節にならないのに比較し、6-8点では22%、9-11点では42%、12点以上で61%となった。
  • NURDモデルを作成した。実際に当てはまるかを今後前向き研究で実際の症例に当てはめて行う。
  • 背景
  • 脛骨骨幹部骨折はアメリカで1000人中2人から10000人中2人程度起こる外傷である。その偽関節率は5-15%と報告されている。偽関節になると多くの医療コストを必要とする。
  • 今まで幾つかのリスクが提唱されてきたもののその重み付けは行なわれてこなかった。
  • 対象
  • アメリカのLevel1外傷センターの患者。2007-2014の985例の患者を対象。18歳以下の患者は除外。
  • フォローは最短9ヶ月。(この時点で336例の患者を除外)。足関節固定を行った14例、早期の下腿切断を行った12例、人工関節周囲骨折の3例、疲労骨折の1例、病的骨折の3例を除外。違う病院で治療をされた4例、脛骨天蓋骨折を含んだ78例、膝の骨折を含んだ25例も除外した。妊娠中の2例、カルテが紛失した3例、手術治療を行なわなかった1例も除外。
  • 偽関節の可能性が高いと判断して3ヶ月以内に再手術を行った61例も除外。
  • 適合した382例について検討。うち56例が偽関節。326例が癒合。
  • 偽関節の定義は様々である。今回は手術治療を行なわないと治癒が得られなかったものと定義した。
  • 骨癒合についてはRdiographic Union Scoreを用いてRUSTが10点以上でああれば骨癒合であるとした。
  • 結果は添付した画像の通り
  • 考察
  • 脛骨骨幹部骨折の偽関節の可能性が予測できることは臨床家にとって価値があることである。
  • 今までのモデルでは脛骨の大きな欠損を含んで検討されることが多かったため、その検討が困難であった。大きな骨欠損がもっとも偽関節に大きく関わるためである。手術の時には皮質がそれぞれ合うようにしないといけない。
  • 本研究でGapを除くことでNURDスコアという術後予測モデルを作成することが出来た。
  • 本研究のLimitationは後ろ向き研究であるということである。331例という多くの患者のフォローアップができていない。ただ、この基準に当てはまる患者ではこのスコアは有効である。この施設はレベル1トラウマセンターで、患者は比較的若く、高エネルギー外傷の患者が多く、高齢、低エネルギー外傷の患者が少なかった。また治療がリーミング併用髄内釘のみである。これも本研究のLimitationである。本研究は前向きに検証されなければならない。また偽関節の定義が曖昧なのも問題である。
  • Bhandariは皮質の接触部位が50%以下、開放骨折、横骨折が偽関節のリスクファクターであるとした。ただ、彼らの研究の問題点はGapを含む症例が多い事である。骨欠損は偽関節の要素として大きなウエイトをしめすぎる。
  • Fongらは皮質の接触が25%以下で偽関節のリスクが高くなると報告している。皮質の接触もまた重要な因子である。
  • Audigeらはリーミングした場合とノンリーミングの場合も含んでを検討を行った。ノンリーミングと創外固定では偽関節が多かったと報告している。本研究ではこれらは除外している。
  • いずれの研究もFractureGapが偽関節の大きなウエイトをしめている。
  • Lackらは早期の外来受診時に偽関節となるかどうかのスコアリングを作成している。www.schocknurd.orgを参照されたい。
  • 開放骨折のGustily3C が偽関節のリスクとならなかったが、これはGustilo3Cの患者数が少なかったからだろう。
  • 今後このスコアの正しさを検証するための前向きの検討が必要である。

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多数の重症患者での脛骨骨幹部骨折を対象に偽関節のリスクについての検討を行いました。
いくつかの注意事項として、筆者らが本文中に書いてあるように除外例が多いこと、施設の偏りが大きいことがあげられるので、これが明日からの日本での治療にそのまま応用できるわけではないということです。
また、筆者らが考察でも述べているように、骨折のギャップが偽関節の有無に直結しているところは有ります。
ですので、実臨床ではまず骨折のギャップを作らないように丁寧に手術をする。ということが必要なのでしょう。



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