2018年9月17日月曜日

20180917 BJJ Fractures of the transverse processes of the fourth and fifth lumbar vertebrae in patients with pelvic ring injuries

背景
不安定型骨盤骨折とL4,L5の脊椎横突起骨折の関連について詳細に述べられた報告はない。本研究の目的は両者の関連について検討を行うことである。
対象と方法
後ろ向き研究。2005年から2014年まで。AOとYoung and Burgess分類に基づいて骨盤骨折の分類を行いマッチしたペア解析を行った。
結果
728例の骨盤骨折の患者。183例(25.1%)が不安定型骨盤骨折であった。そのうち、84例(45.9%)が横突起骨折を有していた。安定型骨折では、73例(13.4%)に生じていた。L4、5の横突起骨折は不安定骨折で5.5倍のオッズ比を有していた。横突起骨折があっても血行動態が不安定になるかどうかは統計学的に有意とはならなかった。
結論
横突起骨折と骨盤骨折の関係について述べた最初の論文である。横突起骨折の存在は不安定骨折で有ることを示唆しているので早急な対応を要すると考えられる。

<論評>
横突起骨折があると不安定型の骨盤骨折である。というのは、10年ほど前になにかの勉強会で聞いたような気がします。
それが今まで論文化されていなかったといいうことが驚きです。
横突起骨折は不安定型の骨盤骨折と関連があることがわかりましたがどういった治療につなげるか、というのは今後の課題だと思います

2018年9月13日木曜日

20180912 J arthroplasty A Comparative Study Between Uncemented and Hybrid Total Hip Arthroplasty in Octogenarians.

背景
本研究の目的は80歳以上。ハイブリッドTHAをコントロールとしてセメントレスTHAの成績について最低5年間のフォローを行った患者に対して前向きに研究を行うことである。
方法
臨床成績評価。術中術後の合併症。輸血、再置換術、死亡率について検討を行った。
術後の骨質の評価、インプラントの固定状態、緩みについての調査を行った。
結果
134例の患者で検討。66例のセメントレスTHAと67例のハイブリッドTHAを行った。セメントレスTHAのほうが術中の合併症が少なく、また輸血率が低かった。平均入院期間は変わらなかった。両群とも2例ずつの再置換があった。
結論
80歳以上のTHAについて、セメントレスTHAのほうが安全であるという結論を得た。本研究の結論としては、年齢を理由としたステムの選択の必要はないということである。しかしながら術中の骨質に応じてどちらのステムにするかは術者が判断しなければいけない

<論評>
昨今AAOSを含めてセメントステムのほうがいいのではないですか。とする論調でありましたので、それに対するカウンターパートの論文だと思います。
骨形態(髄腔の形態)とステムの得手不得手を理解していれば99%の症例でセメントレスステムは問題を生じず、またセメントステムと変わらない成績を出せるのではないでしょうか。
ただどのように群わけをしたのか、どのような術者が手術したかはこの抄録からはわかりませんので詳しい論評は避けておきます。


2018年9月10日月曜日

20180910 BJJ Dementia predicted one-year mortality for patients with first hip fracture

目的
アジア人種における大腿骨頸部骨折を受傷した患者において、認知症やパーキンソン病の合併が1ヶ月後、3ヶ月後、12ヶ月後の死亡率に与える影響について調べること
対象と方法
台湾の国家保険データベースを使用。1997年から2012年までにICD9で大腿骨頸部骨折で登録された患者を対象。6626例の患者が対象となった。コックス比例解析にて認知症、パーキンソン病、その両者と死亡率についての関連を調査した。
結果6626例の患者のうち、10.2%が認知症を。5.6%の患者がパーキンソン病を、2.67%の患者が両方の疾患に罹患していた。1年後の死亡率は、両者がない場合には9.22%であるのに対して、それぞれ15.53%、11.59%、15.82%であった。調整後のハザード比は認知症で1.45、両方併存している場合には1.57であった。パーキンソン病単独では関連を見いだせなかった。高齢、男性、合併症が多いと死亡率が高くなった。
結論
パーキンソン病の有無にかかわらず認知症は大腿骨頚部骨折後の独立した危険因子であった。高齢、男性、合併症が多いと死亡率が高くなり、パーキンソン病単独では有意な因子となりえなかった。

