2019年11月17日日曜日

20191117 NEJM Total Hip Arthroplasty or Hemiarthroplasty for Hip Fracture

背景
世界的には,股関節骨折は成人の障害原因の上位10位に入っている。大腿骨頚部骨折に対しての人工股関節全置換術(THA)は、人工骨頭挿入術(BHP)と比較しての成績はまだ十分にわかっていない。

方法
50歳以上で術前独立歩行可能であった大腿骨頸部置換骨折を有する患者1495人を,THAまたはBHPのいずれかを受けるようにランダムに割り付けられた。試験は10カ国の80施設で実施された。プライマリーエンドポイントは24か月以内の再置換術。二次エンドポイントは死亡,重篤な有害事象,股関節関連合併症,健康関連QOLとした。

結果
プライマリーエンドポイントはTHA群718例中57例(7.9%),BHP群723例中60例(8.3%)で差を認めなかった。(ハザード比,0.95,95%信頼区間[CI]、0.64~1.4;P=0.79)。股関節の不安定性または脱臼は,THAのうち34人の患者(4.7%)およびBHPに割り当てられた17人の患者(2.4%)で発生した(ハザード比,2.0#ハザード比#;99% CI、0.97~4.09)。機能は,Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index全スコア,疼痛スコア,スティフネススコアおよび機能スコアで測定したところ,THAの方がBHPよりもやや良好であった。死亡率は両治療群で同様であった(THA群14.3%およびBHP群13.1%、P=0.48)。重篤な有害事象はTHA群300例(41.8%)およびBHP群265例(36.7%)に認められた。

結論
単独で歩行可能な大腿骨頸部置換骨折患者のうち、二次的処置の発生率は、人工股関節全置換術を受けるようにランダムに割り付けられた患者と人工股関節全置換術を受けるように割り付けられた患者との間で有意差は認められず、人工股関節全置換術は、24ヵ月間にわたる機能および生活の質において人工股関節全置換術よりも臨床的に重要ではない改善をもたらした。

<論評>
大腿骨頸部骨折に対するTHAとBHPの国際多施設前向き無作為割付試験です。エビデンスの強さで、例えていうなら北斗の拳にでてくるラオウのようなものでしょうか。天上天下唯我独尊みたいな。
結論は地味ですけどね。臨床の実感にも合致するというか。長期での成績比較できると良いですかね。<

2019年11月3日日曜日

20191103 CORR What Is the Effect of Vitamin C on Finger Stiffness After Distal Radius Fracture? A Double-blind, Placebo-controlled Randomized Trial

背景:ビタミンC投与は橈骨遠位端骨折後の不均衡な疼痛と硬直を減少できることが示唆されている。
;しかし、この仮説を検証したランダム化試験の一貫した結果は得られていない。
本研究の目的は、(1) 橈骨遠位端骨折後のビタミンC投与は,良好なROM,患者報告上肢機能,および疼痛スコアと関連しているか?
(2) 骨折後の指の拘縮および上肢機能の悪化と関連する因子は何か?を明らかにすることである
方法:二重盲検,ランダム化,プラセボ対照,非交差試験である。
2014年8月から2017年7月の間に,連続204例の患者にアプローチし,そのうち195例が適切,134例研究に参加した。
参加者は橈骨遠位端骨折後2週間以内にビタミンC500mgの1日1回投与(67名の参加者)またはプラセボ(67名の参加者)を無作為に投与された。
全ての患者は外科医の判断で通常のケアを受けた。参加者の平均年齢は49±17歳,99人の患者(74%)は女性,83人(62%)は非手術治療を受けた。
主要転帰は骨折6週間後の指尖手掌間距離。二次転帰は,自動でのROM,上肢特異的制限および疼痛強度であった。

いずれの解析もintention-to-treatを行った。
介入群の参加者10人およびプラセボ群のうち5人が追跡不能となった。
これらの欠損データは多重代入法を行った。その後,線形回帰分析を行った。

結果:ビタミンCの投与は,6週間、6ヶ月でROM、機能、痛みのスコアとの関連を認めなかった。
年齢が6週での指の拘縮と関連し、手術治療が最も拘縮と関連した。
pain interferenceが機能障害と関連した。
結論:ビタミンCは橈骨遠位端骨折後の回復を促進しない。
侵害受容(疼痛干渉)には,より大きな注意を払う必要がある


(論評)
10数年まえから橈骨遠位端骨折にはビタミンCが効くみたいな話はありまして。

https://orthotraumaresidency.blogspot.com/2011/04/20110428-jbjs-can-vitamin-c-prevent.html

