2018年10月15日月曜日

20181007 CORR What Markers Best Guide the Timing of Reimplantation in Two-stage Exchange Arthroplasty for PJI? A Systematic Review and Meta-analysis

背景 
人工関節感染にて二期的再置換を行う際に適切なバイオマーカーはなにかということについてのコンセンサスはない。
目的
感染性人工関節の二期的再置換で人工関節再置換の最も適切なタイミングを検討すること
方法
MEDLINE、Cochraneなどのデータベースから論文を抽出。THA,TKAについて感染後の再置換について報告された論文について抽出。12論文が最終の検討に残った。1047例の検討。4論文が再置換の際のバイオマーカーについて、12論文全てで、ESR、CRP、白血球数がカウントされていた。また関節液のグラム染色、細菌培養、超音波にて破砕したあとの細菌培養、関節液中の白血球数、好中球数、組織のグラム染色、組織培養、骨シンチなどが各論文で検査として行われていた。これらについてQUADAS2を用いてメタアナリシスを行った。
結果
組織培養が感度0.82、特異度0.91で最も高かった。関節液中の白血球数、関節液培養はそれぞれ感度0.77,特異度0.74。感度0.64、特異度0.96と補助的な検査として位置づけられた。その他の感染の指標としてESR、CRP、関節液中の白血球数は感度0.56、特異度0.60、感度 0.53、特異度0.72、感度0.37特異度0.49とその意義が少ないものもあった。
結論
メタアナライシスの結果感染の診断にはいくつかのマーカーを組み合わせて行うのが基本であると考えられた。更に多数の検討が望まれる。

<論評>
人工関節置換術後に何を基準として再置換したほうが良いかは議論があります。一般的には二期的再置換であれば抜去後6から8週間経過したあとに、血液検査でCRP陰性。かつ穿刺して陰性であれば許されるようなところはあると思います。
このようなメタアナライシスは有用なのでぜひ今後もあると良いと思います。

2018年10月4日木曜日

20181004 JBJS Radiographic and Clinical Outcomes of Porous Titanium-Coated and Plasma-Sprayed Acetabular Shells: A Five-Year Prospective Multicenter Study.

背景
セメントレスインプラントの材質については様々な新しい材質が導入されている。本研究の目的はセメントレスカップにおいて、今まで使われていたプラズマスプレー(PS)とポーラスコーティング(PTC)の比較を行うことである。
方法
他施設共同前向き研究。191例のPTC。189例のPS。5年間のフォローを行いレントゲン写真、患者立脚型による評価を行った。0.5ミリのギャップを認めたものをギャップと定義した。
結果
術後のギャップについては、PSのほうがPTCよりも高頻度に認められた(40%対24%)が、5年の経過でPSのギャップが5%のみの残存にもかかわらずPTCでは56%の症例で残存した。5年後のレントゲン写真での評価ではPSでは5%の患者しか透過線が生じていないのにもかかわらず、PTCでは23%の患者にレントゲン写真での透過線が生じた。カップの再置換はなかった。PTCカップであることは患者の疼痛残存の有意な説明因子となった。
結論
PTCは患者の痛み、5年後のレントゲン写真での透亮像の発生などがPSよりも多かった。今後の慎重なフォローを必要とする。

<論評>
先日アメリカまで某社のカスタマーミーティングに出席してきました。
某社は現在日本で発売されているHAコーティングのセメントレスカップにかえて新規にPTCを発売するということでした。
こういった3Dポーラスのセメントレスカップではラジオルーセントラインが出やすいカップがありますし、新しい材質だからよいというわけではないというよい論文だと思います。