Polytrauma
damage control orthopaedics(DCO) とは、ということが長らく議論されている.
大腿骨骨折をともなった多発外傷患者での研究で、”乳酸値の正常化”が適切な救命の時期として考えられていて、また一時的に髄内釘を挿入して良いと考えるひとつの基準となるのではないかというモノがある.結局のところ、88%の患者が入院後14時間以内で大腿骨骨折にたいしてreamedの髄内釘を挿入されていた.残りの12%は創外固定とされていた.このような患者群でARDSは1.5%に発症した.この割合は今まで同様の患者群で測定した時よりも明らかに低いものであった。肺挫傷や、他の重症外傷を合併している群でも低かった.
以上のことから乳酸値を測定し、これが正常であれば大腿骨骨折に対して髄内釘を挿入できる。と言うことがひとつの基準として言うことができるのかもしれない。
別の研究としてDCOとして創外固定のみで対応したと言う研究がある.この研究では牽引と創外固定とを比較し、ARDS,肺炎、多臓器不全の発生率について比較した.この二群でその発生率に有意な差はみられなかった。この筆者は全身麻酔下にあるような患者では牽引で治療しても創外固定で治療してもその優位性は明らかにならないと結論づけた.
<論評>
整形外科医が救命にかかわれるかもしれない、という唯一のところが大腿骨骨幹部骨折を早く治療できるかということではないでしょうか。しかも可能な限り髄内釘を使用しないといけない、と言うところが厳しいですねえ.受傷後14時間以内、と言うことであればきたその時に手術しないとダメよということですからね.
gami会長
返信削除お疲れさまです.
damage control orthopaedicsは,救急や整形を考える上でのキーワードですね.
私自身は,damage control orthopaedicsについて,系統立てて講義を受けた事が無いのですが,非常に重要な概念です.
脊損の治療をしていた時に,多発外傷の患者さんをどのようなタイミング,順序で手術するのが良いかいつも,悩んでいました.
今後の参考にさせていただきます.