2018年4月28日土曜日

20180428 CORR Is Cemented or Cementless Femoral Stem Fixation More Durable in Patients Older Than 75 Years of Age? A Comparison of the Best-performing Stems.

背景
THAの大腿骨側インプラントがセメント固定か、セメントレス固定かということは未だ議論の的である。セメント、セメントレスともいずれも高いステム生存率を示している。しかしながらレジストリーデータではセメントレスステムのほうが再置換率が高いと言うことを示している。再置換率の差が、固定様式の差なのかインプラントのRangeを反映しているのかは不明である。
臨床上の疑問
(1)75歳以上のTHAを受けた患者を対象として、一つの最も優れたセメントステムと、3つのセメントレスステムとの間で再置換率に違いはあるか。もし差があるとすればそれは術後早期なのか術後1ヶ月以上経過した場合なのか
(2)3つの優れたセメントレスステムの内、3つのセメントステムよりも優れた成績がでるような疾患の違いはあるか
(3)患者の性別によって違いはあるか
方法
オーストラリアの国家レジストリーデータから3つの優れたセメントステムと3つの優れたセメントレスステムを選択。基準としては10年間の再置換率が低く、また1000例以上で使われたものとした。カプランマイヤー曲線で生存率を検討した。OAと骨折で分けて検討を行った。
結果
再置換をエンドポイントとした時、セメントレスステムよりもセメントステムの方が有意に再置換率が低かった。(ハザード比3.47、P=0.001)。早期の再置換については、セメントステムよりもセメントレスステムでは9.14倍であった。疾患別に検討をおこなうと、セメントレスステムがいずれもセメントステムよりも1ヶ月の時点での再置換率が高く、OAでハザード比8.82、大腿骨頚部骨折でハザード比27.78であった。性別での検討を行ったが、男性、女性にかかわらずセメントステムの方がセメントレスステムよりも術後1ヶ月の時点での再置換率が低かった。男性でハザード比0.42、女性でハザード比0.06であった。
結論
75歳以上の患者において、セメントレスステムは術後1ヶ月の段階での再置換率がセメントステムよりも高かかった。これはともに最も生存率が高いステムをもちいた結果である。このレジストリーデータからは次世代の股関節外科医にはセメントステムのトレーニングをおこなう必要があろう。しかしながら、THA術後3ヶ月の段階では二群間に差を認めなかった。これは外科医の技術、大腿骨の形状に応じて適切なセメントレスステムを選ぶことができる。

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論評

オーストラリアの国家レジストリーから。術後早期の大腿骨再置換はセメントステムよりもセメントレスステムが高いという結果となった。
しかしながら、この様な結果にもかかわらずセメントステムの使用は減り、セメントレスステムの使用は増加の一方である。
ひょっとしたらセメントは限られた術者が使うのでより成績が上がっているというバイアスはあるのかもしれない。
ただ、ボク個人としてはこの結論に賛成でセメントステムはもっと見直されて、若手の先生方はセメントの手技を身につけるべきだと思います。


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