2013年6月15日土曜日

20130615 名古屋股関節セミナー Vol2

第27回名古屋股関節セミナー Vol2

豊橋市民病院 山内先生
大腿骨骨頭壊死に対する骨頭回転術
臼蓋辺縁まで壊死が至っているようなTypeC1,C2に対する治療が重要である。
TypeC1で側面像で後方1/3以上の健常域があれば前方回転。
前方に1/3以上の健常域がある場合には後方回転。悩んだら後方回転を選択する。
短外旋筋群、関節包の処理がポイント。
大腿方形筋は脂肪層まで。血管を切らないように注意。
ARO,PROで40%程度の健常域が得られれば良好な成績が得られる。
綿密な術前評価、術式の遵守、適切な後療法が必要である。

岐阜市民病院 加藤先生
FAIの診断 
Pincer ,Cam lesion
Pincerは臼蓋側、Camは大腿骨側の病変でcombined type , Mixed typeもある。
最近はYouTubeでもこんな動画が出ているのですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Ggx7H58DI6k
3Dで病態を理解するのには大変役にたちます。

もともと1913年ごろから骨切り術後のインピンジメントが言われていた。新しい概念では無いが変形性股関節症の原因となりうると発表されたことが新しい概念である。

日本の場合には臼蓋形成不全に伴う二次性の変形性股関節症が圧倒的に多いため、このような病態はほとんど見られない。

診察方法
anterior impingement sign , log roll sign , FARBER test

レントゲン評価
http://www.ajronline.org/doi/full/10.2214/AJR.06.0921

放射線科医はこれだけは知っておけみたいな論文。
しかしながらそこで紹介されているレントゲン写真上の評価(例えばcrossover sign)のようなものはあまり当てにならないのではないかという報告が多数出てきている。
cross over signの一致率は68%にしかならない。
coxa profundaは正常でもよく見られる。

Cam lesion
Pistol grip deformity
レントゲン写真を正しく取らないと全く評価が出来ない。

CTでの評価も重要
Bone sposition , 臼蓋の骨硬化、 junctional lesionなどが見られることがある。

MRI所見
関節唇の損傷をみる。造影剤を関節内投与しての評価が基本であるが日本では保険収載されていない。

FAIの診断は症状、画像、理学所見の総合的評価。どこまでが病気か、疾患か。
他疾患の除外は慎重に行う。

公立陶生病院 渡辺先生
関節唇損傷と股関節鏡

関節唇損傷に至る原因。
FAIのようなover covarage。
DDHのようなunder covarage  同じ治療で良いのか?という仮説からのお話
DDH CE角20度なら関節鏡による治療の適応があるのでは無いかという報告。

股関節内造影MRarthography。キシロカインとステロイドを同時に投与し診断的治療を兼ねる。
超音波ガイド下にて注射

関節唇損傷と診断してもすぐに手術せずに股関節周辺のストレッチ、筋力強化訓練を指導する。

円靭帯はACLとほぼ同強度。切れていると疼痛の原因となることがある。
関節包を切って処置をすると処置がしやすい。ただ縫合しておかないと疼痛の原因となりうる。
関節鏡では牽引が必須。2時間を超えないようにする。

FAIの治療、股関節鏡下手術手術はまだ発展の見込める分野である。アメリカではこの5年間で4倍に増えている。
FAIと診断し、実際に治療を行い改善した例がFAIである。

FAIの診断、治療はこれからの股関節疾患の病態理解の一つのbreak throughになるのかもしれない。

名古屋大学 関先生
弯曲内反骨切り術
変形性股関節症、大腿骨頭壊死に対しての治療として考案された。
脚短縮が少ないことがメリット。
大腿骨頭壊死症の場合には荷重部に健常域が完全に入ることが重要。
骨頭の球形度を改善するための方法としてのBIG.
多変量解析を行いCVOが破綻する原因について検討したところBMIと健常域34%以下の症例で多かった。(OR8.6倍)


こんなに有用なセミナー他にないと思うのですのよね。

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