BJJから。
開放骨折の評価であるGustilo分類、OTA-OFC分類は、検者間誤差が大きいよ。というお話。
κ値が0.5以下である評価ばかりなので、かなりちがっている。という結論になります。
これならこの論文に書いてある写真、病歴から機械学習を行なわせてAiに判断させたほうがいいんじゃないかと思います。
目的
本研究の目的は整形外科外傷学会の開放骨折分類システム(OTA-OFC)の検者間の信頼性を明らかにすることである。
対象と方法
長管骨の開放骨折をきたした患者。レントゲン写真。創部のレントゲン写真、短い病歴を8人の整形外科医に見せ、それぞれ独立してGustilo分類とOTA-OFCを行った。κ値で評価を行った。
結果
検者間一致率はGustilo分類で0.44、OTA-OFC分類で0.49であった。それぞれ中程度の一致率であった。OTA-OFC分類の下位項目である皮膚は0.55、筋肉は0.44、血管損傷は0.74,コンタミネーションは0.35,骨欠損は0.41であった。
結論
OTA-OFC分類はGustily分類と同じ程度の一致率であったが将来的にはもっとしっかりとした信頼性のあるツールを作成する必要がある。
2018年2月19日月曜日
2018年2月18日日曜日
20180218 BJJ The impact of external fixation on mortality in patients with an unstable pelvic ring fracture: a propensity-matched cohort study.
BJJから。
日本の外傷レジストリーをもちいた傾向スコアマッチングをもちいた骨盤骨折の治療についての論文。
創外固定は比較的容易な手技でおこなうことが出来ます。骨盤骨折のような高エネルギー外傷が運ばれてくるような施設では今後必須になると思います。
外傷のデータベースあってこそのこの研究。このデータベースを構築された救急の先生方のお仕事に敬服いたします。整形外科の他の分野も見習うべきだと思います。
抄録
目的
創外固定が死亡率を減らすかどうかというエビデンスはない。日本の外傷データベースをもちいて不安定骨盤骨折を抽出して、他の外傷からの出血を除いて、創外固定が死亡率に関与するかを調べること
対象と方法
1163名の不安定性骨盤骨折の患者。創外固定をもちいられて治療された群386名と創外固定なしで治療された777名。単独の骨盤骨折かどうかはAISをもちいて、AIS<3 p="">結果
346名の患者がマッチした。マッチさせると創外固定群は有意に死亡率を減少させた。また輸血良、大量出血の有無に関しても有意に低くなった。
結論
不安定性骨盤骨折に対する創外固定は患者の死亡率を低下させる。
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日本の外傷レジストリーをもちいた傾向スコアマッチングをもちいた骨盤骨折の治療についての論文。
創外固定は比較的容易な手技でおこなうことが出来ます。骨盤骨折のような高エネルギー外傷が運ばれてくるような施設では今後必須になると思います。
外傷のデータベースあってこそのこの研究。このデータベースを構築された救急の先生方のお仕事に敬服いたします。整形外科の他の分野も見習うべきだと思います。
抄録
目的
創外固定が死亡率を減らすかどうかというエビデンスはない。日本の外傷データベースをもちいて不安定骨盤骨折を抽出して、他の外傷からの出血を除いて、創外固定が死亡率に関与するかを調べること
対象と方法
1163名の不安定性骨盤骨折の患者。創外固定をもちいられて治療された群386名と創外固定なしで治療された777名。単独の骨盤骨折かどうかはAISをもちいて、AIS<3 p="">結果
