2011年7月1日金曜日

20110701 JBJS(Br) Is a fracture of transverse process of L5 a predictor of pelvic fracture instability



不安定型の骨盤骨折を早期に認識し、治療につなげることは死亡率や機能障害を減少させるために必要なことである。今までL5横突起の骨折があると、それは不安定型の骨盤骨折を指し示していると信じられてきた。しかし、このことを担保する根拠は殆ど見当たらない。そこで今回は本当にL5横突起の骨折が不安定型骨盤骨折の予測因子となりうるかと言うことについて検討した。
2006‐2010年の80人の患者。カルテレコードによる後向き研究。32例が男性、48例が女性。平均年齢は40歳。殆どの患者が交通事故、高所からの転落により受傷。41例、51%の患者が骨盤骨折以外のその他のケガを受傷。骨盤骨折の分類にはBurgess&Youngの分類を用いた。45例の安定型骨折と35例の不安定型骨折。L5の横突起骨折は17例に認められた。不安定型の骨盤骨折の患者のうち40%でL5横突起骨折は認められた。L5の横突起骨折があって、不安定型の骨盤骨折であることはオッズ比として9.3、相対危険度として2.5であった。
よってL5横突起骨折が不安定型の骨盤骨折の時に存在すると言うことができ、スタッフ間の危機意識の共有において有用であるということがわかった。

考察
不安定型の骨盤骨折であることを早期に診断し治療につなげることが重要である。
L5横突起骨折と骨盤骨折に関するバイオメカてきな考え方として、骨盤後方の構成要素は前方よりも複雑で安定性に貢献している。後方の構成成分はちょうど吊り橋の様に成っている。後上腸骨棘を柱として腸骨仙骨靭帯を横ざさえのようにしている。そしてL5の横突起をふくむ腸骨腰靭帯がつり上げているような働きをしている。L5横突起の骨折はこの後方成分の破綻を意味する。

<論評>
L5横突起の骨折が不安定型骨盤骨折を示唆するというのが当たり前だと思っていたのですが、証明されていなかったのですね。笑
こう言った臨床であたりまえだと思っていても、研究として形づくられていない事柄というのはたくさんあるのかも知れません。

写真をアップロードしたのは杉本先生のマネッコです。笑

6 件のコメント:

  1. がみ先生 乙です.
    骨盤骨折と神経麻痺について調べた時に,横突起骨折の有無と神経麻痺(腰仙骨神経叢)とはあまり相関が無かったので,逆に興味深く拝見しました.
    僕が調べたときは,L5に限定せず,L1-L4も含めて検討したので,その辺の違いもあるのかもしれませんね.

    いやあ.いつも勉強になります.

    写真のアップロード...僕も他の人ノマネですよ.もちろん.

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  2. 重松 英樹2011年7月15日 20:24

    がみ先生へ

    今日まさにこのような症例を留学先の香港大学病院でみました。
    先生の論文のサマリー読んでまさにこれだと思いました。
    ありがとうございます。
    横突起骨折は直接の外力で骨折するのでしょうか?それとも
    そこに付着する筋、靭帯によってひっぱられる力が骨折にむすびつくのでしょうか?

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  3. 重松先生
    両方の機序ともありえると思います。
    安定型骨折に合併した横突起骨折が直接外力で受傷したもの、不安定型骨折に合併した骨折が仙腸関節近辺の靭帯、筋により牽引され転位した骨折ということになります。
    原文のdiscussionにはそのことも書いてあったのですけどはしょってしまいました。スイマセン。笑

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  4. がみ先生へ
    ありがとうございました
    勉強になりました。

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