2018年6月20日水曜日

20180620 J arthroplasty Short Stems Versus Conventional Stems in Cementless Total Hip Arthroplasty: A Long-Term Registry Study

背景 THAにおいてショートステムは徐々に使用が増加している。その目的は信州が小さいこと、またコツ温存が可能であるということが考えられている。しかしながらまだ長期の成績については不明である。本研究の目的はレジストリーをもちいたショートステムの長期成績について検討することである
方法
2000年から2016年。RIPOというセメントレスTHAのレジストリーをもしいた。12センチ以下の長さのステムをショートステムと定義。頸部温存型ショートステムをA群、通常頸部骨きり型ショートステムをB群、通常型ステムをC群とした。A群1684例、B群2727例、C群57359例。ステムの生存率について検討を行った。
結果
ショートステムは若年患者、正常股関節形態で用いられていることが多かった。その生存率は15年で90%以上であった。B群で不安定性を理由に再置換が有意に多かった。痛みによる再置換は統計学的に有意ではなかったが多かった。
結論
ショートステムの長期成績は信頼できるものであった。今までのステムと比較しても特にゆるみ、術中骨折のリスクを高くすると言うことはなかった。疼痛、不安定性による再置換率は高かった。これは今後の臨床研究で検討される必要がある。

<論評>
レジストリー花盛りですね。イタリアからの報告ですね。
ショートステム(12センチ以下)の長期成績の報告。
本文当たれていませんが、ショートステムとアプローチは関連しているかもしれませんね。
N数がだいぶ違います。すなわちショートステムはエキスパートが使用していてもこれくらいの成績しかない。ということなのかもしれません。一般にエキスパートが使用したあとに一般整形外科医向けに販売されますので、この成績はより低下する可能性のほうが高い。と考えます。
痛み、不安定性の原因は何なんでしょう。奇になります。
今までのストレートステム、セメントステムでいいじゃん。というのが論者の結論です。

2018年6月16日土曜日

20180616 CORR Do Patients Live Longer After THA and Is the Relative Survival Diagnosis-specific?

背景:人工関節置換術は、疼痛、動作の改善、QOLを可能とする。しかしながら、THAが生命予後を伸ばすかどうかは不明である。また診断、社会経済的問題、手術の要素がどのように影響するかも不明である。

臨床上の問い:1)年齢と性別を調整したあとに、一般人口よりもTHAを受けた人が生命予後を伸ばすことができるのだろうか。2)患者に関連した背景因子を調整したあとに、スウェーデンで行われたTHAで疾患別の違いがあるかどうか

方法:スウェーデンの国家レジストリーを用いた研究。1999年から2012年までの間に行われた131,808例のTHA。21,755例がフォロー中に死亡した。患者、手術の要素と社会経済的要因を検討。スウェーデンの統計と比較してTHAの患者の生存率を計算した。

結果:THAをうけた患者は一般人口よりも術後10年での生存率が改善した。術後1年では期待生存率は1%上昇していた。5年では3%上昇していた。10年では2%で、12年で変わらなかった。一般的なOAと、小児期からの変形の場合は違いを認めなかった。ONFH、炎症性関節炎、続発性関節症では生存率は低かった。合併症などは生存率と負の相関を認めた。低い教育レベル、また独居も同様に負の関係を認めた。

結論:THAの生存に関わる影響は術後10年間は認められた。特にOAの患者においてその傾向があった。手術が社会経済活動に与える影響についての検討が更には求められる。


<論評>
OAの患者は一般人口よりも死亡率がたかいとする報告がありますから、THAによって改善が得られれば改善するのかなあと漠然と思っていましたが、それを明らかに下研究です。
社会経済的な要因にも目を向けると今までと違った見方ができるかもしれません。

2018年6月13日水曜日

20180613 CORR Perioperative Inpatient Use of Selective Serotonin Reuptake Inhibitors Is Associated With a Reduced Risk of THA and TKA Revision

背景:うつ状態は一般の母集団の中でもコモンな病態であり、それはTHA,TKAを受ける患者の中でも同様である。うつ状態は周術期の患者立脚型評価の低下、術後の合併症の危険性を挙げると言うことが示唆されている。抗うつ剤はうつ状態を改善し、THA、TKA術後の患者の機能予後を改善する可能性がある。
臨床上の問い:本研究では(1)THA、TKA患者において、周術期のうつ状態はすべての理由における再置換、無菌性ゆるみ、感染と関連するかどうか(2)周術期の抗うつ剤の内服はTHA,TKA患者において再置換、無菌性のゆるみ、感染と関連するかを検討することが目的である
方法:アメリカの大規模な病院で行われたTHA,TKA20,112例を対象。2002年から2009年までの間での検討。各病院のレジストリーを用いて手術の種類と臨床成績を調査した。抗うつ剤は入院中に内服していたかどうかをカルテを用いて調査を行った。4466例、22%の患者がうつの診断が下っており、5077例、25%の患者が抗うつ薬を内服していた。コックスハザードモデルによる解析を行い、抗うつ薬の使用が再置換のリスクと関連するかを調べた
結果:うつ状態であることはすべての理由の再置換、感染と関連した。(それぞれHR1.73、2.23)。周術期の抗うつ剤の内服は、感染とは関連しなかったが、SSRIを内服しているとすべての理由での再置換、無菌性のゆるみが減少した(HR0.77、HR0.72)
結論:うつの診断が下っているとTHA,TKAにおいて再置換の危険性が高くなる。周術期にSSRIを内服していると危険性は下がる。どうしてTHA,TKAの患者で再置換率が下がるのかの検討は今後の課題である。