<論評>
日常診療の感覚と一致する結果が示されていると思います。認知症の原因はパーキンソン病だけでなく脳血管障害などもあると思いますが、なぜパーキンソン病との合併を調べたのかはわかりませんが。
日本でもDPCとかみんなが頑張って入れているのだから、データとして皆がサワれるようにしていただくとこういった研究が捗ると思うのです。

2018年9月3日月曜日

20180903 Int orthop Total hip arthroplasty: minimally invasive surgery or not? Meta-analysis of clinical trials.

背景 
最小侵襲手術(MIS)と従来法との比較の報告がなされている。しかしながらTHAにおいて最も有用なアプローチはなにかということについては議論がある。
目的
本研究の目的はTHAにおけるMISと従来法の比較検討を行うことである。
方法
MISと従来法の比較を行った研究のメタアナライシスである。臨床成績、レントゲン評価、合併症率に着目して検討を行った。
結果
4761例の患者、4842例のTHAが該当した。平均フォロー期間は22.26ヶ月。MISの利点としては、出血量が少ないこと、手術時間が短いこと、入院期間が短いことがあった。従来法の優れた点としては、HHSが高いことであった。レントゲン評価では2群間で差を認めなかった。脱臼、感染、骨折では有意差を認めなかった。MISでは医原性の神経障害が多かった。
結論
現状では従来法に比べ、MISの利点はそれほど多くはない。

<論評>
結論でバッサリ切りにいっているところがなかなか小気味よい論文です。
神経障害については、MISをやる先生たちのほうが気にしているから多いのかもしれないなと思うこともあります。
また、MISと十把一絡げにして検討するのもどうなのよ。と思いますが。
新しいアプローチがすべてよい。とは思いませんが、やり始めて初めて分かることもたくさんあるので、全否定はできないと思います。

2018年8月29日水曜日

20180829CORR No Clinically Important Difference in Pain Scores After THA Between Periarticular Analgesic Injection and Placebo: A Randomized Trial 

背景
術後鎮痛を目的とした関節周囲への鎮痛剤の注射は様々な整形外科手術で行われている。しかしながらTHA術後でそういった関節周囲への鎮痛剤注射(PAI)が有用かどうかは不明である。
目的
二重盲検無作為割付試験。一期的両側THAの患者を対象。プラセボとPAIを比較。1)VASを用いて鎮痛効果を調べる。2)プラセボ側、PAI側で合併症率を比較した。
方法
単施設。1年間で45症例の一期的両側THAの患者を対象。3例が除外、2例が研究参加を拒否。40例、80関節について調査を行った。一方の股関節に対してプラセボを、反対側の股関節に対してPAIを注射。PAIの内容はロピバカイン、モルヒネ、メチルプレドニゾロン、ケトプロフェン、エピネフリンの混合剤とした。24時間での疼痛をVASを用いて評価。20ミリを臨床的に有用なVASの変化と定義した。全患者の評価が可能であった。注射による合併症は生じなかった。
結果
PAIの注射、またはプラセボによる臨床的な違いは認められなかった。ただし24時間後のVASはPAIで有意に低い値を示した。リカバリールーム、術後3時間でもVASはPAIのほうが低かったものの臨床的に差があるとは言えなかった。合併症に差はなかった。
結論
PAIはTHA術後の鎮痛に臨床的に有意な違いが出るというほどのものではなかった。とくに推奨できるようなものではないものと筆者らは考える。他の内容であれば差が出る可能性があるのでさらなる研究が必要である。

<論評>
スタディデザインが秀逸ですね。得られた結論の評価の方法もMCIDを用いるなどよく考えられていると思います。PAIはTKAでは有用だと思いますが、THAだとどうかな?と思っていたのでまたさらなる研究が必要だと思います。