2011年にこのブログでも取り上げていました。

本研究ではデザイン、主要評価項目をしっかりと定めておりより信頼できる結果なのかもしれません。

pain interferenceという疼痛の新しい概念がまた出てきましたね。これもまた勉強しないと。

2019年10月28日月曜日

20191028 BJJ Periprosthetic atypical femoral fractures exist and are associated with duration of bisphosphonate therapy

目的
現在,人工関節周囲骨折は,非定型大腿骨骨折(AFF)のAmerican Society for Bone and Mineral Research(ASBMR)の定義から除外されている。
本研究の目的は,他の点ではAFFsの基準を満たす一連の人工関節周囲大腿骨骨折(PFF)について報告することである。
二次目的は,人工関節周囲の非定型大腿骨骨折(PAFF)の予測因子を同定し,治療の合併症を定量化することである。

患者と方法
本研究は,2007年から2017年の間に大腿骨近位部骨折を経験した連続患者を対象とした後向き症例対照研究。
二人の観察者による観察。ビスフォスフォネート療法を受けている患者のPAFF症例16例(平均年齢73.9歳(44から88)、
女性患者14例)と典型的な人工関節周囲骨折17例を対照として同定した(60~86人の女性患者13人)。
PAFFの予測因子を同定するために単変量および多変量解析を行い,治療および合併症を記録した。

結果
PAFF分類に対する観察者間の一致は優れていた(kappa=0.944;p<0 .001="" p="">対照と比較した単変量解析では,PAFF患者は,より高いBMI(28.6 kg/m2(sd 8.9)vs 21.5 kg/m2(sd 3.3);p=0.009),
ビスホスホネート療法のより長い期間(中央値5.5年(IQR 3.2から10.6)vs 2.4年(IQR 1.0から6.4);p=0.04)を有し,
アレンドロネート(50%対94%;p=0.02)を使用している可能性が低く,二次性骨粗鬆症であった(19%対0%;p=0.049)。
ビスフォスフォネート療法の期間は多変量解析でPAFFの独立予測因子であった(R2=0.733;p=0.05)。
骨折治療にかんして,合併症率はPAFF(9/16、56%)が対照(5/17、29%;p=0.178)より高く,
PAFF後の合併症の相対リスクは1.71(95%信頼区間(CI)0.77~3.8),再手術の相対リスクは2.56(95% CI 1.3から5.2)であった。

まとめ
AFFは人工関節と関連して起こる。ビスフォスフォネート療法の長期投与はPAFFの独立予測因子である

<論評>
確かに人工関節周囲骨折で、非定型骨折のような症例は散見されます。今回の股関節学会でもいくつか症例報告があったような。
目の付け所のよい研究だと思いますが、果たしてその妥当性はどうなのよ。と思います。ちょっと中は読めていませんがステムとの関連(セメント、セメントレス。遠位固定型)など。
人工関節周囲骨折だから普通の非定型骨折よりは治療は難しいですわね。
あと、この非定型骨折が人工関節と関連して起こる。という結論がわかりません。
筆者がエジンバラのフェローということで忖度案件かもしれませんね。
もう少し精読します。

2019年10月27日日曜日

20191027 股関節学会に参加してきました

10月25日、26日と股関節学会に参加してきました。
人生初宮崎。個人的には宮崎の夜を全く体験できずに終わったことが悔いが残ります。年取ったかな。。。

学会参加していくつか気になったトピックスを。

・大腿骨頭壊死症。骨切り術の次のステップの治療。ランソプラゾール、骨髄移植とも決め手にはかけますが、侵襲が小さな治療は模索されなければなりません。まだまだこれから。
・臨床解剖と超音波診断の進歩を感じました。関節包と関節包筋、関節包靱帯の関係はまだ研究の余地があります。これと腸腰筋インピンジメントやFAIなどのいままで知られている病態との関連について調べてみるのは面白そうだなと感じました。
・股関節OAについて。ROADスタディからの報告が非常にインプレッシブでした。Iidaka先生の本物をみれたのが最大の収穫。キュートな先生でした。
・股関節OAの保存療法についての教育研修講演。山形大学高木先生、三重大学須藤先生。
須藤先生の『HipOAにエビデンスのある薬剤は存在しない』とぶったぎっているのが爽快でした。ただ、大学人としてはこの分野のエビデンスが提供できるように今後研究をすすめていかなければならないなと思いました。

