背景
32ミリ骨頭がTHAでは標準となりつつある。そして36ミリ骨頭の使用も増加している。しかしながら32ミリ骨頭と36ミリ骨頭のいずれが28ミリ骨頭と比較してTHAでの再置換のリスクを減少させるかはわかっていない
北欧の国家レジストリーを使用。メタルオンポリエチレンTHAで28ミリ、32ミリ、36ミリ骨頭のいずれの患者が再置換が多いかを検討した。
同一レジストリー内で、骨頭を大きくした場合の脱臼の危険性は減少するかの検討を行った。
方法
デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンのレジストリーを統合したレジストリーを用いた。28ミリ、32ミリ、36ミリで人工股関節が行われたものが用いられた。2003年から2014年までのデータ。デュアルモビリティがもちいられた患者は除外された。186,231例の検討。全患者の366,309股関節の半分が該当した。101,094例の患者が28ミリ骨頭、57,853例の患者が32ミリ骨頭、27,284例の患者が27,284例の患者が36ミリ骨頭が用いられていた。あらゆる理由による再置換術をエンドポイント。脱臼による再置換をセカンダリーエンドポイントとして用いた。ほとんどの患者のフォローアップが可能であった。THAの生存率をカプランマイヤー方で計算した。32ミリ骨頭を基準として28ミリ、36ミリ骨頭との比較を行った。
結果
コックス回帰分析において、28ミリ骨頭と32ミリ骨頭の愛大に再置換率の違いがない一方、36ミリ骨頭では再置換のリスクが高くなった。(HR1.14)。28ミリ骨頭の患者は32ミリ骨頭の患者よりも脱臼リスクが高かった。(ハザード比1.67)。一方32ミリと36ミリ骨頭の間には脱臼リスクの違いは認めなかった。
結論
交絡因子を調整すると、再置換という点では28ミリと32ミリ骨頭の間には違いを認めなかった。しかしながら32ミリのほうが脱臼リスクは低く、よりよいオプションと考えられた。32ミリ骨頭と36ミリ骨頭を比較した場合には、脱臼率が低下しないだけでなく、32ミリ骨頭よりも何かしらの理由による再置換率が増加することがわかった。32ミリ骨頭の使用がメタルオンポリエチレンTHAでは最も安定しているものと考えられた。
<論評>
国家レジストリーを用いた骨頭径による再置換率の違いです。
ポリエチレンライナーの改善により、薄いポリエチレンライナーを用いることが可能となり、手術の際に大径骨頭が選択されることが増えてきたと思います。
今回の結果で衝撃的なのは36ミリ骨頭のような大径骨頭とすると何かしらの原因による再置換が増加していると言うことです。ただ、この原因は無菌性のゆるみによるものだそうです。なぜ無菌性のゆるいが増えたかまでは本研究ではわかりません。
28ミリ骨頭の使用が圧倒的に多いのも結論に影響している可能性はありそうです。たくさんの示唆に富んだ良い論文だと思います。
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