2015年7月24日金曜日

20150724 JBJS(Am)Does Zolendronate Prevent femoral head collaps from osteonecrosis


  • 抄録
  • 特発性大腿骨頭壊死症は若年者の人工関節置換術の主要な原因の一つである。ビスフォスホネート製剤により圧潰の発生を遅らせることができるとする論文がある。今回はRCTにてゾメタがTHAの率を減らすことが出来るかを検討した
  • 壊死範囲が30%を超えるような症例を対象。ゾメタ群とコントロール群に分けた。2ミリ以上の圧潰の発生をエンドポイント。2年間の観察を行った。
  • 110例の患者をランダム化。55例にゾメタの投与、55例を観察群とした。2年間でゾメタ群の29例、コントロール群の22例で圧潰が認められた。ゾメタ群の19例、コントロール群の20例がTHAへ移行した。
  • 比較的大きな壊死範囲をもつ大腿骨頭壊死症の患者に対してゾメタの投与は有用でない。
  • 方法
  • 2008-2010年。韓国で行われた9つの施設による多施設RCT。ほとんどの患者がアルコール性の大腿骨頭壊死
  • 考察
  • BP剤の投与が有効かもとする報告は、2006年の西井先生の報告、2005年のAgarwalaさんの報告がある。
  • アレンドロネートが有効でないとする報告は2012年にChenさんがしている。
  • 2年の経過でゾメタは有効でなかった。
  • 本研究はノバルティスの提供で行われています。

<論評>
ノバルティスの後援があるにもかかわらず有意差が出なかったということでホントに差が出なかったのだと思います。
研究終了してから3年間も陽の目を見ない理由はDisclosureの問題があったからのようですね。
とりあえず、大きな大腿骨頭壊死症にたいして内服治療は無効で、何かしらの手術治療が必要であることは間違いなさそうです。

こういった多施設共同研究、RCTなどは韓国がだいぶ先に行っているという思いを拭えません。悔しいですね。

本邦では厚生省の特発性大腿骨頭壊死研究班があります。
日本の名だたる施設が多数参加しています。
手術、内服治療などのの多施設RCTを手術治療で検討すればよいのになあと感じた次第です。

20150724 JBJS(Am) Management of hip fractures in Elderly

  • AAOSから大腿骨頚部骨折/転子部骨折ガイドラインが出てました。
  • ガイドライン策定の元になった論文は明らかではありません。

  • 術前術後の疼痛管理の必要性とリハビリについて以前のガイドラインよりは踏み込んだ内容となっていると思いました。
  • 研究のタネもそこら辺かなあと思いました。

  • AAOS 大腿骨頚部/転子部骨折ガイドライン
  • recommendation: Strong
    • 周術期のしっかりとした局所の疼痛コントロールが必要
    • 手術の麻酔は全身麻酔、腰椎麻酔でも術後成績に差はない
    • 転位のある頚部骨折には人工骨頭が適応になる
    • 転子下骨折、逆斜型転子部骨折は髄内釘が適応となる。
    • 輸血はHb8g/dlを閾値として。症状がなければ投与の適応なし。
    • 退院後もしっかりとしたリハビリの介入は有効
    • 認知症があった場合には多方面からのケアプログラムの策定が有効
    • 術後の多剤併用疼痛緩和は有効
  • recommendation: Moderate
    • レントゲンではっきりしない骨折はMRIを撮像すると判明する
    • 術前のルーチンの牽引を指示するエビデンスはない。
    • 手術は入院後48時間以内に行った方がよい。
    • 転位のない頚部骨折でも手術をした方がよい。
    • UnipolarでもBipolarでも術後成績に差はない
    • 高齢者に対しては症例を選んでTHAを考慮してもよい
    • セメントステムの方がよいかもしれない。
    • 後方アプローチの方が脱臼が多い
    • 安定型の転子部骨折であればCHS、ネイルのどちらでもよい
    • 不安定型の転子部骨折はネイルの方がよいかもしれない
    • リハビリによるアドバイスは術後の機能、QOLを改善するかも知れない
    • 適切な栄養の介入は死亡率を減らすかもしれない
    • 術後はビタミンDの投与とカルシウムの投与を行う。
    • 術後に骨粗鬆症の検査、治療をおこなう。
  • recommedation: Mild
    • 抗凝固療法中の患者の手術のタイミングは遅らせた方がよいかどうかは不明
    • 術前にアルブミンやクレアチニン値で患者のリスク評価を行うことが妥当かどうかは不明

2015年7月13日月曜日

20150713 JBJS Am Association between orthopaedic outpatient satisfaction and non modifiable patient factors

  • Abstract
    • 患者満足度を測定することが重要だといわれているものの、患者満足度とそれに関する研究は少ない。本研究の目的は外来患者満足度を評価することである。2010年から2013年までの3年間。ユタ大学を受診した12,177人の患者を対象に行った。年齢、性別、就労状況、保険、病名、整形外科サブスペシャリティについての評価を行った。満足群と不満足軍に分けた。不満足群について多変量解析を行った。結果、年齢が患者満足度においてもっとも重要な因子であった。若い患者ほど満足度が引く方。18歳から20歳までの患者は80歳以上の患者に比べてオッズ比で2.78不満であった。病院までの距離も満足度と関係していた。遠くに住んでいる患者ほど満足していた。50マイル以上離れたところに住んでいる患者の満足度はオッズ比1.18であった。結論 外来患者の満足度について評価した。
  • <論評>
    • 患者満足度についての論文ですが、読もうとしてやめました。
    • 1万人もの満足度を調べたのはすごいことですけど、あまり実臨床で使えることはないような。
    • 若い人は不満であるといわれても、年齢は介入できない因子ですし。遠くからきた人が、ってありますけど、50mile 80kmといったら名古屋ー浜松、名古屋ー下呂、名古屋ー草津 ですよ。
    • 遠くから来る人はそれだけそこの治療にかけてくるわけであって、満足しないわけがないわけで。ということで、むやみにたくさん集めればそれはそれで勝負ができるという論文のご紹介でした。