2015年1月8日木曜日

20140108 Plosone Effects of Home-Based Interval Walking Training on Thigh Muscle Strength and Aerobic Capacity in Female Total Hip Arthroplasty Patients: A Randomized, Controlled Pilot Study

THA術後の患者の活動性を下げないようにするための自宅での運動療法についてのレジメはない。本研究ではインターバルウォーキングトレーニングを用いいることでこの問題に対処しようとした。
60歳以下のTHAを受けた28例。コントロール群とトレーニング群の2群に分けた。トレーニング群は最大呼吸能力の70%の能力で60分間の歩行を目標として12週間行った。コントロール群は術前と同程度の活動性を保つように指示をした。活動量計をもちいて日中活動量を寝ているとき、お風呂に入っているとき以外の測定を行った。また膝伸展、屈曲筋力とVO2peak、Vo2ATを測定した。結果、膝屈曲筋力が術側、非術側の両方で23%改善した。Vo2peakとVo2ATもそれぞれ有意に改善した。コントロール群では術側のみ改善した。Vo2peakとVo2ATもコントロール群よりもトレーニング軍のほうが上昇していた。自宅での観血的歩行トレーニングは筋力低下の予防に有用であると言える。

はじめに
THAは変形性股関節症に対して有用な治療方法である。しかしながら術後2年以上経過しても筋力低下が残存していることが少なくない。筋力低下は関節の不安定性、ゆるみ、転倒リスクなどさまざまな合併症と関連する可能性がある。結果として活動性の低下につながる
これらの問題を解決するために専門スタッフの監視のもとでの術後早期からのリハビリテーションが推奨されている。ただ長期間の入院は保険上の理由から困難で、入院期間は筋力回復には充分な時間とは言いがたい。また、退院後外来リハビリを行うと筋力強化に有用であるとされているものの、保険上の問題、通院が困難であるなどの理由で継続が困難な患者さんもいる。
そこで筆者らは自宅でできるリハビリプログラムの作成が必要であると考えた。筆者らはインターバルウォーキングトレーニングを行うことで中年から老齢の患者の筋力や筋肉酸素量の向上が認められることを明らかにしている。しかしながらTHA術後の患者でどうなのかということは明らかとなっていない。本研究の目的はパイロットスタディとしてインターバルウォーキングトレーニングがTHA術後でも有用かを検討することである。

方法
膝屈曲、伸展筋力測定、Vo2peakの測定。サイクリングエクササイズにてVOATを測定。
3次元加速度計を装着し日常生活の動作量を測定。
Vo2peakを測定し、3分間VO2peakの70%以上85%未満となる程度の速さでの歩行を行い、1周間に60分以上になるように指導した。
2週間毎に来院。データを解析した。データを解析し、理学療法士が運動頻度、強さについて指導を行った。コントロールグループは普段通りの生活を送るように指導した。
12週後にデータを取得した。

結果
表1患者背景を示す
表2 トレーニング群は早歩きできる時間がコントロール群の2倍になっている。また運動中の酸素消費量もトレーニング群がコントロール群よりも多かった。
表3 筋力を示す。両群とも患側のほうが健側よりも筋力が低下していた。しかし有意な差はなかった。トレーニング群の方がコントロル軍よりも膝屈曲力が増加した。
表4トレーニング後の酸素取り込み能力を示す。トレーニング群の方がコントロール群よりも増加していた。
図2筋力変化について図示した。伸展筋力は変化がなかった。屈曲筋力は両群とも術側、健側とも増加した。トレーニング群は健側、患側とも筋力が増加したがコントロール群は患側のみであった。
増加量もトレーニング軍のほうが多かった。
図3VO2peak、VO2ATの結果を示す。コントロール群では変化がなかったが、トレーニング群では増加を認めた。
トレーニング前後の痛みに変化はなかった。トレーニング群の方が満足度が高かった。SF36でもそれはあきらかとなった。

考察
週辺り60分間の早歩きを励行することで、12週間後の筋力、筋肉の酸素摂取量が増加することがわかった。
筆者らの別の研究で、VO2peakが等しい3群で比較した研究で健康成人では早足による歩行訓練が有効であるということがわかっている。THAを受けるようなヒトの筋力、筋肉の酸素摂取量は健康成人の最低ランク群とほぼ同様の能力であった。
表2で示されているように、コントロールグループに比べてトレーニング群は早く歩けることがわかった。THA以外の研究で様々な結果が報告されている。それらの研究を元に今回THAの患者では週60分をメドにトレーニングをするように決定した。
表3、図2に表されるようにトレーニング群は膝屈曲筋力の回復を認めた。これは根本らの研究と同様の結果であった。膝伸展筋力が回復してこない理由については不明である。
表4、図3で筋肉の酸素摂取量の結果を示した。ともにトレーニング群で摂取量が増加している。
股関節の痛みはトレーニングを行っても悪化するということはなかった。
研究の限界は、股関節の手術であるが膝の筋力で代用していること。毎日の活動性の評価をトレーニングの後でしか行っていないこと。トレーニング群のほうが密にケアを受けていることなどがあげられる。


<論評>
大学ならではといった感じでしょうか。
確かに術後のリハビリをどのように自宅で行うかといったことについての一定の見解はなく、乱暴な言い方になりますが、週1値時間早歩きをするとよい。と指導できることは有効な手段となりるかもしれません。
頑張ってNを増やして頂いてPilotという言葉がなくなるとよいなあと思いました。

考察で同じ論文を繰り返し引いているのはかっこ悪く感じました。

0 件のコメント:

コメントを投稿