2013年11月22日金曜日

20131122 Arthritis & Research & Therapy :A randomised controlled trial of selfmanagement education program for osteoarthritis of the knee delivered by health care professionals

抄録
本研究の目的は変形性ひざ関節症の患者が疾患特異的な自己管理プログラム(OAK)を導入することでその治療群がコントロール群と比べて臨床評価上の差が有るかを検討することである。
方法
変形性膝関節症の患者146人。リウマチのような炎症性疾患、重篤な合併症があるような例を除外。無作為割り付け法によりコントロール群とOAK群とに分けた。OAKは6週間の自己管理プログラムである。コントロール群は6ヶ月間待機したのちにOAKを開始した。開始後8週、6ヶ月の時点で評価。主要な評価ポイントはWOMACスコア、SF36、二次的なスコアとしてVASスケール、TUG,膝関節の花王行き、四頭筋、ハムストリングの筋力評価とした。治療反応性と臨床的に意味のある最小の治療評価点数差を検出した。
結果
OAKグループではVASスケールの値が有意に改善した。OAKグループでは6ヶ月間の間、WOMACの疼痛スコア、活動性スコア、SF36の身体機能、疼痛、活力、社会活動性の面で高かった。8週、6ヶ月の時点では評価項目全てでOAK群のほうがコントロール群より優っていた。
結論
OAK群では8週、6ヶ月の時点でWOMACスコア、SF36のいずれでもコントロール群よりも有意な改善を認めた。

Introduction
自己管理(Self management)は慢性疾患の患者に対してしばしば用いられる。
変形性膝関節症でも自己管理についての報告はいくつか有る。しかしあまり有効な結果を得ることはなかった。
自己達成感は自己管理の中でもっとも重要な部分を占める。元気がある人はよりよい自己評価を獲得することができる。
自己達成感に影響する因子としては問題解決能力、疼痛の管理、運動、社会生活、ゴールセッティングなどが挙げられる。
疼痛管理がもっとも重要で疼痛のために運動を差し控える患者は多い。
疼痛管理のための薬剤療法では副作用が問題となる。
今までの自己管理がうまくいかなかったので新たにOAKなる事故管理法を開発した。本研究ではOAKの効用について述べる。
一般に変形性関節症の患者では疼痛のため運動を制限することが多い。しかしながら運動をしないことは長期的に見ると機能障害の下忍となる。OAKプログラムでは変形性ひざ関節症の患者に対してアドバイスを与えながらスポーツをするように勧めている。
プログラムでは週ごとのゴールを作りそれを達成することで自己達成感が得られるようにしている。
OAKは運動教室ではなく個々の患者にとってどのように運動したらよいかということをアドバイスするような場である。
ナース、PT、OTなどが専門的なアドバイスを与えることで後ろ向きになるような気持ちを前向きに変えていく手助けをするのである。

OAKプログラム
表1を参照。週2.5時間のプログラム。6週間継続。12から15人くらいのグループで社会認知理論にしたがってゴール設定、問題解決、認知行動療法を行う。マニュアルにしたがってPT,ナース、OTらがアドバイスを時々与えるようにする。一般的な事柄だけでなく患者特有の問題にも配慮したアドバイスを与える。

図1 ランダム化の実際。
表2 組入基準と除外基準。
表3 患者背景
表4、表5、表6 結果

考察
健康の専門家介入による指導はOA患者の状態を改善することが本研究であ明らかとなった。
自己管理による患者の行動変容は患者の状態を改善する。OAKは患者の痛み、機能、QOLのすべての項目をより改善した。
OAKでは変形性膝関節症に対する運動療法について正しい情報を継続的に提供することによって患者の行動変容が起こせることをあきらかとした。
WOMAC、SF36とも疼痛の項目が改善されることで健康状態の改善が認められることがわかった。
OAKプログラムでは8週ではコントロール群よりも有意に改善したが、6ヶ月ではその差は有意ではなかった。このことは長期の管理には限界があることを示している。
疼痛にどのように対応するかということが問題となる。一般的な痛み止めを使って治療された変形性膝関節症の群ではその疼痛の改善率は9−10%という報告がある。OAKグループでは23%の患者で改善が認められた。コントロール群では7%でしかなかった。鎮痛薬と同時にOAKプログラムを用いるとよい。
対象が未治療群であることが問題となる。何もしてもらえないため自己評価が低くなる可能性がある。
身体機能はOAKグループでより向上した。コントロール群でも改善が認められた。このことは説明することが難しい。
筋力もOAKグループで改善した。
参加したのが比較的裕福な層だけであったことも問題となる。一般的な対象とした場合に問題となるのかもしれない。
結論
OAKは変形性膝関節症の患者の身体機能、QOLを改善した。OAKプログラムのコストなどについても計算する必要がある。 

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