抄録
腰部脊柱管狭窄症の患者で、注意深く診察されたうえで手術に臨んだ患者は保存療法よりも除圧術の方がよりよい臨床成績を得ることができる。しかしながらいく人かの患者は合併症や持続する症状のため再手術を受けることになる。今回の研究は再手術にいたる因子として患者の年齢、合併症、以前の手術、手術方法との関連を調べた。
方法
Medicarewp用いた後ろむき調査。2004年に行なわれた31543例を対象とし、2008年まで追跡した。手術方法は除圧術のみ、2椎間までの単純な固定術、2椎間以上の固定または前後方固定術のような複雑な固定術の3つに分類した。再手術率は各々の年毎に計算し、ハザードモデルを用いて解析した。
結果
患者の年齢が高くなる、または合併症が多くなるほど再手術率は高くなった。年齢ごとに層別化して以前に手術したことがあるかどうかで分けてみると、以前に手術を受けている人は17%、以前手術を受けていない人は10%と有意に手術をうけた人は多数回手術をうける傾向にあることがわかった。
術後1年以内であれば除圧術のみ受けた人の再手術率が高いが、術後4年では除圧術のみ、単純な固定術の群はほぼ再手術率が同じになり、複雑な固定術を受けたひとの再手術率が有意に高くなった。
固定術後に再手術になった例で、デバイスによるとらぶるは29.2%にのぼった。
結論
年齢が高くなり、合併症を有すると再手術になることが多くなり、これが大きなリスクになりうると考えられた。最大のリスク因子は以前に手術の経験があるかどうかであった。術後1年の段階では固定術は再手術のリスクとはなりえないが、術後4年の段階では複雑な固定術を行なうことは再手術のリスクになるものとかんがえられた。
考察
LSCSの再手術例は11~13%と報告されている。リスク因子としては年齢と合併症が考えられ、最も再手術にいたる因子は以前に手術をうけているかどうかであった。
黒人群で白人群よりも再手術率が低かったが、この理由については不明である。ただ社会的な要因、保険の内容、医師患者関係なども影響しているのかもしれない。
手術方法による違いはあまりなかった。多椎間手術で術後1年の時点で差が出なかった理由についてはわからない。
後ろ向き研究であるので、バイアスはかかっているので注意が必要である。
今後は一度再手術をうけた患者だどうしてまた再手術に臨むのかということについて調べることである。また、固定術の基準についても明らかにしていく必要がある。
<論評>
そもそもの再手術の多さに驚きました。アメリカだから、ということは影響しているのでしょうか。
他の因子についても検討してもらえるとおもしろかろうなあ。と思いました。
0 件のコメント:
コメントを投稿