個人的には全国の先生とお話できたことが最大の収穫です。自分が悩んでいた症例についてたくさんの有益なアドバイスが頂けました。ご相談にのってくださった先生方ありがとうございました。

さいごに
学会のときには必ず一冊は本を買って帰ることとしています。管理人が今回オススメするのはこの一冊


https://www.amazon.co.jp/%E6%95%B4%E5%BD%A2%E5%A4%96%E7%A7%91%E6%84%9F%E6%9F%93%E5%AF%BE%E7%AD%96%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%82%B9%E2%88%92%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E9%96%A2%E7%AF%80%E5%91%A8%E5%9B%B2%E6%84%9F%E6%9F%93%E3%82%92%E5%90%AB%E3%82%80%E7%AD%8B%E9%AA%A8%E6%A0%BC%E7%B3%BB%E6%84%9F%E6%9F%93%E5%85%A8%E8%88%AC-%E7%94%B0%E4%B8%AD-%E5%BA%B7%E4%BB%81/dp/4758318727/ref=as_li_ss_tl?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E9%96%A2%E7%AF%80+%E6%84%9F%E6%9F%93&qid=1572934459&sr=8-2&linkCode=ll1&tag=gamitake1919-22&linkId=dd3f8af89db4afd1c899800235ac2723&language=ja_JP


です。

整形外科感染症について全領域の予防診断治療のエビデンスが網羅されています。
それなのになんとお値段3000円(税別)!!!
この本を買わない理由はないでしょう。
辞書代わりにおいておくことをおすすめします。

ではでは。


2019年10月20日日曜日

20191020 Ai 翻訳でいいんじゃね?

気になる英語論文を紹介する本ブログです。

ちなみに本日投稿した記事はグーグル翻訳と、NTTが提供する『みらい翻訳』を用いて提供しました。

みらい翻訳 お試し翻訳
https://miraitranslate.com/trial/

どうですか?それほど違和感なく読めているのではないでしょうか。

抄読会まであと数時間しかないけどまだ読めていないそこのあなた。
グーグルにすべてを託して見ませんか?笑

(その結果上司に怒られるなどの不都合が生じても本ブログの管理人は一切の責任をおいません。)

20191020 BJJ Is serial radiological evaluation of one-part proximal humeral fractures necessary?

背景

目的
上腕骨近位部骨折で何度も放射線学的評価が必要かどうかを決定するために,これらの骨折を受傷した患者における骨折部の転位の予測因子を記述した。

患者と方法
2014年1月から2016年4月の間に,単独骨折で非手術的に治療した上腕骨近位部骨折の全患者を前向きに追跡した。臨床的および放射線学的評価は,2,6,12および52週未満で行った。骨折形態,骨質,および粉砕を最初のX線写真で測定した。骨折治癒,転位および治療変化を追跡期間中に記録した。

結果
100名の患者(女性59人、男性41人;平均年齢57歳)において,91名の骨折(91%)は安定していた。二次的転位を有する患者9人中5人(55%)では,手術が推奨された。粉砕は23人の患者(23%)に存在し、粉砕していることは,転位(p<0 .001="" 0.8="" 101="" p="" span="" uroqol="">

まとめ
X線再評価は粉砕を呈する患者でのみ必要であり,上腕骨近位部骨折患者の77%では不要である。上腕骨近位部骨折の非手術的治療は,手術が必要となることが少なく,高い癒合率および良好な臨床結果を伴う治療の中心である。



<論評>
最近外来でしか上腕骨近位端骨折をみたことがありません。すいません。
手術治療の成績は良いものもあれば悪いものもあるというように聞きかじっております。すいません。

実感として単純骨折ならほっておいてもよい。というものがあり、この研究の結果はその結果を支持するものと言えるのではないでしょうか
昔あったNeer分類とかは、再定義されているのでしょうか。



2019年8月26日月曜日

20190825 CORR Do Trabecular Metal Acetabular Components Reduce the Risk of Rerevision After Revision THA Performed for Periprosthetic Joint Infection? A Study Using the NJR Data Set