2018年8月15日水曜日

20180814 CORR Does the Alpha-defensin Immunoassay or the Lateral Flow Test Have Better Diagnostic Value for Periprosthetic Joint Infection? A Systematic Review

背景
関節液内のアルファディフェンシン量の測定は人工関節感染(PJI)の診断の一助となる。関節内中のアルファディフェンシン量を測定するためのキットは、24時間で結果の出る酵素結合免疫吸着型アッセイベースのSynovasureアルファディフェンシンイムノアッセイと20分で結果のでるSynovasureラテラルフローテストの2種類が上市されている。どちらのテストが有用かと言うことを検討した文献はない
臨床上の疑問
イムノアッセイとラテラルフローテストのどちらがPJIの診断に有用か
方法
PRISMAガイドラインに沿って2017年4月までの文献を渉猟した。1578編の論文が渉猟されたが、除外基準に従って除外したところ7編の論文のみが残った。(4編のイムノアッセイと3編のラテラルフローテスト)。アルファディフェンシンイムノアッセイでは482症例、ラテラルフローテストは119例であった。QUNDAS2による論文の質の検討を行い、異質性の調査を行った。感度、特異度、陽性尤度比、陰性尤度比、ROCカーブをそれぞれ計算した。
結果
アルファディフェンシンイムノアッセイはラテラルフローテストよりも優れた診断能力を示した。感度96%対71%。特異度96%対90%。ROCカーブでは0.98対0.75であった。
結論
関節液内のアルファディフェンシンの測定において、ラテラルフローテストより逸無のアッセイテストがより正確な診断が得られた。ラテラルフローテストの感度は低く、感染の除外診断には薬に立たない。一方、特異度が高く即座に結果が得られるため、術中の感染の確定に役立った

<論評>
世の中を席巻?しているアルファディフェンシンの測定についての感度特異度に関するシステマティックレビューです。
ラテラルフローテスト(インフルエンザの診断キットのように関節液を垂らして診断する。本邦でも発売中)の感度は低く、特異度は高いとの結果でした。つまり、陰性だからといって感染が否定できるわけではなく、陽性であれば、検査前確率が十分に高ければほぼ感染と確定診断できるというわけですな。

2018年8月8日水曜日

20180808 J arthroplasty Does Dexamethasone Reduce Hospital Readiness for Discharge, Pain, Nausea, and Early Patient Satisfaction in Hip and Knee Arthroplasty? A Randomized, Controlled Trial.

背景 術後の疼痛、吐き気などがしっかりコントロールされれば早期の退院が可能となり、医療費の削減にもつながる。本研究の目的は周術期にデキサメタゾンを投与することで術後の疼痛、吐き気に与える影響とそれによって早期退院が可能となるかの検討を行うことである。
方法 164例のTHAまたはTKAをおこなった患者を対象。RCT。86例の患者にデキサメタゾン、78例の患者にプラセボを投与した。第一の評価項目は入院期間。第二の評価項目は吐き気、痛みのVAS、吐き気止めの使用、血糖値、患者満足度である。
結果 デキサメタゾン投与群のほうが早期に退院可能であった。痛みのVASは20%減少し、またモルヒネの使用が27%減少した。吐き気に関しては二群間で同様の結果であった。しかし吐き気止の使用についてはデキサメタゾン使用群のほうが少なかった。術後6州の満足度はプラセボ群よりデキサメタゾン群のほうが高かった。合併症率は同等であった。
結論 周術期にデキサメタゾンの静脈内注射を行うと疼痛の軽減、モルヒネ使用量の減少が可能となり早期退院が可能となる。

<論評>
結局なにに効いているかわかりませんが、疼痛コントロールを容易にしたということなんでしょう。そのためにモルヒネの使用量が減り、それに伴う吐き気止めの使用も減ったということなのかもしれません。
周術期に加わる侵襲がステロイドによってカバーされているのかもしれません。
頚部骨折など高齢者でやってみても面白いかもしれませんね。