346名の患者がマッチした。マッチさせると創外固定群は有意に死亡率を減少させた。また輸血良、大量出血の有無に関しても有意に低くなった。
結論
不安定性骨盤骨折に対する創外固定は患者の死亡率を低下させる。
3>
2018年2月17日土曜日
20180217 BJJ The role of a small posterior malleolar fragment in trimalleolar fractures: a biomechanical study.
BJJから。
足関節三果骨折における後果骨折の骨片は1/4より大きければ骨接合をおこなうと古くから言われて来ましたが、本当にその4分の1にエビデンスがあるかを調べた論文。
Biomechanicsですので、一概に全部の結果を受け入れられるわけではないですが、常識だと思っていることでも疑って調べてみると面白いよ。という論文。
今後自分であれば、後ろ向き研究で後果を止めたものと止めなかったもので臨床成績、X線評価をチェック。可能であれば前向き無作為研究ができるとJBJSも目指せそうですね。
はじめに
本研究の目的は、足関節後果のはたす影響について検討をおこなうことである。今までにしっかりとした科学的な裏付けなしに、1940年代から足関節後果の治療は行われてきた。
方法
12体の屍体をもちいた研究。三果骨折を作成し、内固定を行った。後果を止めた群(1群)と、止めない群(2群)とに分けた。関節内の圧を測定した。
結果
骨折することで、足関節の接触面積は減少した。骨接合をおこなうことで接触面積はほとんどもとのレベルにまで戻った。後果を固定した群で接触圧は有意に減少した。足関節の背屈運動で、荷重中心は2群では後方に、1群では前方に移動した。圧によって破綻するかどうかを調べた研究では二群間に差を認めなかった。
結論
25%以下の小さな後果骨片では、手術をおこなうことで圧力分布は改善するが、足関節の不安定性に影響を与えない。
足関節三果骨折における後果骨折の骨片は1/4より大きければ骨接合をおこなうと古くから言われて来ましたが、本当にその4分の1にエビデンスがあるかを調べた論文。
Biomechanicsですので、一概に全部の結果を受け入れられるわけではないですが、常識だと思っていることでも疑って調べてみると面白いよ。という論文。
今後自分であれば、後ろ向き研究で後果を止めたものと止めなかったもので臨床成績、X線評価をチェック。可能であれば前向き無作為研究ができるとJBJSも目指せそうですね。
はじめに
本研究の目的は、足関節後果のはたす影響について検討をおこなうことである。今までにしっかりとした科学的な裏付けなしに、1940年代から足関節後果の治療は行われてきた。
方法
12体の屍体をもちいた研究。三果骨折を作成し、内固定を行った。後果を止めた群(1群)と、止めない群(2群)とに分けた。関節内の圧を測定した。
結果
骨折することで、足関節の接触面積は減少した。骨接合をおこなうことで接触面積はほとんどもとのレベルにまで戻った。後果を固定した群で接触圧は有意に減少した。足関節の背屈運動で、荷重中心は2群では後方に、1群では前方に移動した。圧によって破綻するかどうかを調べた研究では二群間に差を認めなかった。
結論
25%以下の小さな後果骨片では、手術をおこなうことで圧力分布は改善するが、足関節の不安定性に影響を与えない。
2018年2月16日金曜日
20180216 J arthroplasty Early Failure of Primary Total Hip Arthroplasty: Is Surgical Approach a Risk Factor?
J arthroplastyから。
THAに対するアプローチの違いによって術後早期の合併症に違いがあるか?という論文
THAでは様々なアプローチが開発されているが、その早期合併症についてはいまだ不明な点が多い。本研究の目的は各種アプローチでの初回THAにおける周術期合併症について検討することである。
方法:後ろ向き研究。High volumeセンターでの2007年から2014年までの初回THAが行われた。THAは手術ごとに分けて検討を行った。前方アプローチ(DAA)と後方アプローチ(PA)に分けて検討した。5年以内の早期再置換の有無をPrimary エンドポイントとした。