抄録
感染性人工股関節に対する再置換術144例において、Trabecular metal (TM)寛骨臼コンポーネントの使用が術後の再感染による再々置換を減少させたとする単施設からの報告がある。この研究からTM寛骨臼コンポーネントの使用が再々置換において有用な可能性が示唆された。イングランドの報告では初回THAにおけるTM寛骨臼コンポーネントの使用が感染による再置換を低下させたとする一方、スウェーデンとオーストラリアのレジストリーではすべての再々置換では差を認めなかったとする報告をしている。以上からTM寛骨臼コンポーネントは感染性人工関節の再置換では有用かもしれないと考えられた。
そこで、今回の研究の目的はTM寛骨臼コンポーネントはTMでない寛骨臼コンポーネントと比較して感染性人工股関節のあらゆる原因での再置換率を低下させるか、また再置換術後の感染率を低下させるかどうかの検討を行った。
方法:後ろ向き観察研究。イングランドの国家レジストリーを用いて行われた研究。11,988例の再置換術のうち、感染性人工股関節に行われた再置換術のうち、同一メーカーのTM寛骨臼コンポーネントと非TM寛骨臼コンポーネントで手術が行われた794例についての検討を行った。TM寛骨臼コンポーネントが541例。非TM寛骨臼コンポーネントが253例であった。患者背景を比較。再々置換をエンドポイントとした。プロペンシティマッチングを行い生存率を比較。
結果:TM寛骨臼コンポーネントと非寛骨臼コンポーネントの間での5年間でのインプラント生存率は96.3%と94.4%と差を認めなかった。また感染率においても差を認めなかっった。
結論:本研究からはTM寛骨臼コンポーネントが感染性人工関節での再々置換率、感染率の低下に有用であるとの結論は得られなかった。TM寛骨臼コンポーネントが感染防止に有用であるとは言えない。

背景
人工関節感染は再置換の主な原因の一つである。人工関節感染の管理はまだ挑戦的な領域であり、その発生率は上昇傾向にある。TM寛骨臼コンポーネントは昨今再置換術において広く使われるようになってきている。ある単施設からの報告では感染性人工関節144例の治療においてTM寛骨臼コンポーネントを用いた群ではそうでない群と比較して感染率が低かったとする報告がある。これはTM寛骨臼コンポーネントが感染に対して抵抗的に働く可能性を示唆している。3つの国家レジストリーでそれぞれTM寛骨臼コンポーネントの感染防御について検討した結果、TMコンポーネントは18200例の初回人工股関節において感染による再置換率が低かった。ただしこの結果には疑問が残るところもあった。再々置換について調査したところ、TM寛骨臼コンポーネントと非TM寛骨臼コンポーネントの間には差を認めなかった。スウェーデンとオーストラリアでも同様の結果であった。TM寛骨臼コンポーネントは、全再々置換では差をみとめないが、感染による再々置換では感染を減らすこうかがあるのかもしれない。しかしこれを検討するにはサンプルサイズが小さく、感染による再々置換が247例しかなかった。今回より大きなコホートを用い、傾向スコアマッチングを行い検討を行った。
本研究の仮説は、TM寛骨臼コンポーネントは再置換術時にもちいられると非TM寛骨臼コンポーネントよりもすべての理由での再々置換率を減少させる。というものと再置換術後の感染率の低下を認める。というものである。
対象と方法
イングランドの国家レジストリーを用いた後ろ向き研究。200万を超えるデータベースである。11988例の再置換術のうち、感染を理由に再置換を受けたものは7%、794股関節出会った。541例がTM寛骨臼コンポーネントが用いられ、253例が非TM寛骨臼コンポーネントであった。平均フォロー期間は5.3年である。
仮説のようなエンドポイントを設定。患者背景には違いを認めたため、カプランマイヤーによる比較の際には傾向スコアマッチングを行った。
結果
TM寛骨臼コンポーネントと非寛骨臼コンポーネントの間で再々置換率は差がなかった。また感染率も差を認めなかった。
考察
TM寛骨臼コンポーネントが再々置換率を下げたり、感染率を下げたりすることはなかった。本研究の限界はTM寛骨臼コンポーネント、非寛骨臼コンポーネントの使用についてさが大きいことである。傾向スコアマッチングを行ったものの、レジストリーで登録されていない事項については検討が不可能である。また再置換術時の組織学的、細菌学的検査がなされていない。本当のPJIでないものも組み要られている可能性がある。また感染率が低いことも要因かもしれない。またこの研究の結果が他のポーラス型の寛骨臼コンポーネントでいえるかどうかは不明である。
今回の研究でTM寛骨臼コンポーネントは非TM寛骨臼コンポーネントと比較して優れた成績を残すことはできなかった。本研究は人工関節感染にかぎって行われた緩急であるが他の研究と同様にTM寛骨臼コンポーネントが勝っているとするエビデンスを出すことができなかった。骨形成がよいとか白血球を誘導しやすいなどのさまざまな理由が考えられてきたが、レジストリーの結果からはTM寛骨臼コンポーネントが勝っているとする証拠はなかった。