2017年11月19日日曜日

20171119 J arthrop Solid Cup Versus Cluster Hole in Total Hip Arthroplasty: A 10-Year Randomised Control Trial

ソリッドバックカップとクラスターカップのRCTによる比較。

近年ポリエチレンの改良により、Osteolysis(骨融解)が著明に減少しています。
本研究はわざわざ無理にソリッドバック(スクリューホールがない)カップをもちいなくても良いのではないかということを検討しています。

結論として、差がないのでどちらでもいいんじゃね?という結論です。

論文の内容としては結構微妙。突然スクリュー群が出てきたり。フォローアップ率が50%台だったり。1例骨融解をきたした例を除外してみたり。。。。。

10年にわたるRCTなのにねえ。

まあ、結論としては妥当かなと思いますが、鵜呑みにしないようにしましょう。

  • Abstract
    • 寛骨臼側の骨融解は人工股関節全置換術(THA)の主要な合併症のひとつである。これはWeaしたポリエチレンのカス(デブリス)によって生じる。いままで寛骨臼側コンポーネントのスクリューホールを通じて春日寛骨臼に侵入すると考えられていた。そのためスクリューホールのないコンポーネント(ソリッドバック)がもちいられていた。しかしながら近年ポリエチレンの改良によりカスがほとんど出なくなっている。本研究の目的はソリッドバックのコンポーネントとスラスターホールのコンポーネントを比較して、ソリッドバックで実際に骨融解が減るかを貯めるすことである。これによってスクリューが必要なときに使用できるようになるかもしれない。
    • 100例のTHA。Highlyクロスリンクポリエチレンをもちいた。CTにて術後5年、10年で評価を行い、骨融解の量を評価した。
    • 100例のTHAの内、14例でスクリュー固定を必要とした。これらはプロトコールに従ってスクリュー群に移動した。10年後で18.2%の患者に骨融解が認められた。クラスターホール群とソリッドバック群の間に有意差を認めなかった。
    • THA術後10年で骨融解の発生頻度は低かった。ソリッドバックの優位性はなかった。ただし、クラスターホールでは必要に応じてスクリューオーギュメンテーションを要する。
  • Introduction
    • THAでセメントレスコンポーネントは多く使われている。未だに骨融解は再置換の大きな原因のひとつである。そしてその骨融解はコンポーネントのスクリューホールと関連している。
    • それゆえにスクリューホールのないソリッドバックがその予防として使用されてきた。しかしながらソリッドバックではスクリューによる補強ができないため、早期のカップのルースニングなどの合併症が生じていた。
    • 近年ポリエチレンの改良、寛骨臼側コンポーネントの改良により固定力の強化が得られている。そして従来のポリエチレンよりもWearが減少し、骨融解の頻度も低下している。
    • すなわち、スクリューホールを通じたバックサイドウエアの可能性も低下しているため、わざわざソリッドバックを用いる必要性は低下している。しかし今までにクラスターがた寛骨臼コンポーネントの有用性をのべている報告はない。
    • 本研究の目的はランダム割付をもちいてTHA術後10年間の評価をおこなうことである。
  • 方法
    • OAまたはRAの患者を対象とした。寛骨臼形成不全の患者、外傷性OAの患者は除外している。
    • 単施設によるRCTである。
  • 介入方法
    • 2005−2007年。1人の外科医によって行なわれた後方アプローチのTHA。
    • S&N社(Smith & nepew社)のReflectionカップ。1ミリのアンダーリーミングでカップを設置。ポリエチレンはクロスリンクポリエチレン。ステムはセメントステム。
    • カップを設置した際に不安定であれば、どちらの群に割り付けられていようとスクリュー固定を追加した。これらは新しくスクリュー固定群とした。
  • 主要評価項目
    • 10年後にCTによる評価を行った。
    • 骨融解の有無。
    • PROとしてOHSとSF12,術後1,2,5,10年で評価。
  • ランダム化
    • 術直前にコンピューターにて行った。
  • 盲検化
    • 読影した放射線科医はどちらのカップがもちいられているかはわからないようになっていた。
  • 統計学的検討
    • 新しく作ったスクリュー群を加えて検討。
  • 結果
    • 48例がクラスター群、52例がソリッドバック群。
    • クラスター群の2例を除外。1例は術中骨折。1例はPaget病が見つかった。
    • 14例(クラスター群の3例、ソリッドバック群の11例)でスクリュー固定を必要として、新たにスクリュー群とした。
    • 6例が10年後のCT撮像が困難であった。44例中18.2%で骨融解を認めた。
    • ソリッドバック群の13%、クラスター群の23.8%に骨融解を認めた。有意差はなかった。
    • ソリッドバック群の25%、クラスターホール群の40%でスクリュー固定を必要とした。
    • 巨大な骨融解をきたした1例を除いて、検討すると3群間に有意差を認めなかった。スクリュー群で骨融解が多い傾向にあった。
    • 機能的評価には有意差を認めなかった。
  • 考察
    • THA後10年で13-24%に骨融解を認めた。ソリッドバック群とスクリュー群で差を認めなかった。骨融解の量にも有意差を認めなかった。
    • 本研究はクラスターとソリッドバックを直接比較した初めての論文である。
    • 以前の報告よりも骨融解の率は低い。スクリューの有無で検討した論文がある。これらもスクリューの有無での骨融解の差が出なかった。
    • 幾つかのLimitationがある。まずは35%もの患者が死亡し、フォローができなかったこと。続いてスクリュー固定群という新しい群をもちいたことがある。
  • 結論
    • ソリッドバックを用いる利点はとくにない。

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