結果:6894例のTHAが7年間に行われた。DAA 2431例、PA 4463例であった。103例に対する再置換術が行われた。DAAとPAでの全体の再置換率はDAAが1.69%、PAが1.39%で有意差を認めなかった。大腿骨コンポーネントに関してはDAAのほうがPAよりも早期の再置換が多かった。DAAが35%なのに対してPAが8%出会った。早期の合併症はDAAではDorrAに多かった。PAでの再置換は不安定性に対して行なわれていることが多かった。寛骨臼側の緩み、骨折、感染においては両群で差を認めなかった。
結論 DAAでは大腿骨側コンポーネントのゆるみが原因となるのに対し、PAでは後方不安定性が再置換の原因となった。アプローチ間で統計学的な有意差は認めなかった。
−−−−−
アプローチごとの早期合併症についての検討。
各種アプローチについては、臨床成績にはそれほどの差がでないので、その特徴を捉えてしっかりと習熟をする必要がある。というのが最近の僕の意見です。
DAAでの大腿骨操作は確かに慣れを必要とする。ということなのだと思います。
新しいアプローチがでたからと言ってすぐに飛びつくのではなく、手練のもとで研修を行い。カダバーで練習し、一度手練についてもらって自分で執刀し、症例を選んで新しいアプローチを開始するといった順序は必要でしょう。
THAに対するアプローチの違いによって術後早期の合併症に違いがあるか?という論文
THAでは様々なアプローチが開発されているが、その早期合併症についてはいまだ不明な点が多い。本研究の目的は各種アプローチでの初回THAにおける周術期合併症について検討することである。
方法:後ろ向き研究。High volumeセンターでの2007年から2014年までの初回THAが行われた。THAは手術ごとに分けて検討を行った。前方アプローチ(DAA)と後方アプローチ(PA)に分けて検討した。5年以内の早期再置換の有無をPrimary エンドポイントとした。
結果:6894例のTHAが7年間に行われた。DAA 2431例、PA 4463例であった。103例に対する再置換術が行われた。DAAとPAでの全体の再置換率はDAAが1.69%、PAが1.39%で有意差を認めなかった。大腿骨コンポーネントに関してはDAAのほうがPAよりも早期の再置換が多かった。DAAが35%なのに対してPAが8%出会った。早期の合併症はDAAではDorrAに多かった。PAでの再置換は不安定性に対して行なわれていることが多かった。寛骨臼側の緩み、骨折、感染においては両群で差を認めなかった。
結論 DAAでは大腿骨側コンポーネントのゆるみが原因となるのに対し、PAでは後方不安定性が再置換の原因となった。アプローチ間で統計学的な有意差は認めなかった。
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アプローチごとの早期合併症についての検討。
各種アプローチについては、臨床成績にはそれほどの差がでないので、その特徴を捉えてしっかりと習熟をする必要がある。というのが最近の僕の意見です。
DAAでの大腿骨操作は確かに慣れを必要とする。ということなのだと思います。
新しいアプローチがでたからと言ってすぐに飛びつくのではなく、手練のもとで研修を行い。カダバーで練習し、一度手練についてもらって自分で執刀し、症例を選んで新しいアプローチを開始するといった順序は必要でしょう。
2018年2月15日木曜日
20180215 Injury Risk factors of fixation failure in basicervical femoral neck fracture: Which device is optimal for fixation?
2018年初めての投稿ですね。怠っていてすいません。
2015年頃からナナメ読みと言いながらだいぶ真面目に読んでいましたので、更新速度が遅くなるというデメリットを抱えていました。
2018年はしばらくホントにナナメ読みして、興味があるものを深読みするスタイルに変更します。Facebookにもページを作って、そちらにリクエストが有った場合には深読みします。
興味があってその内容を深く知りたい!というときにはFacebookのナナメ読みのページまでご連絡ください。深読みします。笑
2018年初めての投稿は外傷の老舗 Injuryから
中国の論文です。
大腿骨頚基部骨折は珍しい骨折形態であり、その固定が不安定になることがある。本研究の目的は頚基部骨折の破綻の割合を調べることと、破綻に関連する因子について検討することである。
