2013年7月24日水曜日

20130724 J rheumatology Smoking and Outcomes after knee and hip arthroplasty A systematic review

喫煙者は非喫煙者に比較して術中、術後合併症が多いことが知られている。今回のsystematic reviewはTHA,TKAのアウトカムに喫煙が関連するかどうかを調べることである。

Cochrane Library,などの6つのデータベースから2人のレビューワーによってTKA,THAと喫煙に関する論文が検索された。

全体で21論文が検索された。6つの文献が多変量解析が行われ、14論文が単変量解析が行われ、1つの論文が統計的モデリングがなされていた。現在も喫煙を行なっていることは術後の合併症、死亡率の上昇に関わっていた。(それぞれRR1.24、2.51)。以前喫煙していた群でもRRは1.32,1.69と非喫煙者に比べて高い値であった。

このsystematic reviewで喫煙はTKA,THAの術後の合併症、死亡率をより高くスルことがわかった。今後の研究としては喫煙がインプラントの生存率に与える影響を調査することである。禁煙はTHA、TKAの術後成績を改善した。

TKA,THAは有効な治療方法である。TKA、THAの術後成績に影響を与える因子として年齢、性別、社会的背景などが挙げられている。加えて喫煙、内科的合併症、肥満の存在が術後成績に影響をあたえるとする報告がある。今回喫煙に注目したのは介入することによって改善が得られる要素であるからである。喫煙は脊椎術後、膝の骨切り術後の成績不良因子として知られているがTHA,TKAについての報告は少ない
本研究の目的は喫煙とTKA,THAのアウトカムをsystematic reviewによって検討することで喫煙と合併症の関連について調査することである。

6つのデータベースから2人のレヴューワーによって論文を抽出。TKAとTHAの結果と喫煙に関するものを抽出した。それぞれの研究の質をNewcastle-OttwaScaleを用いて評価。TKAとTHAは同時に検討した。これは研究のn数が小さすぎるため異質性の検討が出来なかったからである。Mantel-Haenszel法を用いて95%信頼区間を計算。害を及ぼす最小の症例数(NNH)を計算した。

結果
516論文を抽出。うち45論文を検討した。そのうち24論文は様々な理由で除外し、21論文を検討対象とした。7論文はレビュー、8論文はアウトカムの記載がはっきりせず、喫煙が予測因子として検討されていなかった。一つは患者側からの調査っで一つは他の論文と全く同じもの。もう一つは関節鏡の論文であった。
表1に21論文の患者のバックグラウンドデータを示す。
表2に今回の研究の主要な結果を提示している。
表3に合併症が起こるに必要な人数を計算している。

Azodiが報告したスウェーデンのレジストリーでは明らかに喫煙によって合併症が増えていること明らかになっている。特に1年に40箱以上吸っているヘビースモーカ群でORが2.21となった。
Laverniaの報告では喫煙者は入院費が有意に高くなった
FisherらはTKA術後の疼痛、膝の拘縮との関連を報告
Mollerは811人の患者について多変量解析を行い喫煙はあらゆる合併症のORが3.2、装置ゆ遅延のリスクがOR8.5、ICUで治療する可能性がORで2.4であった。
Espehaugらは症例対照研究をおこない、1年に12箱以上すうヘビースモーカーでORが2.6となることを明らかとした。
NNHは34から100で、手術を受ける際に喫煙している患者を34人禁煙させるとリスクが下がることがわかる。

考察
喫煙することでリスクが24%から32%高くなることがわかった。
術後の死亡についても現在喫煙していると62%、術後3年間喫煙してると69%死亡リスクが上がる。
術後の感染リスクも高くなる。
喫煙患者には術前術後のリスクが高くなることを説明することが必要である。
実際の禁煙指導は術前4から8週前から禁煙外来を受診。毎週受診させることである。禁煙は長期的な心臓、肺への影響のみならず短期的な関節置換術後にも影響をおよぼすことを患者に伝える必要がある。
THA,TKAを受けるような患者はもともと元気で死亡することが少ない。しかしながら喫煙に関しては3年後の死亡率の変化についてNNHが34と極めて介入に値するほど小さい。
例を挙げると脳梗塞、肺梗塞に対するホルモン療法のNNHが1250、乳がんのNNHが238であることから介入する対象としては非常に有用である
THA、TKAの患者が喫煙していること、以前の喫煙歴があることは合併症の危険因子であることがわかった。
今後はTHA,TKAの長期成績との関連についての調査が必要である。



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