<論評>
うつ状態にある患者さんは痛みを感じやすいと言われていますので、百歩譲ってすべての原因での再置換が増加するのはまだ理解ができる(何かの痛みを強く感じてしまっていて、術者が再置換に踏み切る)ますが、感染に関連すると言うのはねえ。
SSRIに体内の免疫を活性化させるような何か効果があるとでも言うのでしょうか。
製薬会社とのCOIはなさそうですが。

2018年6月9日土曜日

20180609 CORR Can Patient Selection Explain the Obesity Paradox in Orthopaedic Hip Surgery? An Analysis of the ACS-NSQIP Registry

背景:いわゆる”Obesity paradox(肥満パラドクス)”とは、肥満でない患者に比べて、肥満の患者のほうが術後の死亡率、機能障害の率が低いことが今までの研究で示されていることを指す。肥満患者のほうが創治癒遅延、心血管系の問題が肥満と関連するリスク因子であると臨床医が感じていることがこのパラドクスの主因である。筆者らはこのパラドクスは選択バイアスの結果として生じているのではないかと考えた。つまり肥満でも健康な患者が手術を受けているのではないか。また肥満でない患者は健康でない患者も含まれているためにこのパラドクスが生じているのではないかと考えた。筆者らは、患者を慎重に選ぶことができる待機的な手術ではこのパラドクスが生じる一方、選ぶことのできない緊急手術ではパラドクスが生じないのではないかと考えた
臨床上の疑問:1)待機的手術、緊急手術で、肥満と術後死亡との関連はあるか。2)待機手術、緊急手術でそれぞれの術後合併症に肥満はどのように関連するのか。3)待機手術、緊急手術において術後死亡と合併症と低体重とはどのように関連するのか
方法:2011年から2014年にかけてAmerican College of Surgeons National Surgical Quality Improvement Project (ACS-NSQIP) に登録された63148例の待機的股関節手術と29047例の緊急手術とを検討した。ロジスティック回帰分析を用いて、年齢、性別、麻酔のしるう、合併症とBMI18.5以下の低体重群、18.5ー24.9の標準体重群、25−29.9の軽度肥満群、30−39.9の肥満群、40以上の病的肥満群との分けて、術後30日以内の死亡率、合併症の有無についての検討を行った。
結果:回帰分析の結果、待機手術においては、標準体重群に比べ、肥満群では30日以内での死亡率が低かった。(OR:0.12)。ここでは肥満パラドクスの存在が認められた。緊急手術を受けた患者群では標準体重群と肥満群とで30日以内の死亡率は同等であった。待機手術群、緊急手術群のいずれにおいても病的肥満群では創部の合併症が多かった。(OR:4.93、3.79)
低体重群では標準体重群と同等の死亡率であった。
結論:待機手術では肥満患者で死亡率の低下が見られたが、緊急手術ではそうではなかった。筆者らの結果からは、肥満パラドクスは術者による選択バイアスの結果健康な肥満患者ばかり選ばれて手術されていることがわかった。術者は肥満による合併症の影響を慎重に考慮して手術を行うべきである。

<論評>
たしかに肥満患者でかえって死亡率がさがるという論文は散見されていました。本研究は大規模データを用いて肥満についてのリスクの検討を行った。
研究手法がユニークで、最初のデザインで選択バイアスを明らかにしたところが白眉でありますな。

2018年6月5日火曜日

20180605 BJJ Joint aspiration, including culture of reaspirated saline after a 'dry tap', is sensitive and specific for the diagnosis of hip and knee prosthetic joint infection.

本研究の目的は関節内に生食入れた場合と入れなかった場合での関節内培養の正確性を検討するものである。
対象と方法:580例の膝と股関節で感染性関節炎が疑われる患者が対象。再置換のルーチンとして術前の関節穿刺を行った。4つの施設での検討である。
結果:313例(54%)で関節穿刺によって関節液が採取された。267例(46%)では一度の穿刺では関節液が採取されなかったので生食を注入して関節液の採取を行った。全体の感度は84%、特異度は85%であった。生食を注入して行うと感度は87%、特異度は79%となり、直接採取した場合には感度81%、特異度90%であった。
結論:関節穿刺と培養は感染性関節炎患者で診断をつけるために必要である。もし関節炎が引けなくても、生食を追加して採取することによってその関節液を培養すると正確な情報が得られる。