方法
方法は後ろ向き研究。2003年から2016年の間に手術した3217人の患者のうち大腿骨頚基部骨折と診断された77名。69名が12ヶ月間のフォローが可能であった。まず、破綻した割合を検討し、多変量解析を行い破綻に関わる因子の検討を行った。
結果
69例中17例、24.6%で破綻を認めて、8.6%で再手術が行われた。SlideingHip Screwを使用すると、骨折部の圧潰や、固定部の破綻の独立した因子となった。
結論
Sliding hip screwで固定した場合には、Nailと六角形のBradeで固定する場合よりも破綻率が有意に高かった。頚基部骨折にはSliding hip screwよりもNailのほうが推奨される。
後ろ向き研究です。ひと目でNが多そうに見えますが、実は大したことない。みたいな。笑
13年でこれくらいの症例数であれば、日本でも積極的に股関節骨折を取り扱っている病院でも同じ検討ができるのではないでしょうか。
なぜ六角形のブレードがいいかは深読みしないとわからんす。
2015年頃からナナメ読みと言いながらだいぶ真面目に読んでいましたので、更新速度が遅くなるというデメリットを抱えていました。
2018年はしばらくホントにナナメ読みして、興味があるものを深読みするスタイルに変更します。Facebookにもページを作って、そちらにリクエストが有った場合には深読みします。
興味があってその内容を深く知りたい!というときにはFacebookのナナメ読みのページまでご連絡ください。深読みします。笑
2018年初めての投稿は外傷の老舗 Injuryから
中国の論文です。
大腿骨頚基部骨折は珍しい骨折形態であり、その固定が不安定になることがある。本研究の目的は頚基部骨折の破綻の割合を調べることと、破綻に関連する因子について検討することである。
方法
方法は後ろ向き研究。2003年から2016年の間に手術した3217人の患者のうち大腿骨頚基部骨折と診断された77名。69名が12ヶ月間のフォローが可能であった。まず、破綻した割合を検討し、多変量解析を行い破綻に関わる因子の検討を行った。
結果
69例中17例、24.6%で破綻を認めて、8.6%で再手術が行われた。SlideingHip Screwを使用すると、骨折部の圧潰や、固定部の破綻の独立した因子となった。
結論
Sliding hip screwで固定した場合には、Nailと六角形のBradeで固定する場合よりも破綻率が有意に高かった。頚基部骨折にはSliding hip screwよりもNailのほうが推奨される。
後ろ向き研究です。ひと目でNが多そうに見えますが、実は大したことない。みたいな。笑
13年でこれくらいの症例数であれば、日本でも積極的に股関節骨折を取り扱っている病院でも同じ検討ができるのではないでしょうか。
なぜ六角形のブレードがいいかは深読みしないとわからんす。
2017年12月14日木曜日
20171214 JBJSAm Irrigation and Debridement with component retention for acute infection after hip arthroplasty
THAは整形外科の中でももっとも完成された手術のひとつです。
しかし、感染はいまだ100%制圧できるとはいえません。
アメリカのMayoクリニックから。感染性人工関節に対して、いきなり抜去しなくても洗浄とデブリでも結構いいのかも。という論文です。
感染人工股関節90例中65例、83%が洗浄、デブリのみで、人工関節を抜去すること無く対応できましたよ、あと、全身状態がいい人の方が悪い人よりもうまくいくよ。というお話。それは近年の抗生剤の進歩のおかげですよね。という論旨でした。
突っ込みどころは満載です。
1)後ろ向き研究です。最初に筆者らは感染の定義について詳細にのべていますが、ひょっとしたら感染であってもこの定義に当てはまらない症例が除かれてしまっている可能性があります。
2)なぜ、大腿骨頚部骨折の患者と待機的にTHAを受ける患者を同じように取り扱っているのか。明らかにベースが違いますよね。しかも疾患別での検討は忘れてしていないのか、わざとしていないのか。
3)経過中に31例(34.4%)もの患者が死亡して脱落しています。
4)そもそも論として、実際感染性人工関節の治療では、いきなり抜去すること無く洗浄、デブリで経過をみることが多いですから、その経過をみてるだけなんじゃ。。。とも思います。
