背景
肥満、体重増加に対する管理としては食事療法、運動、行動変容などがある。加えて薬物療法、外科手術まである。太っていることが問題であるということを教えることがあらゆる治療の始まりとなる。(10/17ページ)
体重減少の目標
現在の体重の5-7%を減少するのが現実的な目標である。
・最初の目標は体重を増やさないようにすること。(せいぜい5%以内の増加にとどめる)
・臨床家の目標は患者の現実的な目標を設定してあげること。多くの患者は30%以上の減少をゴールに設定するがそれは現実的には行き過ぎである。
・5%以上の体重減少に導けたらそのプログラムは成功したということになる。5%体重を減らせば脂質異常症、高血圧、DM、心疾患イベントを減少させるとが出来るからだ。体重が減った患者では58%も耐糖能異常が改善したという報告がある。
・5-7%の体重減少は医学的には有効であるが患者の納得は得られない。
・BMIは25までこれば最低リスク群になる。
食事のエネルギー
体重減少の割合
体重が減るかどうかはとったエネルギーと必要としているエネルギーとの間に乖離があるということである。ちょっとしか食べなければ体重が減少する。しかしながら体重の減少の予想は難しい。これは個々のいうことの聞き具合とエネルギーの消費量の違いからくる。食事の記録をさせてもたいてい不正確である。体重が普通の人に書かせると10%減らして書いてくるし、太った人に書かせると30%くらいは食べたものを書いてこない。しかもエネルギーの必要量は飽きっぽさや性別、年齢、などに左右される
・男性のほうが基礎代謝量が多いため同じ体重の女性よりはやせやすい。
・年をとるとやせにくくなる。10歳ごとに2%ずつ消費率は下がっていく。
・遺伝的な素因も重要。双子ちゃんで見てみると3倍は違う
おおよそ22kcal/日が正常な大人で必要な量である。ということは100kgの女性であれば2200kcalが必要である。そこで平均500kcal/日とすれば週に500グラムずつ減る。
図2(12/17ページ)に正式な必要エネルギーの表がある。デスクワークのひとは消費エネルギーが少ない。
体重減少の管理
体重が減少すると必要なエネルギー量も減っていくので減った体重を保つことはなかなか難しい。しかも食事療法をして体重を減らすと胃から出るグレリン量が上昇するため食欲が増してそのままの体重を保つのがまた難しくなる。
食事の種類
デスクワークをしている人が太るのは余分なカロリーを取っているから。最低800kcal以上で以下のような食事療法を行いましょう
・量をコントロールするかカロリーの低い食事
・低脂肪食
・低炭水化物
・テレビでやっているような気まぐれダイエット(これは別の項で述べる)
バランスの取れた低カロリー食
この方法は必要なエネルギーを食事からとる。加えてたんぱく質、炭水化物、脂肪酸の適切な量の摂取が望ましい。アルコール、清涼飲料水、甘いお菓子は必要以上のエネルギーとなるためよしておいたほうがいい。
たんぱく質が減ると体重が減少する。食べ過ぎると75%が脂肪になる。25%は筋肉のほうに行く。体重が減ったときその5%は筋肉量の減少である。
量を調節した食事
一つ一つパッケージに入ってきてそれを水に溶かしたりだのして食べるダイエット。
この筆者達は朝ごはんとしてこういうものを食べることを進めている。昼ごはんはこのパッケージを食べるかして夕ご飯にはこれに野菜つけたものを食べる。こうすると一日1000-1500kcalくらいになるのでいいですよ。一番早く目標の体重に達するとの報告がある。
低脂肪ダイエット
飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸がたくさん入っている食事を取ることはデブになるだけでなく心血管リスクの増大、癌になりやすくなったりだとかいろいろ悪いことばかりである。ということで低脂肪ダイエットは理にかなっている。普段の食事でとる油の量を全体の30%以下にするようにする。こうすることで大体3kgは余分に体重が落ちる。
低炭水化物療法を提唱するものもいるがまあ、それほどでもない。
大研究が行われこの方法は有用であることがわかっている
低脂肪ダイエットには”Fat food”を減らすことからはじめる。口の中で解けるものはすべて脂肪の塊であると認識すること。もうひとつは脂肪量を計算することである。1gの脂肪は9.4kcalである。カロリー計算よりも脂肪量を計算するようにする。カロリー全体の脂肪を30%以下にするようにする。一日にとっていい脂肪の量は50gまで!!
低炭水化物療法
短期的に体重を落とす方法として有用である。一日にとる炭水化物の量を0-60g(普通は130gくらい)にする。低炭水化物療法はDMとか心血管病変を持っている人には有効な方法である。GI(Glycemic
index)を減らすようになる
ただしこの方法をとるときには脂肪と蛋白を上手に取らないといけない。
高たんぱく療法
高たんぱく療法は体重の管理を改善する。しかしこの方法をとるとカルシウムがおしっこで蛋白と一緒に出て行ってしまう。腎結石にもなる。
超低カロリー療法
一日に200-800kcalしか食べない方法。一日200kcal以下では断食となってしまう。最も早く体重が減っていく。しかしながらこの方法は長期間追跡するとほかの方法よりも優れているということがない。低血圧、低血糖になって蛋白も減っていくので手術をするとか何か特別な目的がない限りはこの方法を用いてはいけない
比較
低脂肪法と低炭水化物法のどちらが優れているかは今後も議論が必要である。
・体重減少について
低炭水化物療法群のほうが短期的には減少したが長期的に観ると有意差なし。(15/17ページ)
その他さまざまな文献あり
ということで患者さんの状態に合わせてあげて長期的に体重減少させてあげることが必要かもしれない。
・脂質
低炭水化物療法でHDLが増えた。しかしLDLも増えたのでどちらが有用化は不明である。
・副作用
対炭水化物療法でケトーシスまで起こした患者がいるので注意が必要。
カウンセリングの効能
カウンセリングを受けると短期間の体重減少には有効である。少し説明するだけでも有効であるとする報告があるが脱落者が多いのも特徴である。
長寿とカロリー制限
カロリー制限が寿命にどういう影響を与えるのかは不明である。むやみな摂取カロリー制限はDNAに損傷を与えるとの報告もある。
まずは食事療法から。まず食べているものの把握。そのうえで患者さんと離していかねばと思った。
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