<論評>
確かに関節を穿刺してもまったく引けないことは時々経験します。このような場合には生食を追加して採取すると普通に関節液を採取するのとほぼ同等の結果が得られますよというお話。ただし、この研究は検査前確率が高いことが影響していると思われます。

2018年6月3日日曜日

20180530-0601 欧州整形外科学会(EFORT)に参加してきました。

すっかり更新を怠っておりました。
5月30日から6月1日までスペインバルセロナで行われたEFORTに参加してきました。
そこで感じたもろもろを備忘録として。

・学会会場
会場は日本整形外科学会の1.5倍程度の広さでした。Oralの会場はとにかくひろい!一方ポスターは隅っこに追いやられていました。
・演題総数は3220演題。日本からの演題は176演題(5.5%)で全体で5番目の多さでした。
・ポスターの演題を股関節だけ拝見しましたが、日本整形外科学会で採用されるレベルのものであれば通る印象。奇をてらったような演題、目をみはるような演題はそれほど多くありませんでした。
・THAはやはり数ではかなわないですね。DDHのようなComplexTHA、脱臼股。あとは合併症などで勝負したほうが良さそうです。

・ポスターセッション1日目。まさかの座長来ず。ヨーロッパの学会ではままあるとのこと
・自分のポスターウオークでは座長としみじみお話できてよかったです。

・学会
・海外学会の良いところは、海外に来られた日本の先生方とコミュニケーションを濃厚に取れることだと思います。
・また、札幌医大の名越先生、金沢医大の兼氏先生のOralの発表には会場からたくさんの質問が飛んできていました。この分野のトップは日本だなと感じることができたのが良かったです。
・EFORTは演者のスライドを自分で探すシステムで、スピーカーがすべて聴衆の方を向いているので、質問が何をいっているのか聞き取りづらいのが問題ですね。

・学会以外の活動
・バルセロナはやっぱりたのしー!!めしうまー!!今後バルセロナでなにか関係学会があればぜひまた参加したいです。
・ガウディ関連はすべて抑えて置きたいところ
・お土産は空港で買うとぼったくり感あり。旧市街またはスーパーマーケットで購入すると6割位の値段で空港と同じものが購入できる。
・公共交通機関は危険。学会参加した日本人がiPhoneをすられました。盗難保険には入っておくこと。バス、地下鉄は要注意。
・グーグルマップ最強説。言葉は通じなくてもスマホを見せればタクシーの運ちゃんがつれていってくれる。

また思いついたら記載します。
とにかく、海外学会はまず出すこと。出してからあとは考えましょう。
ちなみに来年はリスボンです。


2018年5月23日水曜日

20180523 JBJS Impact of Clinical Practice Guidelines on Use of Intra-Articular Hyaluronic Acid and Corticosteroid Injections for Knee Osteoarthritis

背景
変形性膝関節症に対するステロイドやヒアルロン酸の関節内注射の効果には疑問が持たれている。AAOSではこれらの注射の効果については疑問があるとガイドライン上で発表した。その後の効果について専門性によって違いがあるかについての検討を行った
方法
2007年から2015年に変形性膝関節症と診断されたHumanaというデータベース上の患者。
変形性膝関節症に対して関節内注射を行った割合について年度別の検討を行った。segmented regression analysisという方法をもちいてAAOSのガイドラインのインパクトについて検討を行った。また専門性による注射の実施についても検討した。
結果
1065175例の変形性膝関節症の患者に対して、405101例(38%)の患者がヒアルロン酸の注射を、137005例の患者がヒアルロン酸の注射を受けていた。変形性膝関節症に対するヒアルロン酸の使用の割合はガイドライン発表後、100患者中0.15から0.07に減少していた。(P=0.02)。二回目のガイドライン発表後に0.12の減少を認めた。一方ステロイド注射は1回目のガイドライン発表後に0.12まで減少した一方二回目のガイドライン発表語では変化がなかった。整形外科専門医やペインクリニックの医師の間でヒアルロン酸の使用が減る一方、プライマリーケアの医師や筋骨格の専門ではない医師では使用が減らなかった。
考察
2回のガイドライン発表とともにヒアルロン酸の使用、ステロイドの使用は有意に変化した。ガイドラインは注射の使用に対して影響を与えていた。変形性膝関節症の患者により価値のある治療を提供するためにはガイドライン以外の方法も検討されねばならない。


−−−−−−−−−−−−−−−−
アメリカでは関節注射にはエビデンスがないよーというお話何だと思いますが、患者背景がどのように検討されたたが気になるところであります。
プライマリーケアなどにかかるということはその人のOAは整形外科専門医にかかるOAよりも軽症である可能性が高いわけで。
川口浩先生も、軽症OAにはヒアルロン酸が有効であるというお話をされていましたし、そのお話を裏付ける結果なのかもしれないなと思いました。
まあ、進行したOAに漫然と注射しているのはどうかと思いますが。