JBJSですので、いいところもあります。
1)Methodsが詳細。今後後ろ向き研究を英語論文にする人はこれくらい丁寧に書けば良いのだと思います。
2)Staphylococcusが感染の起因菌である場合に、有意差は出ませんでしたがRifanpicin投与によって再手術率が低下しました。骨関節感染症に対してRifanpicinの有用性は言われていましたが、ブドウ球菌属の感染では選択肢のひとつとしてよい薬剤なのかもしれません。
以下サマリ
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- Abstract
- 急性の人工関節感染の患者においてコンポーネントを留置したまま(抜去)洗浄とデブリードマンだけでよいのかどうかというのは議論がある。本研究の目的はTHAの休戦感染症に対して患者の状態、起因菌の状況、抗生剤の種類、インプラントなどの要因がコンポーネントを抜去せずに洗浄とデブリードマンのみを行った場合の成功率とどう関わっているかを明らかにすることである。
- 感染性人工股関節90関節(57関節のTHA、33関節のBHP)。2000年から2012年にかけて感染に対して洗浄とデブリードマンのみでコンポーネントの抜去を行なわなかったものを対象とした。平均フォロー期間は6年。McphersonCriteriaにそって患者を分類した。
- 70%の症例でヘッドとライナーを交換。30%の症例で全く好感をしなかった。77%の患者で慢性感染の状態で推移した。
- 瘻孔の形成、浸出液の持続、疼痛の存在、同じ起因菌からの感染の再燃、コンポーネントの抜去、予期しない再手術、感染に伴う死亡を感染の制圧の失敗と定義した。
- 90関節中15関節、17%で感染の再燃を認めた。感染の再燃のため90関節中9関節でコンポーネントの抜去が行われた。術後早期の感染後の66関節のうち10関節、15%で急性血腫感染の24関節中う5例、21%で感染が再燃した。McPhersonの分類で、宿主のGradeがAの場合に失敗率が8%であるのに対し、GradeBでは16%、GradeCでは44%にのぼった。15例中12例が術後6週以内に再感染が成立した。6週以降では抗生剤の長期投与群が3%、抗生剤の長期投与が行われていない文では11%であった。
- 今までの報告よりも本研究の成功率は高かった。宿主の全身状態が良い症例では治療の成功率が高かった。
- Introduction
- 感染は高い死亡率や追加治療の費用が必要となる。感染の60から70%が急性期の感染であり、これらが早期の人工関節破綻の原因となる。
- 二期的再置換が慢性化した深部感染の治療法として確立しているものの、急性感染におけるコンポーネント留置したままでのデブリードマンと洗浄のみの方法についてはいまだ議論がある。
- 歴史的に、コンポーネントを留置したままでの洗浄とデブリードマンのみの成功率は、失敗率が40%以上と低かった。しかし、抗生剤の発達によって、感染の再置換のタイミングは早くなってきている。
- 本研究の目的はMcPhersonの宿主の状態の分類、感染の菌種、抗生剤、インプラントの状態がコンポーネントを留置したままの洗浄とデブリードマンのみの治療の成功率にどれだけかかわっているかを調べることである。
- Material and methods
- 2000年から2012年までに、単施設で手術された14026例の人工関節患者のうち、感染した116例の患者を抽出。
- 術後1ヶ月以内の感染を急性感染と定義。症状発症から21日以内の感染を血行性感染と定義した。
- 25例の慢性感染患者を除外した。慢性感染の急性増悪と血腫感染とはカルテ上の記載を参考に区別した。
- 急性感染で大腿骨コンポーネントを抜去した患者1例は除外した。
- McPhersonの分類に従い分類を行った。4週以内の感染を急性感染、4週以降の感染を血行性感染。患者の全身状態(Grade A、B、C)と局所の状態(Grade 1,2,3)について分けた。GradeA、25関節、B56関節、C9関節。局所の状態はGrade 1が40関節、Grade2が47関節、Grade3は3関節であった。急性の血行感染のうち3例が術後1年以内に発生した。
- 血腫感染の定義は、デブリードマンした部位から2検体以上から同じ菌が検出されること、炎症反応の上昇、滑液中の白血球数が3000以上。好中球の割合が80%以上、膿瘍の存在。菌体の培養、病理組織で位置視野に5つ以上の好中球の存在をもって急性血行性感染とした。
- 急性感染の定義は、ESR44以上、CRP93以上、関節液内の白血球数が12800以上、好中球の割合が89%以上とした。
- 平均年齢は70±14歳。OAが47例、大腿骨頚部骨折が32例。RAが6関節、ONFHが4関節、転移性骨腫瘍が1関節であった。
- BMIがは33±12。66例が急性感染で24例が急性の血行性感染であった。手術までの期間は急性感染群で22日、急性血行性感染で発症から6日であった。急性血行性感染は術後平均2.4年で起こっていた。
- 28%の症例でMSSAが起因菌であった。10%の症例で培養が陰性であった。17関節でコンポーネントを留置したままでの再洗浄とデブリードマンが行われた。再洗浄までの期間は11日であった。2例でセメントビーズを留置。9例で培養が陰性であったが、創表面の洗浄。6例で深部までの洗浄を行った。
- 経静脈的な抗生剤投与を5.5週間。平均フォロー期間は6年。術後2年以内に人工骨頭を行った13例、THAを行った2例が死亡した。31例の患者が研究期間内に感染と関係のない理由で死亡した。7例が心不全、6例が心筋梗塞、4例が肺疾患。
- 84%の患者が抗生剤の長期投与例であった。
- 洗浄はイソジンなどを混ぜずに、6から9リットルの生殖で洗った。パルス洗浄以上の侵襲は加えなかった。骨頭は脱臼させ、コンポーネントの固定性を確認した。急性血行性感染の患者では目視で確認した。
- 70%の症例で骨頭とライナーを交換した。30%の症例では洗浄のみを行った。
- 術後は感染専門医によって抗生剤の投与が行われた。6週間の治療が完遂できた例では抗生剤の投与が追加された。(69例)
- 結局78例の患者が抗生剤治療を完遂し、うち9例が抗生剤の長期投与を諦めた。
- 術後フォロー中に2例の患者で再置換が行われた。1例は恒常性脱臼で、1例は骨折であった。
- 予期せぬ再手術、同菌による感染、瘻孔の形成などを認めた場合には治療の失敗とみなした。
- 結果
- 90関節中9例で感染の再発を認めた。3日から3.2年。加えて6例の患者で再洗浄が行われた。再洗浄した例では感染の再燃に至った例はなかった。
- 起因菌はMSSAが7、MRSAが2,MRSEが2,GBSが1、腸球菌が2,エンテロバクターが1であった。
- 10関節15%の急性期感染、5関節21%の血行性感染で再置換が必要であった。この2群間に有意差はなかった。
- リスクファクターとして、McPherlenの宿主の状態別に分けた。GradeAが8%、GradeBが16%、GradeCが44%再発した。局所の状態ではGrade1が18%、Grade2が15%、Grade 3が33%感染したものの群間での有意差はなかった。THAの感染は21%で、BHPの感染は9%だった。
- 抗生剤の長期投与について、6週間経静脈的に投与した。69例が長期投与が行なわれ、うち2例で再発した。長期投与が行なわれなかった9例中1例で再発した。
- 60例の患者でブドウ球菌が存在していた。リファンピシンを投与するとP=0.09であるが、29例中3例の再発にとどまった。(投与しないと31例中6例)
- 考察
- 感染性人工関節の治療は未だに難渋する。その成功率は14から90%と様々である。本研究では人工関節の抜去を行なわず洗浄とデブリードマンだけで成功率は83%であった。McPhersonの分類でGradeAの患者は92%であった。
- この治療成績は今までに存在するコンポーネントを留置したままデブリだけ行ったものよりも優れている。この理由のひとつは急性感染症の定義が厳密であることなのかもしれない。
- また宿主の全身状態が治療成績と関連していた。
- ブドウ球菌群に対して、リファンピシンを使うレジメではやや再発率が低い傾向にあった。
- なぜ、長期投与しなかった患者とした患者の間で有意差が出なかったのかはわからない。
- サンプルサイズが小さいこと、THAと人工骨頭をわけていないこと、モジュラーステムがどうだったかはわからないこと、セメントビーズを留置したままの症例があることなどが本研究の限界である。
- 症例を選べばコンポーネントを留置したままの洗浄デブリは有用である可能性がある。
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